【表紙】    こども、みんなが主役!よこはまわくわくプラン (第3期横浜市子ども・子育て支援事業計画/横浜市こども計画)    素案    計画期間:令和7(2025)年度〜令和11(2029)年度    横浜市 【目次1ページ】   目次  第1章 計画について 1ページ   1 計画の趣旨 1ページ   2 計画の位置付け 1ページ   3 計画の期間 2ページ   4 計画の対象 2ページ   5 本市における他計画との関係 3ページ  第2章 こどもや子育てを取り巻く状況 4ページ   1 人口や少子化の状況 4ページ   2 こども・家庭の状況 7ページ   3 地域・社会の状況 19ページ   4 第2期計画の振り返り 22ページ  第3章 本市の目指すべき姿と基本的な視点 28ページ   1 目指すべき姿 28ページ   2 計画推進のための基本的な視点 29ページ  第4章 施策体系と事業・取組 30ページ   1 施策体系図 30ページ   2 指標一覧 31ページ   3 施策分野・基本施策とその目標・方向性 35ページ   4 重点テーマ 36ページ  【重点テーマT】すべてのこどものウェルビーイングを支える 36ページ  【重点テーマU】子育て家庭が実感できる「ゆとり」を生み出す 45ページ   5 各基本施策における現状と課題及び今後の方向性 51ページ   施策分野1 すべてのこども・子育て家庭への切れ目のない支援 52ページ    基本施策1 生まれる前から乳幼児期までの一貫した支援の充実 52ページ    基本施策2 地域における子育て支援の充実 64ページ    基本施策3 乳幼児期の保育・教育の充実とがくれい期への円滑な接続 74ページ    基本施策4 がくれい期から青年期までのこども・若者の育成施策の推進 88ページ    基本施策5 障害児・医療てきケア児等への支援の充実 104ページ   施策分野2 多様な境遇にあるこども・子育て家庭への支援 114ページ    基本施策6 困難を抱えやすいこども・若者への支援施策の充実 114ページ    基本施策7 ひとり親家庭の自立支援/DV被害者や困難な問題を抱える女性への支援 125ページ 【目次2ページ】    基本施策8 児童虐待防止対策と社会的養育の推進 138ページ   施策分野3 社会全体でのこども・子育て支援 148ページ    基本施策9 社会全体でこども・若者を大切にする地域づくりの推進 148ページ  第5章 保育・教育及び地域子ども・子育て支援事業に関する量の見込み・確保方策 159ページ   1 量の見込み・確保方策について 159ページ   2 保育・教育に関する施設・事業 160ページ   3 地域子ども・子育て支援事業 166ページ  第6章 計画の推進体制等について 198ページ   1 様々な主体による計画の推進 198ページ   2 こどもの意見を施策へ反映するための体制整備 198ページ   3 計画の点検・評価等 199ページ   4 こども・子育て支援に関わる人材の確保・育成の推進 199ページ   5 こども・子育て支援に関する情報発信や情報提供の推進 200ページ  参考資料 201ページ   1 利用ニーズ把握のための調査 201ページ   2 こども本人へのヒアリング調査 202ページ   3 子育て中のかたによるグループトーク 203ページ     【こどもと子ども表記について】  「こども」の表記は、こども基本法に倣い、原則として「子ども」ではなく、「こども」を用いています。ただし、子ども・子育て支援法における「子ども」など法令に根拠がある語を用いる場合や、既存の予算事業名や組織名などの固有名詞として用いる場合は「子ども」を用いています。   【1ページ】    第1章  計画について 1 計画の趣旨  本市のこども・子育て支援施策に関する基本理念や各施策の目標・方向性を定めます。  また、子ども・子育て支援法に基づき、保育・教育及び地域子ども・子育て支援事業に関する各年度の「量の見込み」(ニーズ量)及び、量の見込みに対応する「確保方策」(確保量)を定めます。   2 計画の位置付け  子ども・子育て支援法及び次世代育成支援対策推進法に基づく法定計画として、乳幼児期の保育・教育の充実や若者の自立支援、母子の健康の増進、地域における子育て支援、児童虐待防止対策の充実など、生まれる前から大人になるまでの切れ目のない総合的な支援を推進します。    2023(令和5)年4月、新たにこども基本法が施行されました。この法では、日本国憲法や児童の権利に関する条約の精神にのっとり、すべてのこどもが、将来に渡って幸福な生活を送ることができる社会「こどもまんなか社会」の実現を目指し、こども政策を総合的に推進することを目的に、こども施策の基本理念のほか、こども大綱の策定、こども等の意見の反映、市町村こども計画の策定などについて定められました。    また、本市では、2025(令和7)年4月に、横浜市こども・子育て基本条例が施行されます。条例では、こども・子育てについての基本理念として、「全てのおとなは、こども基本法の精神にのっとりこどもがその個性と能力を十分に発揮でき、社会を構成する一員として、その年齢及び発達の程度に応じて意見が尊重される環境を整備することが、誰もが未来への希望が持てる活力ある社会を構築するための基盤であるという認識の下、相互に協力してこどもを育む社会の形成に取り組む」ことを掲げています。    こども基本法に定められる市町村こども計画については、条例第8条において、「この条例を踏まえて策定する」こととしています。 【2ページ】   こども基本法、横浜市こども・子育て基本条例の施行を踏まえて、改めて、本計画の法的根拠と位置付けを次のように整理します。 法的根拠 子ども・子育て支援法 計画の位置付け 市町村子ども・子育て支援事業計画 法的根拠 次世代育成支援対策推進法 計画の位置付け 市町村行動計画 法的根拠 こども基本法/横浜市こども・子育て基本条例 計画の位置付け 市町村こども計画 法的根拠 子ども・若者育成支援推進法 計画の位置付け 市町村子ども・若者計画 ※子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく「横浜市子どもの貧困対策に関する計画」については、こどもの貧困対策に資する教育、福祉、こども・子育て支援等の施策の方針や取組を、より詳細にまとめたうえで、丁寧に進めていくことを目的とした計画であるため、引き続き個別の計画として推進します。 なお、子どもの貧困対策の推進に関する法律の一部を改正する法律が2024(令和6)年6月26日に公布され、子どもの貧困対策の推進に関する法律の名称が「こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律」に改められています。 3 計画の期間  2025(令和7)年度から2029(令和11)年度までの5年間とします。   4 計画の対象  心身の発達過程にある者とその家庭を対象とします。 ・主に、生まれる前から乳幼児期を経て青少年期に至るまでの、おおむね20歳までのこどもとその家庭とします。 ・若者の自立支援については39歳までを対象とするなど、施策の内容により、必要に応じて対象となる年齢に幅を持たせ、柔軟な対応を行います。 【3ページ】 5 本市における他計画との関係  横浜市中期計画をはじめ、こども・子育て支援施策に関連する各分野の計画と連携・整合を図りながら、こどもや子育て家庭への支援を総合的に推進していきます。    <関連する主な計画等> 横浜市中期計画  横浜市ひとり親家庭自立支援計画  横浜市こどもの貧困対策に関する計画  横浜市の社会的養育推進の基本的な方針  横浜市男女共同参画行動計画  横浜市障害者プラン  横浜市教育振興基本計画  横浜市地域福祉保健計画  横浜市自殺対策計画 こども、みんなが主役! よこはまわくわくプラン  よこはま保健医療プラン  健康横浜21  横浜DX戦略  横浜市多文化共生まちづくり指針  図書館ビジョン  横浜市地震防災戦略  横浜市都市計画マスタープラン 【4ページ】 第2章  こどもや子育てを取り巻く状況 1 人口や少子化の状況 (1) 人口、出生すう、合計特殊出生率の推移 ・本市の人口は、2021(令和3)年の約377.6万人をピークに減少に転じました。なお、2021(令和3)年における市外への転出者数は13.1万人、市外からの転入者数は13.9万人となっ ています。 ・「横浜市外転出者・市内転入者意識調査」によると、2021(令和3)年度中に市内から東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に転出した20〜44歳のうち、世帯に就学者等や未就園者がいたかたは10.9%、他方、東京圏から転入した20〜44歳のうち、世帯に就学者等や未就園者がいたかたは16.1%でした。 ・2021(令和3)年から約50年後の2070(令和52)年の将来人口推計によると、本市の人口は約2割減少して、301.3万人と推計されています。 ・本市の18歳未満の人口をみると、10年前の2014(平成26)年の57.7万人から約1割減少し、2024(令和6)年は51.4万人となっています。 【5ページ】 ・本市の出生すうは減少傾向にあります。2016(平成28)年には3万人を割り、2022(令和4)年時点で約2.3万人となっています。 ・本市の合計特殊出生率は2005(平成17)年以降上昇傾向に転じ、2015(平成27)年には1.37となりましたが、その後低下し、2022(令和4)年時点で1.16となっています。また、全国(2022年時点で1.26)と比較すると、低い水準で推移しています。 ・本市の未婚割合は上昇傾向にあります。2010(平成22)年における40〜44歳の未婚割合は、男性は29.8%、女性16.9%でしたが、2020(令和2)年における未婚割合は、40〜44歳で は、男性33.0%、女性21.0%に上昇しています。 【6ページ】   ・少子化により、地域や社会の担い手の減少、現役世代の負担増加などに加え、こども同士や子育て中の保護者同士の交流の機会の減少など、こどもの育ちをめぐる環境も変容しています。 ・こども・若者にとって、乳幼児と触れ合う機会や、地域とこども・子育て家庭の交流機会が減少しているとの指摘もあります。 ・出産や子育てが個人の選択であることを前提としながら、希望する人が安心してこどもを生み育てることができる環境づくりを進めると共に、すべてのこどもの健やかな育ちを支える必要があります。 【7ページ】 2 こども・家庭の状況 (1) 世帯状況の変化 ・本市の6歳未満の親族がいる世帯数は、2000(平成12)年に約15.2万世帯(一般世帯数に占める割合:11.2%)でしたが、2020(令和2)年には約13.0万世帯(同:7.4%)となって います。 ・2020(令和2)年時点で、6歳未満の親族がいる世帯のうち95.8%が核家族世帯となっています。子育て世帯の減少や核家族化は、地域の住民がこどもや子育て世帯と接する機会の減少につながり、地域の中で子育て家庭の状況を把握しづらくなっています。 【8ページ】 ・「横浜市子ども・子育て支援事業計画策定に向けた利用ニーズ把握のための調査」(以下、「ニーズ調査」という。)(未就学児保護者)では、子育てに対する周囲からの支えがない人の割合は、2013(平成25)年度は16.2%でしたが、2023(令和5)年度は22.0%となっており、祖父母等の親族や、友人・知人・近所の人など、周囲から子育てに対する支えが得られない家庭が増加しています。 【9ページ】 (2) 就労状況等の変化 ・「ニーズ調査」(未就学児保護者)によると、父母共に就労している共働き世帯の割合は、2013(平成25)年度の40.8%から2023(令和5)年度には68.6%に上昇しています。   ・母親の現在の就労状況について、フルタイムで就労している割合やパート・アルバイト等で就労している割合が上昇傾向にあり、「以前は就労していたが、現在は就労していない」「これまで就労したことがない」と回答した未就労の母親が減少傾向にあります。2023(令和5)年度における母親の就労形態は、フルタイムが48.4%、パート・アルバイト等が23.2%、未就労が27.1%となっています。 【10ページ】 ・未就労の母親のうち、就労意向がある割合は80.2%となっています。このうち、「今年度中」または「来年度中」に就労したい人が希望する就労形態はパート・アルバイト等が85.6%となっています。 ・父親が育児休業を取得した割合は、2013(平成25)年度の4.2%から2023(令和5)年度は40.6%に増えました。市民意見交換会では、参加者の実感として、5年前に比べて「父親の育児参加が増えたと思う」との意見も出されており、家庭での子育て事情に変化が見られます。 ・新型コロナウイルス感染症をきっかけとして、テレワークやワークシェアリングなど柔軟で多様な働きかたが一層推進されています。また、企業主導型保育事業を活用した保育施設や託児所付きオフィスを設ける企業も増えるなど、子育て世帯の希望を踏まえた、仕事と子育ての両立に向けた様々な働きかたに対応した取組も見られます。 ・以上のように、フルタイムやパート・アルバイト等の就業形態に加え、働く場所や時間の多様化など、様々な働きかたのニーズに対応できるよう、保育・教育の基盤や子育て支援の充実と併せて、企業や地域など社会のあらゆる担い手がそれぞれの役割を果たし、安心して子育てができる社会環境を作っていくことが求められています。 【11ページ】 (3) こどもの状況 (ア) 子育て家庭の教育・保育事業利用状況 ・「ニーズ調査」(未就学児保護者)によると、日中の定期的な教育・保育事業を利用している割合は、2013(平成25)年度の0さい児17.6%、1歳児37.9%、2歳児47.8%から、2023(令和5)年度には0さい児26.5%、1歳児63.3%、2歳児が75.2%と、大きく上昇しています。 ・共働き世帯の増加に伴い、低年齢から長期間保育所等を利用しているこどもが増えてきています。 ・保育・教育現場の実感として、父母共にフルタイムで就労している世帯を含めた共働き世帯の増加に伴い、長期間かつ長時間保育所等を利用するこどもが増加しているとの声があります。 ・保育・教育の質の向上に加え、保護者と保育・教育施設等が両輪でこどもの育ちを支えていけるよう、保護者と保育・教育現場の双方への支援の充実が必要です。一方で、定期的な教育・保育事業を利用しておらず、地域とのつながりや他者との関わりが相対的に少ないと考えられる在宅で子育てを行う家庭への支援も必要です。 (イ) 保育・教育施設外や学校外の過ごしかたや外遊び ・「ニーズ調査」(小学生保護者)では、小学生の居場所の利用を促す方法として「様々な体験活動ができる」、「大人の見守りがある」、「自然の中で遊べる」の割合が高くなっています。また、学校の授業や行事以外での自然体験を「していない」割合は約3割となっています。 ・夏の暑さが増している中で、季節を問わず安全・安心に活動できる環境が求められます。保育・教育現場の声として、新型コロナウイルス感染症拡大や夏の暑さによる外遊びの減少などの影響により、体力が落ちたり、情緒面で実年齢より幼いこどもが増えているとの指摘があります。 ・市民意見交換会の中では、こどもの居場所に関することとして、雨の日の遊び場を求める声や、公園や既存公共施設の利用方法、学校以外の居場所の充実などに関する意見が出されています。 【12ページ】 (ウ) 発達や障害等の状況 ・「ニーズ調査」(小学生保護者)によると、発達や障害に関する医師の診断が「ある」小学生の割合は12.7%で、10年前の7.4%から増加しています。 ・手帳保持者数は2014(平成26)年度の12,668人から2023(令和5)年度には18,810人と約1.5倍となり、増加傾向にあります。手帳種別にみると、精神障害者保健福祉手帳と愛の手 帳(療育手帳)保持者数が特に増加しています。 ・放課後等デイサービス支給決定人数は2018(平成30)年の6,468人から2022(令和4)年には9,886人と約1.5倍となり、発達障害児の増加が示唆されています。 ・周産期医療、新生児医療の進歩等を背景として、早産児・低出生体重児・先天性疾病のこどもたちが、医療機関での長期入院後も引き続き人工呼吸器や胃ろう等の医療てきケアを日常的に必要とするケースが増加しています。 ・疾病や障害の有無にかかわらずすべてのこどものインクルーシブな育ちの環境づくりの強化が求められています。 【13ページ】 (4) 子育て家庭が抱える不安感・負担感 ・「ニーズ調査」(未就学児保護者)によると、「子育てに不安を感じたり、自信を持てなくなったりしたこと」について、「妊娠中」では60.5%(「よくあった」「時々あった」の合計)、「出産後、半年くらいまでの間」では72.3%(「よくあった」「時々あった」の合計)があったと回答しています。 ・「ニーズ調査」(未就学児保護者)によると、子育てに関しての困りごとでは、「子どものしかりかた・しつけ」が56.0%、「仕事との両立」が45.7%、「子どもの教育」が39.2%、「経済的な負担」が38.1%など、子育てに関して何らかの困りごとを抱えている人が92.7%となっています。 【14ページ】 ・市民意見交換会の中で出された子育ての悩みやニーズは、5年前と比較して多様化している傾向が見られます。中でも、「行政手続や公的支援に望むこと」として、経済的支援の充実や手続のオンライン化などを求める声が多く出されています。 ・子育て家庭が抱える様々な不安や負担感を軽減し、子育てやこどもの成長に喜びや生きがいを感じることができるような支援が必要です。 【15ページ】 (5) こどもと子育て家庭の暮らしとウェルビーイング ・「令和5年度全国学力・学習状況調査」によると、普段の生活の中で幸せな気持ちになることが「ある」「ときどきある」と回答した割合は、本市の小学校(公立)の児童で91.1%、ちゅう学校(公立)の生徒で88.1%となっています。 ・「ニーズ調査」(こども本人向けの質問)によると、「あったらいいなと思う場所」として「建物の中で思いきり遊べる場所」が66.5%、「友だちとたくさんおしゃべりできる場所」が63.3%、 「運動が思いきりできる場所」が49.3%となっています。 ・市民意見交換会では、「こんな支援があったらいいな」というテーマの中で、「こどもの居場所」の充実を求める意見が最も多く出されています。また、「親自身の居場所」に関する声も多く聴かれ、子連れイベントなど、親同士が知り合う機会や場を求めている実態が分かりました。 ・「ニーズ調査」(未就学児保護者・小学生保護者)によると、こどもを育てている現在の生活満足度は5年前と比較して低下しています。相談相手がいる人や、暮らしの状況として「ゆとりがある」と回答した人は、満足度が高い傾向となっています。 【16ページ】 ・横浜市立大学と連携した「家庭と子育てに関するコホート研究(ハマスタディ)」によると、フルタイムで働く妻の平日の家事時間はこどもがいない家庭の1.8時間に対し、こどもがいる家庭は2.2〜2.5時間となっています。夫はこどもの数と家事時間に関連が見られず、妻の家事時間のおよそ半分となっています。また、妻の家事時間が長くなるにつれて妻のウェルビーイングが悪化する傾向があり、妻の家事時間とウェルビーイングには負の相関が見られます。 【17ページ】 (6) 様々な状況にあるこども・若者 ・「横浜市におけるヤングケアラーに関する実態把握調査」では、小学5年生の20.3%、中学2年生の13.5%、高校2年生の5.4%が家族の中に世話をしている人が「いる」と回答しています。「いる」と回答したこどものうち、自分がヤングケアラーだと思うこどもの割合は、小学5年生で8.6%、中学2年生で6.5%、高校2年生で11.0%となっています。 ・「横浜市子ども・若者実態調査」の推計によると、2022(令和4)年度のひきこもり状態にある15〜39歳の人数は約1.3万人となっています。 【18ページ】 ・2021(令和3)年度の内閣府「若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果」報告書 によると、若年層(16〜24歳)のうち、4人に1人以上(26.4%)が何らかの性暴力被害に遭っています。身体接触を伴う被害は12.4%(女性15.0%、男性5.1%)、性交を伴う被害は4.1%(女性4.7%、男性2.1%)となっています。 ・児童虐待相談対応件数は増加傾向にあり、2023(令和5)年度には14,035件と過去一番多い数となりました。   ・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、横浜市の不登校児童生徒すうは8,170人、暴力行為の発生件数は4,939件となっています。 ・こども・若者や家庭が抱える困難や課題は、様々な要因が複合的に重なり合って、いじめ、不登校、自殺企図、ひきこもり、無業状態、孤独・孤立、非行といった様々な形態で表出するものであり、表出している課題に係る支援に加えて、複合的な課題に対して個々に寄り添った多面的な支援の重要性が指摘されています。 ・「こどもまんなか社会」の実現に向けて、すべてのこどもや若者が虐待、いじめ、暴力、経済的搾取、性犯罪・性暴力、災害・事故などから守られ、困難な状況に陥った場合には助けられ、差別されたり、孤立したり、貧困に陥ったりすることなく、安全に安心して暮らすことができるよう、適切な支援を行うことが重要です。 ・居場所を持てていることや、またその居場所が複数あることは、自己肯定感や将来への希望などの自己認識の前向きさに関係し、こどもの育ちにとって極めて重要です。どのこどもも分け隔てなく過ごせるよう、身近な地域で、こども・若者のニーズを踏まえた多様な居場所が確保されるようにしていく必要があります。 【19ページ】 3 地域・社会の状況 (1) 地域とのつながり ・「ニーズ調査」(未就学児保護者)によると、日常の子育てを楽しく、安心して行うための重要なサポートとして、「子育てに対する周囲の理解の促進」を挙げた人が48.3%となっています。 ・また、地域社会から見守られている、支えられていると感じない人(「そう感じない」「どちらかといえばそう感じない」の合計)は、未就学児保護者では31.6%、小学生保護者では25.7%います。そのようなかたは生活満足度が低い傾向にあり、安心した子育て環境をつくるうえでも、地域で子育て世帯を見守り、支えることが重要となっています。 ・市民意見交換会では、「こどもが楽しく関われる地域の場がほしい」「サービスだけではなく地域でのつながりがほしい」「親同士の交流機会や場があるといい」など、地域・人との交流や居場所を求める意見が多く寄せられています。 ・本市のNPO法人に関して、2023(令和5)年12月時点で1,498の認証法人が設立されています。そのうちこどもの健全育成を図る活動を行っているのは約45%であり、こども・子育てに関連する活動への関心の高さが伺えます。 ・コミュニティサロンやこども食堂・地域食堂など、市内のこどもや子育て家庭を支える地域の居場所には多世代交流の拠点として幅広い年代を対象とした取組も行われています。地域福祉保健計画と連動して、分野を超えた身近な地域のつながりづくりの取組に対する支援のありかたを考えていくことが必要です。 【20ページ】 (2) 情報化社会の進展とDXに対するニーズ (ア) こどものインターネット等の利用実態 ・2023(令和5)年度のこども家庭庁の調査によると、インターネットを利用している全国の10〜17歳のこどものうち、1日の平均利用時間は、小学生では約3.8時間、中学生では約4.7時間、高校生では約6.2時間となっています。 ・「ニーズ調査」(小学生保護者)では、小学生保護者の44.1%が、子育ての困りごととして「子どものネットやゲームとの付き合いかた」を挙げています。 ・インターネット利用の低年齢化と合わせ、SNSなどによるトラブル、長時間の利用による生活習慣の乱れ、犯罪被害などの問題も指摘されています。 ・こどもにとって安全・安心な多様な居場所が確保されることで、SNSやインターネットの長時間利用によるトラブルなどを防ぐことも期待されます。 (イ) 子育て支援サービスのデジタル活用に対するニーズ ・「ニーズ調査」(未就学児保護者・小学生保護者)では、子育て支援の電子化に期待することとして、「区役所等に行く頻度が減ること」「作成する必要のある書類が減ること」「電子申請・届出が可能な子育て支援サービスの対象拡大」が多く求められています。 ・市民意見交換会では、「自分から探さなくても、情報を得られると助かる」「情報が一か所に集まっていてほしい」などの意見が出されています。 ・いわゆるデジタルネイティブ世代が子育て世代となっていることも踏まえて、今後、デジタルを活用した子育て支援の更なる展開が求められます。 【21ページ】 (3) 国際化の状況と多文化共生 ・本市の外国人人口は2021・2022(令和3・4)年に一時減少しましたが、2024(令和6)年には約12万人となり、近年で最も多くなっています。日本語指導が必要な児童生徒すうは、2024(令和6)年には約4,200人と、2014(平成26)年の約1,400人から約3倍に増加しています。 ・外国につながる子育て家庭からは、書類や行政手続のデジタル化により、多言語化や母国語への翻訳が行いやすくなるなどの声もあります。 ・こども・子育て支援を推進するうえでも、言葉や文化の違いへの配慮、地域でつながる機会の工夫など、多文化共生の視点が重要となっています。 【22ページ】 4 第2期計画の振り返り  第2期計画(2020(令和2)年度〜2024(令和6)年度)の取組状況については、毎ねん度、横浜市子ども・子育て会議において点検・評価を行っています。  第2期計画では、目指すべき姿として「未来を創る子ども・青少年の一人ひとりが、自分の良さや可能性を発揮し、豊かで幸せな生きかたを切り拓く力、共に温かい社会をつくり出していく力を育むことができるまち『よこはま』」を掲げ、子ども・青少年への支援、子育て家庭への支援、社会全体での支援を進めるため、3つの施策分野と9つの基本施策により、計画を推進しました。また、新型コロナウイルス感染拡大により、市民生活や経済活動に大きな影響が生じ、中止や縮小を余儀なくされる事業がある中で、こども・子育て支援の分野においてもくらし・経済対策に力を入れて取り組んだほか、オンラインの活用等、事業手法の見直しを進めました。  2023(令和5)年度までの4か年における、各基本施策の主な取組状況は以下のとおりです。 ※第2期計画の毎ねん度の点検・評価結果(各基本施策の指標や主な事業・取組の進捗状況)は、横浜市ホームページに掲載しています。 施策分野1 子ども・青少年が様々な力を育み、健やかに育つ環境をつくる (子ども・青少年への支援) 基本施策1 乳幼児期の保育・教育の充実とがくれい期までの切れ目のない支援 ・増加する保育ニーズに対応するため、既存資源の活用や保育所の整備等を進めました。保育所待機児童数は、2024(令和6)年4月時点で5人でした。また、保育士宿舎借り上げ支援事業、就職面接会、園へのコンサルタントの派遣等を実施し、保育士等の確保に取り組みました。 ・幼児教育・保育の質の向上を目的とした園内研修リーダー育成研修の受講園の割合は、2023(令和5)年度時点で累計37%となりました。また、横浜で大切にしたいこどもの育ちや学び、保育・教育の方向性を示す、「よこはま☆保育・教育宣言〜乳幼児の心もちを大切に〜」の周知啓発に向け、記念講演や保育・教育施設等向けのブックレットの作成を行いました。 ・通常の保育では対応できない多様なニーズに対する子育て支援として、特別保育事業(一時保育、乳幼児一時預かり、びょう児保育・病後児保育等)を実施することで、保護者の育児不安や負担軽減に寄与しました。また、事業の拡充や、一時預かりの予約システムの構築等に取り組みました。 ・保育所等における医療てきケア児の受入れ推進のため、新規事業として2023(令和5)年度に、常時医療てきケア児の受入れが可能な12園を「医療てきケア児サポート保育園」として認定しました。 ・架け橋プログラムリーフレット「Let's talk about our 架け橋プログラム@ヨコハマ」を作成・活用し、幼保小職員がこどもの育ちや学びについて共通の視点を持ち、対話する機会を創出しました。また、「探究心を育む『遊び』研究会」の開催や、幼保小の円滑な接続に向けた横浜版接続期カリキュラム実践事例集(第9集)を刊行するなど、幼保小連携の促進に取り組みました。 【23ページ】 基本施策2 がくれい期から青年期までの子ども・青少年の育成施策の推進 ・安全安心な放課後の居場所の提供及び放課後児童健全育成事業の質の向上を図るため、職員向け研修のオンラインやオンデマンド化による受講機会の拡充や、運営主体向け研修の実施等により、人材育成の推進を図りました。また、医療てきケア児を受け入れるための看護師を配置した場合の支援等を拡充し、医療てきケアを必要とする児童の受入れを推進しました。 ・放課後児童健全育成事業の充実に向け、利用児童と保護者のニーズ等を把握するための調査を行い、サービスの充実や事業者への支援に向けた検討を進めました。また、放課後キッズクラブ及び放課後児童クラブ向けの情報受伝達や一部の補助金申請業務のオンライン手続きをモデル実施し、放課後キッズクラブ及び放課後児童クラブと区役所、こども青少年局等との連携及び将来的な事務負担軽減に向けた取組を進めました。 ・コロナ禍では、施設の利用制限下でも実施可能な体験活動やオンラインでのプログラムを実施する等、多様な体験活動の機会を提供し、心身共に健やかに成長できる環境づくりに取り組みました。 ・青少年関係施設では、こども・若者の健やかな成長に向け、様々な人との交流や体験活動の機会を提供してきましたが、コロナ禍においては、施設の利用制限により、参加者数が計画を大幅に下回りました。新型コロナウイルスの感染症法上5類感染症への移行後は、宿泊の人数制限の撤廃など、徐々に通常に近い形で運営や事業を実施し、参加者数が計画を若干下回る程度まで回復しました。 ・青少年に効果的な広報・啓発方法として、高校生世代の居場所や相談機関の紹介ポータルサイト「ふぁんみっけ」の運用を開始しました。   基本施策3 若者の自立支援施策の充実 ・若者自立支援機関(青少年相談センター、地域ユースプラザ、若者サポートステーション)における相談支援や社会体験・就労体験プログラム等を通じて、本人の状態に応じた支援に取り組み、2023(令和5)年度は、80%の方の自立に向けた継続的な利用と社会参加につながりました。 ・よこはま型若者自立塾は、2023(令和5)年度から一定の支援期間を定めたうえで効果を図る事業へと見直しました。本人が希望する次の進路を目指せるよう、座学や体力づくり、体験活動等を通じて、自分のありたい姿を支援者と利用者が共に設計することで、82%のかたに自立に向けた改善が見られました。 ・来所や電話でつながりにくい若者からの相談を受け付けるため、LINE相談窓口を2023(令 和5)年9月に開設しました。39歳までのかたとそのご家族等を対象に、毎日午後2時から9時の間、専門の相談員がLINEチャットによる相談を実施し、2023(令和5)年度は、2,656件の相談対応を行いました。 ・養育環境に課題があり、支援を必要とする家庭に育つ小・中学生等に対し、生活・学習習慣の習得支援を行う寄り添い型生活支援事業を、2023(令和5)年度は18区21か所で実施しました。また、支援者向けの研修を実施し、支援者のスキル向上と支援内容の標準化に取り組みました。 【24ページ】 ・ヤングケアラーを見守り、支える環境づくりを進めるため、特設ウェブサイトの開設や小学4年生以上の生徒への相談カード配付等の広報・啓発を行うと共に、関係機関向けの研修を実施しました。また、ピアサポートやオンラインサロンを実施する2団体へ立ち上げ及び運営費用の補助を行いました。   基本施策4 障害児への支援の充実 ・発達障害児等の増加に伴い地域療育センターの利用希望児童が増加し、利用申込から初診までの期間が長期化していたため、初期支援のありかたを協議しました。利用申込後、早期に支援を開始できるよう、こどもの遊びの場の提供や保護者への助言や相談対応を行うひろば事業等を行い、初期支援の充実に取り組みました。 ・2023(令和5)年度時点で、療育訓練や余暇支援等を提供する児童発達支援事業所は255か所、放課後等デイサービス事業所は489か所となり、障害児の支援体制が拡充されました。また、事業所に対して実地指導、集団指導、研修を実施し、サービスの質の向上に取り組みました。 ・児童発達支援及び放課後等デイサービスの利用者(保護者)向けに、利用ニーズ等を把握するためのアンケート調査を実施しました。また、関係団体等にご協力をいただき、放課後等デイサービス等を利用する児童を対象として、こどもの意見や声を聴く取組を実施しました。 ・医療てきケア児・者等の在宅生活を支援するため、横浜型医療てきケア児・者等コーディネーターを育成し、市内6区に配置しました。2023(令和5)年度には質の向上のための事例検討・研修等を実施しました。また、医療てきケア児・者等の受入れを推進する支援者養成研修やフォローアップ研修及び見学実習も実施しました。 ・メディカルショートステイ事業の推進について、協力医療機関関係者及びソーシャルワーカーとの会議を開催し、情報共有や意見交換を行いました。また、在宅人工呼吸器を使用しているなどの高度な医療てきケア児・者を事業の対象者に加えました。 施策分野2 誰もが安心して出産・子育てができる環境をつくる(子育て家庭への支援)   基本施策5 生まれる前から乳幼児期までの一貫した支援の充実  ・にんしんSOSヨコハマを運営し、予期せぬ妊娠への相談を電話・メールにより365日対応しました。2023(令和5)年7月からは、LINEによる相談支援を開始しました。また、産後うつ等の心の不調を抱える妊産婦や家族が精神科医に相談しやすい環境整備のため、おやこの心の相談を実施しました。 ・母子保健コーディネーターを全区の福祉保健センターに配置し、継続した相談対応や母子保健サービスの利用案内等を行い、妊婦や養育者の不安の軽減を図りました。出産・子育て応援事業として、妊産婦へアンケートを実施し、必要に応じて電話等による支援を行いました。また、妊産婦や乳幼児等の情報を電子化することで、一元的な把握ができるようになりました。 【25ページ】 ・こんにちは赤ちゃん訪問員による乳児家庭全戸訪問や専門職による訪問指導等により、親子が地域で孤立化せずに安心して育児ができるよう支援を進めました。 ・不妊治療の保険適用開始に伴い、不妊症・不育症に関する相談事業を拡充しました。治療に関する専門相談に加え、心理相談を開始し、治療中のかたの心のケアにも取り組みました。小児医療費助成事業については、2023(令和5)年8月から中学3年生までの所得制限及び一部負担金を撤廃しました。 ・妊産婦や乳幼児の災害時における避難行動や避難生活で必要となる支援について、こども青少年局、総務局、健康福祉局、医療局が連携して検討を行い、その検討内容を庁内で共有するための職員向けの冊子を作成しました。 基本施策6 地域における子育て支援の充実 ・地域子育て支援拠点事業を全区で実施すると共に、地域子育て支援拠点に準じた機能を持つ拠点サテライトを2023(令和5)年度時点、8区で実施しました。拠点へのアクセスが良くない地域では出張ひろばを実施し、拠点を利用していない家庭への積極的なアプローチに取り組みました。また、オンラインを活用し、外出しづらい利用者に向けた利用者同士の交流や相談支援等を実施しました。 ・親と子のつどいの広場を増設しました。また、親と子のつどいの広場事業に対し、新たに育児参加促進講座休日実施加算を補助したことにより、2023(令和5)年度は全74か所中44か所で講座が実施されました。 ・保育所子育てひろば・幼稚園はまっ子広場を市内75か所で実施し、親子の交流の場等を提供すると共に、育児に関する講座等を行いました。 ・子育て支援者事業は、養育者の交流や子育て相談を、2023(令和5)年度は地区センターなどの身近な市民利用施設等177会場で実施しました。 ・親子の居場所(地域子育て支援拠点事業、親と子のつどいの広場事業、保育所子育てひろば・幼稚園はまっ子広場、子育て支援者事業)にかかる事業について、それぞれの強みを活かした連携のありかたの整理を目的に検討会を実施し、連携を進めるための具体的な取組の方向性をまとめました。 基本施策7 ひとり親家庭の自立支援/配偶者等からの暴力(DV)への対応と未然防止 ・ひとり親家庭の総合的な窓口である「ひとり親サポートよこはま」において、情報提供や就労相談、弁護士等による専門相談等を、関係機関と連携して実施しました。ひとり親家庭の自立を促進するため、自立支援教育訓練給付きん及び高等学校卒業程度認定試験合格支援事業について、支給上限額を引き上げました。また、日常生活支援事業は、利用者負担を無償化しました。 ・中学に進学したこどもを養育するひとり親家庭に対し、学習の不安や教育費の確保等の悩みに対応するため、思春期・接続期支援事業を実施しました。2023(令和5)年度に利用者の定員を80名から100名に増員し、子の学習支援は96名、親の相談支援は73名が利用しました。 【26ページ】 ・母子生活支援施設入所者の自立支援及びたいしょ後支援において、相談助言、その他必要な支援を行う職員を雇用している施設に対して補助を実施しました。 ・DV(ドメスティック・バイオレンス)被害者等を対象に、こども青少年局・区役所・男女共同参画センターが一体てきにDV相談支援センターの機能を果たし、相談・安全確保から自立までの切れ目のない支援を実施しました。 ・保護施設等において、DV被害を受けたかたの緊急の一時保護や生活・育児支援、自立に向けた支 援等を行いました。また、シェルターを運営する民間団体へ運営費の補助を行うことで、DV被害者等の一時保護や一時保護中の安全確保、自立に向けた支援を実施しました。併せて、多様化するニーズや背景に対応するため、一時保護施設等のたいしょ後支援事業や、女性のための一時宿泊型相談支援事業等を実施しました。 施策分野3 社会全体で子ども・青少年を育てる環境をつくる(社会全体での支援)   基本施策8 児童虐待防止対策と社会的養護体制の充実 ・児童福祉法に基づく、こども家庭総合支援拠点(市区町村子ども家庭総合支援拠点機能)を2022(令和4)年度より全区のこども家庭支援課に整備し、要保護児童等への支援の強化や、こどもや家庭からの様々な相談に専門職が対応するこども家庭相談を実施しました。 ・2021(令和3)年10月の横浜市子供を虐待から守る条例の一部改正により明文化した、こども に対する体罰等の禁止等について、広報・啓発を行いました。また、児童虐待や体罰によらない子育ての理解が広がり、子育て世帯を温かく見守り支援できるよう、こども虐待防止市民サポーター講座を開催しました。併せて、児童虐待に対応する職員の人材育成として、児童虐待とDVや、こどもの権利擁護等の研修を実施しました。 ・増加する児童虐待対応と支援強化のため、鶴見区で新たな児童相談所の整備に着手しました。新たな児童相談所の開所までの対応として、市内東部方面に中央児童相談所のサテライト拠点を設置し、児童虐待への迅速な対応を図りました。 ・里親制度が広く理解され広まるよう、広報動画を作成し制度の認知度向上に取り組みました。また、2023(令和5)年度から新たに里親フォスタリング事業を開始し、制度説明会やリクルートの実施、里親制度講演会の開催、里親研修の開催回数の増加に取り組み、里親確保に努めました。 ・児童養護施設等をたいしょし、自立生活を目指す児童に対して、共同生活の中で就労支援等を行い、自立と生活の安定に向けた援助を行う自立援助ホームを運営すると共に、心理担当職員を配置し、心理面からの自立支援を行うための補助を実施しました。 基本施策9 ワーク・ライフ・バランスと子ども・青少年を大切にする地域づくりの推進 ・ワーク・ライフ・バランスと多様で柔軟な働きかたを実現できる環境づくりに向けて、誰もが働きやすい職場づくりに積極的に取り組む市内中小企業を「よこはまグッドバランス企業」として認定すると共に、企業の経営者や人事・労務担当者を対象にセミナーやワークショップを実施しました。 【27ページ】 ・父親育児の気運を高め、父親同士の仲間づくりを支援するため、地域ケアプラザ等の身近な施設、市内企業において父親育児支援講座を開催しました。 ・子育て家庭応援事業(愛称「ハマハグ」)について、地域子育て支援拠点と連携し、地域において子育て支援に協力的な店舗・施設に新規登録の働きかけを行うなど、こどもを大切にする社会的な気運の醸成に取り組みました。 ・バリアフリーや遮音性に配慮する等、施設・構造面が子育て世帯等にやさしく、保育所等の地域向け子育て支援施設を併設したマンションを「横浜市地域子育て応援マンション」として認定するなど、子育てに適した住環境整備を促進し、子育て世代が安心して子育てできる住まい、まちづくりを推進しました。 【28ページ】 第3章 本市の目指すべき姿と基本的な視点 1 目指すべき姿   すべてのこどものウェルビーイングを社会全体で支え、未来を創るこども一人ひとりが、自分の良さや可能性を発揮し、豊かで幸せな生きかたを切り拓(ひら)く力、共に温かい社会をつくり出していく力を育むことができるまち「よこはま」    こどもは、家族にとっても、社会にとっても、大きな可能性を持ったかけがえのない存在であり、未来を創る力です。彼らは、やがて成長し社会を支え、その次の世代を育む側へと移り、さらに次の世代につながっていく。こうした連綿と続く営みにより横浜の未来は創られます。  こどもの成長と子育てを支援することは、一人ひとりのこどもや家族の現在と将来に渡る幸せ(ウェルビーイング)につながるだけでなく、次代の担い手を育むという意味でも、社会全体で取り組むべき重要な課題の一つです。こども自身の思いや意見を大切にしながら、こどもや子育て家庭を優しいまなざしで包み込み、温かく寄り添い、応援していく環境づくりを社会全体で進めていくことが不可欠です。  横浜のこどもたちが、地域の関わりの中で、豊かに育ち、温かな社会をつくる原動力となるよう、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、一人ひとりの健やかな育ちが等しく保障され、「こどもの最善の利益」が実現される社会を目指します。  また、誰もがこどもを生み育てやすいと実感でき、こどもの成長の喜びや生きがいを感じながら子育てできるまち「よこはま」を目指していきます。   【29ページ】   2 計画推進のための基本的な視点  「目指すべき姿」の実現に向けて、次の7つを基本的な視点として、施策事業を組み立て、推進します。  1 こどもの視点に立った支援  こどものより良い育ちを社会全体で支え、こどもの人権と最善の利益が尊重されるよう、こどもが意見を表明する機会を確保しながら、「こどもの視点」に立って、施策・事業の推進に取り組みます。  2 すべてのこどもへの支援  疾病や障害の有無にかかわらずこどもの健やかな育ちを等しく保障するため、一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援と、必要となる支援を誰もが受けられる環境を整え、すべてのこどもを支援する視点を持って取り組みます。  3 それぞれの発達段階に応じ、育ちや学びの連続性を大切にする一貫した支援  こども一人ひとりの発達段階に応じた育ちや学びが積み重なるよう、こどもの成長を長い目でとらえ、こどもの育ちや学びに関わる大人、関係機関、地域資源が連携しながら、支援の連続性・一貫性を大切にする視点を持って取り組みます。  4 こどもに内在する力を引き出す支援  こどもを多様な人格を持った個として尊重し、一人ひとりが自分の良さや可能性を見つめ、自己肯定感を高めながら内在する力を発揮することができるよう、その力を引き出していくという共感のまなざしと関わりを大切にする視点を持って取り組みます。  5 家庭の子育てりょくを高めるための支援  保護者が地域の中で温かく見守られ、支えられながら、妊娠、出産、子育てをするうえで、不安や負担感、孤立感を抱えることなく、こどもの成長の喜びや生きがいを感じながら子育てできるよう、家庭の子育てりょくを高めるための視点を持って取り組みます。  6 子育て世代の「ゆとり」を創り出すための支援  誰もが安心して出産・子育てができ、また、保護者が気持ちに余裕を持ってこどもに向き合うことで、親子の笑顔と幸せにつながるよう、子育て世代の「ゆとり」を創り出すための視点を持って取り組みます。  7 様々な担い手による社会全体での支援 〜自助きょうじょこうじょ〜  「自助・きょうじょ・こうじょ 」(自助=自分や家族でできることを行う。自分の力を発揮できるようにする。 きょうじょ=地域や仲間同士でお互いに助け合いながら、できることを行う。こうじょ=個人や家族・地域等でできない支援を公的機関が行う。)の考えかたを大切にしながら、社会におけるあらゆる担い手が、こども・子育て支援を課題としてとらえ、それぞれの立場で役割を担うと共に、様々な社会資源や地域との連携・協働を図りながら、社会全体での支援を進めていく視点を持って取り組みます。 【30ページ】 第4章 施策体系と事業・取組 1 施策体系図  「目指すべき姿」の実現に向けて、「計画推進のための基本的な視点」を踏まえ、2つの重点テーマ、3つの施策分野、9つの基本施策により、計画を推進します。   目指すべき姿 すべてのこどものウェルビーイングを社会全体で支え、未来を創るこども一人ひとりが、自分の良さや可能性を発揮し、豊かで幸せな生きかたを切り拓(ひら)く力、共に温かい社会をつくり出していく力を育むことができるまち「よこはま」 基本的な視点 1 こどもの視点に立った支援 2 すべてのこどもへの支援 3 それぞれの発達段階に応じ、育ちや学びの連続性を大切にする一貫した支援 4 こどもに内在する力を引き出す支援 5 家庭の子育てりょくを高めるための支援 6 子育て世代の「ゆとり」を創り出すための支援 7 様々な担い手による社会全体での支援〜自助・きょうじょ・こうじょ〜 重点テーマ/施策分野・基本施策 重点テーマ1 すべてのこどものウェルビーイングを支える 重点テーマ2 子育て家庭が実感できる「ゆとり」を生み出す   施策分野1 すべてのこども・子育て家庭への切れ目のない支援  基本施策1  生まれる前から乳幼児期までの一貫した支援の充実  基本施策2  地域における子育て支援の充実  基本施策3  乳幼児期の保育・教育の充実とがくれい期への円滑な接続  基本施策4  がくれい期から青年期までのこども・若者の育成施策の推進  基本施策5  障害児・医療てきケア児等への支援の充実 施策分野2 多様な境遇にあるこども・子育て家庭への支援  基本施策6  困難を抱えやすいこども・若者への支援施策の充実  基本施策7  ひとり親家庭の自立支援/DV被害者や困難な問題を抱える女性への支援  基本施策8  児童虐待防止対策と社会的養育の推進 施策分野3 社会全体でのこども・子育て支援  基本施策9 社会全体でこども・若者を大切にする地域づくりの推進 【31ページ】 2 指標一覧 重点テーマ1 1 青少年の地域活動拠点等において利用者の自己肯定感が高まったと感じた割合 直近の現状ち(令和5年度) 63% 目標ち(令和11年度) 70%   2 よこはま子ども・若者相談室の利用者アンケート「気持ちが軽くなった」と回答した割合 直近の現状ち(令和5年度) 68.4% 目標ち(令和11年度) 80%   3 「横浜市学力・学習状況調査」における生活・学習意識調査のうち、生活意識に関する次の各項目で肯定的に回答した割合 @将来の夢や目標をもっていますか 直近の現状ち(令和5年度) 小学生 86.3%・中学生 71.0% 目標ち(令和11年度) 維持・向上 A自分のことが好きですか 直近の現状ち(令和5年度) 小学生 78.6%・中学生 71.7% 目標ち(令和11年度) 維持・向上 B自分にはよいところがあると思いますか 直近の現状ち(令和5年度) 小学生 81.9%・中学生 78.2% 目標ち(令和11年度) 維持・向上 重点テーマ2 4 子育て家庭がゆとりを実感している割合 <今後、現状ちを把握し、目標ちを設定したうえで原案に反映>   施策分野1 基本施策1 1 アウトカム 4か月健診でお子さんに対して育てにくさを感じているかたが、相談先を知っているなど、解決方法を知っている 指標 「4か月健診の問診票」から育てにくさを感じているかたが、相談先を知っているなど、解決方法を知っている割合 直近の現状ち(令和5年度) 78.7% 目標ち(令和11年度) 81.6% 2 アウトカム 3歳児健診で、お子さんに対して育てにくさを感じているかたが、相談先を知っているなど、解決方法を知っている 指標 「3歳児健診の問診票」から育てにくさを感じているかたが、相談先を知っているなど、解決方法を知っている割合 直近の現状ち(令和5年度) 80.4% 目標ち(令和11年度) 83.0% 基本施策2 3 アウトカム 親子の居場所の 利用を通じて、 つながりを つくったり、 情報が得られている 指標 「利用ニーズ把握のための調査」おいて、親子の居場所を「利用している」「過去に利用していた」と回答した割合 直近の現状ち(令和5年度) 50.6% 目標ち(令和11年度) 57%【令和10年度】 【32ページ】 基本施策2 4 アウトカム 子育てについて不安に感じるかたが減少する 指標 「利用ニーズ把握のための調査」において、現在の子育てについて、不安を感じたり、自信が持てなくなることが「よくあった」「時々あった」と回答した割合 直近の現状ち(令和5年度) 58.3% 目標ち(令和11年度) 55%【令和10年度】   5 アウトカム 子育て家庭が地域に見守られている 指標 「利用ニーズ把握のための調査」において、子育てをしていて地域社会から見守られている、支えられていると「感じる」「どちらかといえばそう感じる」と回答した割合 直近の現状ち(令和5年度) 32.4% 目標ち(令和11年度) 55%【令和10年度】   基本施策3 6 アウトカム 待機児童の解消 指標 待機児童数 直近の現状ち(令和5年度) 5人【令和6年4月1日】 目標ち(令和11年度) 0にん   7 アウトカム こどもたちが自分の思いや主体性を尊重された保育・教育を受けている 指標 こどもの思いや主体性を尊重した保育・教育を実践している施設等の割合 <今後、現状ちを把握し、目標ちを設定したうえで原案に反映> 基本施策4 8 アウトカム クラブを利用する児童の満足度の向上 指標 放課後キッズクラブ・放課後児童クラブを利用する児童へのアンケートのうち、『クラブは楽しいですか』の項目で「楽しい」「どちらかというと楽しい」と回答した児童の割合 直近の現状ち(令和5年度) 89% 目標ち(令和11年度) 95% 9 アウトカム こども・若者が居場所を持ち、多様な体験を重ねることで自身の成長を感じることができる 指標 青少年の地域活動拠点等において利用者の自己肯定感が高まったと感じた割合 直近の現状ち(令和5年度) 63% 目標ち(令和11年度) 70% 10 アウトカム 多様な地域資源が連携し、ネットワークを構築することで、地域でこども・若者の見守りが充実している 指標 地域で青少年育成の連携・協働を促進するため、(公財)よこはまユースが支援をおこなった団体数 直近の現状ち(令和5年度) 757団体 目標ち(令和11年度) 877団体 【33ページ】 基本施策5 11 アウトカム 地域療育センターと保育所等の地域の関係機関との連携が図られている 指標 地域療育センターが実施する保育所等への巡回訪問回数 直近の現状ち(令和5年度) 2,496回 目標ち(令和11年度) 3,500回 12 アウトカム 保育所等に通う 医療てきケア児への支援力が強化され、医療てきケア児が 安心して通園できる 指標 保育所等医療てきケア児支援看護師研修受講者 アンケートで研修内容が 日頃の業務に活用できる と回答した割合 直近の現状ち(令和5年度) 91.8% 目標ち(令和11年度) 100% 施策分野2 基本施策6 13 アウトカム 若者が社会参加している 指標 青少年相談センター、地域ユースプラザ、若者サポートステーションの支援による改善者数 直近の現状ち(令和5年度) 年 1,539人 目標ち(令和11年度) 累計 7,700人 14 アウトカム こども・若者の不安や悩みが軽減している 指標 よこはま子ども・若者相談室の利用者アンケートで「気持ちが軽くなった」と回答した割合 直近の現状ち(令和5年度) 68.4% 目標ち(令和11年度) 80% 15 アウトカム ヤングケアラーを社会全体で見守り、支える環境づくりができている 指標 ヤングケアラー支援研修等の受講者数 直近の現状ち(令和5年度) 年 998人 目標ち(令和11年度) 累計 6,000人 基本施策7 16 アウトカム ひとり親家庭が本市支援により就労に至っている 指標 ひとり親サポートよこはま等の支援により就労に至ったひとり親の数 直近の現状ち(令和5年度) 年 345人 目標ち(令和11年度) 累計 1,800人 17 アウトカム ひとり親家庭のこどもが進学や就職に向けて取り組んでいる 指標 思春期接続期支援事業の事後アンケートで「将来の夢や就職について目標がある」と回答したこどもの割合 直近の現状ち(令和5年度) 68.1 % 目標ち(令和11年度) 70.0% 18 アウトカム DV等被害者が、適切に相談支援に繋がっている 指標 DVに関する相談件数 直近の現状ち(令和5年度) 4,527件 目標ち(令和11年度) 5,000件 基本施策8 19 アウトカム こどもの安心安全が保障されている社会の 実現(虐待死の根絶) 指標 児童虐待による死亡者数 直近の現状ち(令和5年度) 2人 目標ち(令和11年度) 0にん 20 アウトカム こどもと保護者の心理・社会的孤立の解消 指標 @こども家庭センター設置数 直近の現状ち(令和5年度) 3か所【令和6年度】 目標ち(令和11年度) 18か所 A合同ケース会議での協議件数(妊産婦、こども、子育て家庭に対する一体てき支援の実施数) 直近の現状ち(令和5年度) なし 目標ち(令和11年度) 30,000件 21 アウトカム こどもの最善の利益を図るための家庭養育の優先 指標 @里親委託率 直近の現状ち(令和5年度) 20.7% 目標ち(令和11年度) 36.3% A里親登録者数 直近の現状ち(令和5年度) 277組 目標ち(令和11年度) 324組 Bファミリーホーム設置数 直近の現状ち(令和5年度) 8か所 目標ち(令和11年度) 10か所 【34ページ】 施策分野3 基本施策9 22 アウトカム 男女共に仕事と子育てを両立できる環境が整備されている 指標 市内事業所における男性の育児休業取得率 直近の現状ち(令和5年度) 40.6% 目標ち(令和11年度) 40.6%以上 23 アウトカム こどもや子育てにやさしい地域づくりが進んでいる 指標 子育て環境が整っていることを理由に、横浜に住み続けたいと考える子育て世帯等の割合 直近の現状ち(令和5年度) 15.2% 目標ち(令和11年度) 20% 【35ページ】 3 施策分野・基本施策とその目標・方向性 重点テーマ1 すべてのこどものウェルビーイングを支える 重点テーマ2 子育て家庭が実感できる「ゆとり」を生み出す 施策分野1 すべてのこども・子育て家庭への切れ目のない支援 基本施策1 生まれる前から乳幼児期までの 一貫した支援の充実 (1)妊娠・出産・不妊に関する正しい知識の普及啓発や相談支援の充実 (2)妊娠期からの切れ目のない支援の充実 (3)乳幼児の健やかな育ちのための保健対策の充実 (4)安全・安心な妊娠・出産に向けた産科・周産期医療及び小児医療の充実 基本施策2 地域における子育て支援の充実 (1)妊娠期からの支援と親子がつどえる場や機会の充実 (2)幼児期の豊かな「遊びと体験」の提供 (3)保護者・養育者が気がるに相談できる場や機会の確保 (4)地域における子育て支援の質の向上 (5)地域ぐるみでこども・子育てを温かく見守る環境づくり 基本施策3 乳幼児期の保育・教育の充実と がくれい期への円滑な接続 (1)保育・幼児教育の質の確保・向上 (2)個別に支援が必要な児童に対する支援 (3)保育所、幼稚園、認定こども園から学校への円滑な接続 (4)保育・幼児教育の場の確保 (5)保育・幼児教育を担う人材の確保 (6)多様なニーズへの対応と充実 基本施策4 がくれい期から青年期までのこども ・若者の育成施策の推進 (1)小学生のより豊かな放課後等の居場所づくり (2)いわゆる「小1の壁」の打破 (3)こども・若者の成長を支える基盤づくり (4)こども・若者の成長を見守り、支える地域社会づくり (5)こども・若者の人権を守る取組の推進とこども・若者の意見の反映 基本施策5 障害児・医療てきケア児等への 支援の充実 (1)地域療育センターを中心とした地域における障害児支援の充実 (2)将来の自立等に向けた療育と教育の連携等による切れ目のない支援の充実 (3)障害児相談支援をはじめとする相談支援の充実 (4)障害児入所施設の環境向上と入所児童の地域移行の推進 (5)医療てきケア児や重症心身障害児等への支援の充実 (6)こどもの意見を聴く取組等の推進と、障害への理解促進 施策分野2 多様な境遇にあるこども・子育て家庭への支援 基本施策6 困難を抱えやすいこども ・若者への支援施策の充実 (1)こども・若者を社会全体で見守り、悩みや課題の早期発見・早期支援につなげる環境づくり (2)世帯全体を視野に入れたこども・若者への支援の充実 (3)切れ目ない支援を実現するための関係機関等の連携 基本施策7 ひとり親家庭の自立支援/ DV被害者や困難な問題を 抱える女性への支援 (1)ひとり親家庭の経済的・時間的な困難を軽減するための総合的な自立支援 (2)ひとり親家庭のこどもに対する学習支援などの直接的なサポート充実と意見表明機会の提供 (3)DV被害者や困難を抱える女性とそのこどもへの安全・安心の確保、自立支援 (4)支援に関わる職員の資質向上、体制の強化及び啓発等 基本施策8 児童虐待防止対策と 社会的養育の推進 (1)児童虐待対策の総合的な推進 (2)児童虐待対応の支援策と児童相談所の機能強化 (3)社会的養育の推進 (4)こどもの意見表明機会の確保と権利擁護の取組の推進 施策分野3 社会全体でのこども・子育て支援 基本施策9 社会全体でこども・若者を 大切にする地域づくりの推進 (1)多様で柔軟な働きかたと共育ての推進 (2)こどもを大切にする社会的な気運の醸成と安全・安心な地域づくり (3)こどもの意見を施策・事業に生かす取組の推進 【36ページ】 4 重点テーマ  2023(令和5)年4月にこども基本法が施行され、市町村こども計画としても位置付けを行う最初の計画となること、「横浜市中期計画2022-2025」では、基本戦略「子育てしたいまち次世代を共に育むまちヨコハマ」を掲げて、広く子育て世代に響く支援を進めていることを踏まえて、計画期間中、各施策分野を通して特に重きを置いて進める事項として、第3期計画で新たに2つの重点テーマを設定します。  「目指すべき姿」と「計画推進のための基本的な視点」を踏まえ、こどもへの支援、子育て家庭への支援、社会全体でのこども・子育て支援を進めるため、2つの重点テーマ、3つの施策分野、9つの基本施策により、計画を推進していきます。 【ページの見かた】 <重点テーマ> @背景  国の動きや社会の状況をはじめ、重点テーマを設定する背景や現状について記載しています。   A方向性と主な取組内容  重点テーマの中で掲げる方向性と主な取組内容を記載しています。主な取組内容は、基本施策1〜9における「主な事業・取組」の中から、重点取組に資するものを抜き出して位置付けています。   Bアウトカムと指標  重点テーマについて、アウトカム(達成したい最終的な状態)とその指標(生じた変化・効果を測るための指標)を設定しています。   【重点テーマ1】 すべてのこどものウェルビーイングを支える <背景> (1) こども基本法、こども大綱、横浜市こども・子育て基本条例 ・2023(令和5)年4月、こども施策に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、こども施策の基本となる事項を定めると共に、こども政策推進会議を設置すること等により、こども施策を総合的に推進することを目的としたこども基本法が施行されました。 ・こども基本法に基づく「こども大綱」では、すべてのこどもが身体的・精神的・社会的に将来に渡って幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる社会=「こどもまんなか社会」の実現を目指しています。 【37ページ】 ・「こどもまんなか社会」の実現は、こどもが尊厳を重んぜられ、自分らしく自らの希望に応じてその意欲と能力を生かすことができるようになることにつながるとされています。それはすなわち「未来を創るこども一人ひとりが、自分の良さや可能性を発揮し、豊かで幸せな生きかたを切り拓く力、共に温かい社会をつくり出していく力を育む」という、本計画で掲げる「目指すべき姿」そのものに通じます。 ・また、「こどもまんなか社会」とは、20代、30代を中心とする若い世代が、それぞれの希望に応じ、家族を持ち、こどもを生み育てることや、不安なく、こどもとの生活を始めることができる社会でもあるとされています。 ・「こどもまんなか社会」の実現が、結果として、少子化・人口減少の流れを大きく変えると共に、未来を担う人材を社会全体で育み、社会経済の持続可能性を高めることにもつながるとされています。 ・2025(令和7)年4月には、「横浜市こども・子育て基本条例」が施行されます。条例は、こども・子育てについての基本理念を定め、市の責務や市民、事業者及び育ち学ぶ施設の関係者の役割を明らかにし、また、こども・子育てに関する施策の基本事項を定めた内容となっています。 ・「こども基本法」「こども大綱」「横浜市こども・子育て基本条例」を踏まえたうえで、こどもにとっての最善の利益が考慮され、すべてのこどもが伸び伸びと成長し、その個性と能力を十分に発揮できる環境を整えられるよう、社会全体で取り組んでいく必要があります。 (2) こども・子育て家庭を包括的に支える地域ネットワーク ・こども・若者や家庭が抱える困難や課題は、様々な要因が複合的に重なり合って、いじめ、不登校、自殺企図、ひきこもり、無業状態、孤独・孤立、非行といった様々な形態で表出するものであり、その課題に直面しているこども・若者への支援に加え、保護者への支援をはじめとする成育環境や社会的養護への対応も含め、重層的にアプローチしていく必要があります。 ・また、困難を抱えながらも、SOSを発信できないこどもに対しても、地域における関係機関やNPO等の民間団体、行政が連携し、当事者に寄り添いつつ、プッシュ型・アウトリーチ型の支援を届けていく必要があります。 ・「こども大綱」では、教育・保育、福祉、保健、医療等の関係機関・団体が密接に情報共有・連携を行う「横のネットワーク」と、特定の年齢で途切れることなく継続して支援を行う「縦のネットワーク」による包括的な支援体制の構築が求められています。 ・特に、障害児・医療てきケア児への支援、慢性疾病・難病を抱えるこどもへの支援、児童虐待対策と社会的養護の推進、ヤングケアラーへの支援、こどもの貧困対策など、こどもや子育て家庭が抱える困難や課題に対して、ライフステージを通して、支援が行き届くことが必要です。 ・また、昨今の課題として、こども・若者の自殺対策、性犯罪対策をはじめ、犯罪・事故からこどもを守る環境整備や、地域連携の中でのいじめ防止等の重要性も指摘されています。 ・「ニーズ調査」のこども本人への質問では、「横浜市がどのようなまちになってほしいか」との問いに対して「安全・安心なまち」と答えた人が最も多く、24.1%となりました。こどもが、安全・安心に過ごし、健やかに育つことができる環境が求められています。 【38ページ】 ・こどもの生命を守り、犯罪被害や事故、災害からの安全を確保することがすべてのこどもが健やかに育つための大前提であるとの認識の下、本市として、有害環境対策、防犯・交通安全対策、防災対策等を進めていく必要があります。 ・多様化・複雑化するニーズや課題に対して、きめ細やかに対応していくためには、関係機関が連携し、地域が一体となってこどもとその家庭を支えるためのネットワークを構築していくことが重要であり、こどものウェルビーイング向上のための共通基盤となります。 (3) 居場所・遊び場、体験活動の機会の充実 ・遊びや体験活動は、こどもの健やかな成長の原点です。 ・2023(令和5)年12月に閣議決定された「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン(はじめの100か月の育ちビジョン)」では、乳幼児の育ちにとって「愛着」の形成と豊かな「遊びと体験」が不可欠であるとされており、「安心と挑戦の循環」を通してこどものウェルビーイングを高めることがビジョンに盛り込まれています。多様なこどもや大人、モノ・自然・絵本・場所など身近なものとの出会い・関わりにより、興味・関心に合わせた「遊びと体験」を保障することで、挑戦を応援していくことが必要であるとされています。 ・乳幼児に限らず、こどもが遊びに没頭し、身体の諸感覚を使い、自らの遊びを充実、発展させていくことは、言語や数量等の感覚などの認知的スキルや、創造力や好奇心、自尊心、想像力や思いやり、やり抜く力、折り合いをつける力などの社会情動的スキルの双方を育むことに加え、多様な動きを身に付け、健康を維持することにつながり、ひいては、生涯に渡る幸せにつながっていきます。 ・「ニーズ調査」のこども本人への質問では、「あったらいいなと思う場所」として「建物の中で、思いきり遊べる場所」「友だちとたくさんおしゃべりできる場所」「運動が思いきりできる場所」「建物の外で、思いきり遊べる場所」などに多くの回答が集まりました。 【39ページ】 ・すべてのこどもが、家庭や学校以外にも、自分にとって安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、そこで様々な遊びや学び、体験活動の機会に接することができ、自己肯定感を高められるよう、環境整備を進めていくことが必要です。 (4) こどもの意見表明・施策への意見反映 ・こどもにとって、自らの意見が十分に聴かれ、自らによって社会に何らかの影響を与える、変化をもたらす経験は、自己肯定感や自己有用感、社会の一員としての主体性を高めることにつながっていきます。 ・また、幼い頃から積み重ねられた主体的な自己決定あるいは意見表明の経験は、青年期から成人期に至る若者の意見表明や主体的な社会参画につながることから、こどもの意見を表明する機会の確保は、現在の、そして将来のこどもの幸せにつながるものです。 ・「こども基本法」では、こども施策の基本理念として、「すべてのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係するすべての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること」、「すべてのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること」が掲げられています。 ・「横浜市こども・子育て基本条例」においても、こども基本法の精神にのっとり、こどもがその個性と能力を十分に発揮でき、社会を構成する一員として、その年齢及び発達の程度に応じて意見が尊重される環境を整備することが、誰もが未来への希望が持てる活力ある社会を構築するための基盤であるという認識の下、相互に協力してこどもを育む社会の形成に取り組むものとされました。 ・こどものウェルビーイング向上のためには、こうした法や条例の趣旨を社会全体で共有すると共に、こども自身がその内容について理解を深められるようにしていくことが大切です。 ・こどもが対象となる幅広い施策・事業において、当事者であるこども自身が直接意見を表明できる機会を積極的に取り入れることやその意見を施策に反映することなどについて、本市全体で取り組んでいく必要があります。 【40ページ】 <方向性と主な取組内容> こうした背景を踏まえて、重点テーマT「すべてのこどものウェルビーイングを支える」に向けた3つの方向性を整理しました。   (1)た機関連携によるこども・子育て家庭の安全・安心を支えるための基盤づくりと地域ネットワークの構築 ・こども家庭センター機能を区こども家庭支援課に段階的に設置し、こども・子育て家庭を包括的に支える基盤を整備します。 ・こども家庭センターでは、妊産婦やこども・子育て家庭からのあらゆる相談を受け止め、関係機関と共に個々のこどもとその家庭の状況に応じた切れ目のない支援を行います。困難を抱えながらもSOSを発信できないこどもや家庭をできるだけ早期に把握し、支援につなげられるよう、多様な関係機関との連携を強化します。 ・また、地域全体のニーズ・既存の地域資源の把握を行うと共に、関係機関等と課題を共有し、解決策を共に検討するネットワークをつくり、不足する地域資源については新たな担い手や地域資源を開拓します。 ・さらに、個別の悩みや困りごとを抱えるこども自身が、相談・支援につながることができる環境を整えます。 ・ソフト面・ハード面を問わず、こどもたちの安全・安心を守ることができるよう、地域や関係機関とも連携しながら、こどものSOSに気づくための見守りや、安全・安心につながる教育、まちづくりを推進します。 ・これらの取組により、こども本人や子育て家庭へ必要な支援を着実に届けることが提供できる体制を整備し、こども一人ひとりが健やかに育ち、保護者が安心して子育てできる地域づくりを進めていきます。 【41ページ】 主な取組 <こども・子育て家庭を包括的に支える基盤整備とネットワーク構築>  こども家庭センター機能の設置 施策2 <こども自身が相談・支援につながることができる取組>  青少年相談センター事業 施策6  地域ユースプラザ事業 施策6  若者サポートステーション事業 施策6  困難を抱える若者に対するSNS相談事業 施策6  ヤングケアラー支援事業 施策6  不登校児童生徒支援事業 施策6  不登校のこども等困難を抱えやすいこどもの居場所づくり 施策6  地域等と連携したいじめ等の防止 施策6  外国につながるこどもたちへの支援事業 施策6  日本語指導が必要な児童生徒への支援の充実 施策6  寄り添い型生活支援事業 施策6  寄り添い型学習支援事業 施策6  放課後学び場事業 施策6  思春期・接続期支援事業 施策7  若年女性支援モデル事業 施策7  デートDV防止事業 施策7 <こどもたちの安全・安心を守る取組>  地域防犯活動支援事業 施策9  こどもの交通安全対策の推進 施策9  よこはまがくえん隊 施策9  安全教育・防災対策の推進 施策9 【42ページ】 (2)こどもが安心して過ごせる居場所や遊び場・体験活動の充実  各ライフステージを通して、すべてのこどもが安全で安心して過ごせる居場所を充実させ、多様な体験活動や遊びに接することができる機会を創出します。    主な取組 <こどもの居場所・遊び場、体験活動の充実>  地域子育て支援拠点事業 施策2  地区センターにおける親子が集う身近な場の創出 施策2  親と子のつどいの広場事業 施策2  保育所子育てひろば、幼稚園はまっ子広場 施策2  子育て支援者事業 施策2  未就学児に向けた「遊びと体験」ができる環境・機会の提供 施策2  こども・若者の居場所づくり 施策4  こども・青少年の体験活動の推進 施策4  プレイパーク支援事業 施策4  安全・安心な公園づくり 施策4・9  こどもログハウスリノベーション 施策4  子どもの文化体験推進事業 施策4  子どものスポーツ活動支援事業・スポーツ分野における学校訪問事業 ・トップスポーツチーム連携事業 施策4  こどもと港とのふれあい機会の創出 施策4  MICE次世代育成事業 施策4  横浜トリエンナーレ事業 施策4・9  フェスティバルによるにぎわい創出事業 施策4  芸術文化教育プログラム推進事業 施策4  文化施設運営事業 施策4  子どもアドベンチャーカレッジ事業 施策4  こども食堂等のこどもの居場所づくりに対する支援 施策4  読書に親しむ機会の創出と図書館サービスの充実 施策9    【43ページ】 【44ページ】 (3)年齢や発達の程度に応じてこどもが意見を表明でき、その意見が尊重され、「こどもまんなか社会」に生かされる仕組み 各ライフステージを通して、多様な形で現れるこどもの思いや願いを受け止める姿勢をもち、その年齢・発達の程度に応じて、こどもが意見を表明できる機会の確保に努めていきます。また、こどもが関わるあらゆる施策において、こどもの意見を施策に反映するための取組を継続的に進めていきます。 主な取組 <こどもの思いや意見を聴き、尊重するための取組>  「よこはま☆保育・教育宣言〜乳幼児の心もちを大切に〜」を活用した取組の推進 施策3  保育・幼児教育研修及び園内研修・研究の推進 施策3  こども・若者の意見を反映した事業の実施 施策4  こどもの意見を聴く取組の推進/こども・若者の意見を聴く取組の推進  (障害児等、困難を抱えやすいこども・若者、ひとり親家庭、社会的養育)  (その他こどもが関わる施策一般) 施策5・施策6・施策7・施策8・施策9  児童相談所等の相談・支援策の充実 施策8 <アウトカム指標> 指標 青少年の地域活動拠点等において利用者の自己肯定感が高まったと感じた割合 直近の現状ち(令和5年度) 63% 目標ち(令和11年度) 70% 指標 よこはま子ども・若者相談室の利用者アンケート「気持ちが軽くなった」と回答した割合 直近の現状ち(令和5年度) 68.4% 目標ち(令和11年度) 80% 指標 「横浜市学力・学習状況調査」における生活 ・学習意識調査のうち、生活意識に関する次の各項目で肯定的に回答した割合 @将来の夢や目標をもっていますか 小学生 直近の現状ち(令和5年度) 86.3% 目標ち(令和11年度) 維持・向上 中学生 直近の現状ち(令和5年度) 71.0% 目標ち(令和11年度) 維持・向上 A自分のことが好きですか 小学生 直近の現状ち(令和5年度) 78.6% 目標ち(令和11年度) 維持・向上 中学生 直近の現状ち(令和5年度) 71.7% 目標ち(令和11年度) 維持・向上 B自分にはよいところがあると思いますか 小学生 直近の現状ち(令和5年度) 81.9% 目標ち(令和11年度) 維持・向上 中学生 直近の現状ち(令和5年度) 78.2% 目標ち(令和11年度) 維持・向上 アンケート・調査はあくまで回答者本人の主観に基づくもので、ウェルビーイングの状況を把握するための1つの要素 にはなりますが、これをもってこどものウェルビーイング全体を測るものではありません。こども大綱では、こども施 策に関するデータの整備として、「こどもに着目したウェルビーイング指標の在りかたについて検討を進める」こととさ れています。本市としても、国の動向を踏まえながら、より適切な指標について、引き続き研究していきます。 【45ページ】 【重点テーマ2】子育て家庭が実感できる「ゆとり」を生み出す <背景> (1)世帯状況の変化、共働き家庭の増加 ・本市の一般世帯数は、2000(平成12)年の約135万世帯から増加を続け、2020(令和2)年時点で約174万世帯となっています。 ・単独世帯が増加する一方で、第2章7ページにあるとおり、こどもがいる世帯は減少しており、6歳未満の親族がいる世帯数は、2000(平成12)年に約15.2万世帯(一般世帯数に占める割合:11.2%)でしたが、2020(令和2)年には約13.0万世帯(同:7.4%)となっています。 ・三世代同居世帯が減少し、核家族が増加するなど、世帯の規模が小さくなっており、2020(令和2)年時点で、6歳未満の親族がいる世帯の約95.8%が核家族となっています。 ・子育て家庭の就労状況については、「ニーズ調査」において、共働き世帯の割合は未就学児調査で68.6%(5年前から13.2ポイント増)、小学生調査で67.6%(5年前から9.5ポイント増)となっており、増加傾向にあります。 ・共働き家庭のうち、夫婦共にフルタイム就労している割合を見ると、未就学児調査で46.1%(5年前から6.1ポイント増)となっており、同様に増加傾向にあることが分かります。 (2)子育て家庭が抱える不安・負担の増加 ・世帯状況の変化は、地域の住民がこどもや子育て世帯と接する機会の減少につながっています。加えて、核家族化により、近くに両親がいないなど祖父母世代の協力を得られにくいことなどが、子育て家庭が抱える不安感や負担感の一因となっているものと考えられます。 ・市内外からの転入が多い地域では、身近に支援してくれる人がおらず、また、自身に土地勘もあまりないために孤立しやすい状況があります。 【46ページ】 ・共働き家庭の増加に伴い、女性の年齢階級別労働力率(M字カーブ)が解消に向かう一方で、仕事と家事・育児の両立に悩む家庭も少なくありません。 ・第2章13ページ・20ページにあるとおり、「ニーズ調査」における「現在、子育てをしていて感じている困りごと」で「仕事との両立」を挙げた家庭の割合は、未就学児調査で45.7%、小学生調査で29.0%に及んでいます。 ・また、市民意見交換会では、経済的な支援の必要性に加えて、親子のコミュニケーションを取るための時間や、リフレッシュを目的とした一人の時間確保の必要性について、多くの意見が寄せられました。 ・仕事や家事、育児に追われ、時間的・精神的にゆとりのない状況が日常的に見られるようになっています。 ・また、子育てに関する情報はあふれている一方、情報選択の難しさ、行政からの情報がタイムリーに必要な人に届きにくいといった課題が、現場の声として挙げられています。 ・親子の身近な居場所については、地域による偏りや、利用にあたっての物理的・心理的なハードルの高さが指摘されています。 <市民意見交換会で出されたゆとりに関する意見(抜粋)> ・子どもを産んだ後、「大人と話したい」という気持ちが高まる。 ・子どもを産もうとする時に一番悩む「経済的支援」はやはり大事。 ・家事代行を利用している時間に、子どもに向き合うと決めた。 ・「ちょっと話せる」「ほっとできる」「ぼーっとできる」みたいなことを求めている。 ・夏休みシーズンの子どものご飯問題、送迎問題は非常に共感した。 【47ページ】 (3)ゆとりある生活の必要性 ・横浜市立大学と連携した「家庭と子育てに関するコホート研究(ハマスタディ)」では、夫婦が共にフルタイム勤務である子育て家庭の家事時間について、妻に比べて、夫は短い傾向となっており、さらに、妻の家事時間が長くなるにつれて、妻のウェルビーイングが低下する傾向となる調査結果が出ています。 ・「こども大綱」では、こども施策に関する基本的な方針の一つに「子育て当事者が、経済的な不安や孤立感を抱いたり、仕事との両立に悩んだりすることなく、また、過度な使命感や負担を抱くことなく、健康で、自己肯定感とゆとりを持って、こどもに向き合えるように取り組む」と示されています。 ・保護者が時間的、精神的、経済的なゆとりを持って日々の生活を送ることは、保護者がこどもに向き合う時間を充実させることにつながります。また、保護者が、子育てをするうえで、不安や負担感、孤立感を抱えることなく、こどもの成長の喜びや生きがいを感じることは、こどもの健やかな成長につながっていきます。 ・子育て世代の「ゆとり」は、子育て中の親子の笑顔や幸せ、生活満足度の向上に欠かせない要素の一つと言え、中期計画の基本戦略に掲げた「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」を実現していくためにも、本市として子育て家庭のゆとりの創出に重点的に取り組んでいく必要があります。 【48ぺージ】 【49ページ】 <方向性と主な取組内容>  こうした背景を踏まえ、本計画において重点テーマUとして「子育て家庭が実感できる『ゆとり』の創出」を掲げました。「子育て家庭が実感できる『ゆとり』の創出」に向けて、7つの方向性を整理したうえで、具体的な取組を「ゆとりへの架け橋プラン(仮称)」として、総合的に推進していきます。 <7つの方向性> (1)子育て家庭の「時間的負担感が軽減」されている (2)こどもの「預けやすさが実感」できている (3)「小1の壁が打破」されている (4)子育て家庭の「経済的負担感が軽減」されている (5)子育ての困りごとがいつでも相談でき、「精神的負担感が軽減」されている (6)子育て家庭がほしい情報に簡単にアクセスでき、「子育ての見通しが持てている」 (7)親子が「身近な遊び場・居場所で楽しむ」ことができている 主な取組 主な事業・取組 子育て応援アプリ「パマトコ」 7つの方向性 (1)時間的負担感の軽減 該当する基本施策 施策2 7つの方向性 (6)情報・子育ての見通し 該当する基本施策 施策9 主な事業・取組 にもつかるがる保育園事業 7つの方向性 (1)時間的負担感の軽減 該当する基本施策 施策3 主な事業・取組 ちゅう学校給食事業 7つの方向性 (1)時間的負担感の軽減 該当する基本施策 施策4 主な事業・取組 子育て応援アプリ「パマトコ」家事負担 軽減のためのコンテンツ作成 7つの方向性 (1)時間的負担感の軽減 該当する基本施策 施策9 主な事業・取組 横浜子育てサポートシステム 7つの方向性 (2)預けやすさの実感 該当する基本施策 施策2 主な事業・取組 保育・幼児教育の場の確保 7つの方向性 (2)預けやすさの実感 該当する基本施策 施策3 主な事業・取組 一時預かり事業 7つの方向性 (2)預けやすさの実感 該当する基本施策 施策3 主な事業・取組 こども誰でも通園制度の実施 7つの方向性 (2)預けやすさの実感 該当する基本施策 施策3 主な事業・取組 放課後キッズクラブ・放課後児童クラブにおける長期休業期間中の昼食提供 小学生の朝の居場所づくり事業 7つの方向性 (3)小1の壁の打破 該当する基本施策 施策4 主な事業・取組 妊婦健康しん査事業 7つの方向性 (4)経済的負担感の軽減 該当する基本施策 施策1 主な事業・取組 小児医療費助成事業 7つの方向性 (4)経済的負担感の軽減 該当する基本施策 施策1 主な事業・取組 妊婦のための支援給付 7つの方向性 (4)経済的負担感の軽減 該当する基本施策 施策1 主な事業・取組 出産費用助成事業 7つの方向性 (4)経済的負担感の軽減 該当する基本施策 施策1 主な事業・取組 断熱性能等を備えた良質な住宅の普及促進 7つの方向性 (4)経済的負担感の軽減 該当する基本施策 施策9 主な事業・取組 妊産婦・こどもの健康医療相談事業 7つの方向性 (5)精神的負担感の軽減 該当する基本施策 施策1 【50ページ】 主な事業・取組 妊娠・出産相談支援事業 7つの方向性 (5)精神的負担感の軽減 該当する基本施策 施策1 主な事業・取組 地域子育て相談機関の設置 7つの方向性 (5)精神的負担感の軽減 該当する基本施策 施策2 主な事業・取組 地域子育て支援拠点事業 7つの方向性 (7)親子の身近な居場所 該当する基本施策 施策2 主な事業・取組 地区センターにおける親子が集う身近な場の創出 7つの方向性 (7)親子の身近な居場所 該当する基本施策 施策2 主な事業・取組 親と子のつどいの広場事業 7つの方向性 (7)親子の身近な居場所 該当する基本施策 施策2 主な事業・取組 保育所子育てひろば・幼稚園はまっ子広場 7つの方向性 (7)親子の身近な居場所 該当する基本施策 施策2 主な事業・取組 子育て支援者事業 7つの方向性 (7)親子の身近な居場所 該当する基本施策 施策2 主な事業・取組 安全・安心な公園づくり 7つの方向性 (7)親子の身近な居場所 該当する基本施策 施策4・9 主な事業・取組 こどもログハウスリノベーション 7つの方向性 (7)親子の身近な居場所 該当する基本施策 施策4 主な事業・取組 読書に親しむ機会の創出と図書館サービスの充実 7つの方向性 (7)親子の身近な居場所 該当する基本施策 施策9 <アウトカム指標>  子育て家庭がゆとりを実感している割合  <今後、現状ちを把握し、目標ちを設定したうえで原案に反映> 【51ページ】 5 各基本施策における現状と課題及び今後の方向性 【ページの見かた】 <基本施策> @現状と課題  施策ごとに本市を取り巻く状況と課題を示しています。また、現状や課題を踏まえた施策の必要性についても記載しています。   A施策の目標・方向性  現状・課題を踏まえ、計画期間における各施策の目標や方向性を示しています。   Bアウトカムと指標  各基本施策において、「施策の目標・方向性」を評価し、施策の成果を分かりやすく示すため、アウトカム(達成したい最終的な状態)とその指標(生じた変化・効果を測るための指標)を設定しています。   C主な事業・取組  目標・方向性を踏まえ、計画期間に実施する事業や取組のうち主なものを掲載しています。また、各取組・事業に関連する、現時点で想定している5年間の事業量や直近の現状ちなどを示しています。 【52ページ】   施策分野1 すべてのこども・子育て家庭への切れ目のない支援 基本施策1 生まれる前から乳幼児期までの一貫した支援の充実 現状と課題  (1)これから妊娠・出産・子育てを迎える若い世代の状況 ・若い世代の男女に向け、将来の妊娠・出産に備えて健康管理ができ、ライフプランを主体的に考えることができるよう、妊娠・出産・子育てに関する正しい知識の普及啓発等のプレコンセプションケアの取組を行うことが重要です。低年齢からの性に関する意識付けが必要で、その中でも思春期は、身体面・精神面共に成長・発達による変化が大きい時期であり、性に関する不安や悩み等に対する相談支援の必要があります。 ・「ニーズ調査」(未就学児保護者)ではこどもが生まれる前に赤ちゃんの世話をした経験がない人が74.7%に上り、将来こどもを生み育てることのイメージが持ちにくくなっています。 ・様々な事情により、妊娠を継続することやこどもを生み育てることを前向きにとらえることができない「予期せぬ妊娠」では、母子の健康に大きな影響を及ぼすばかりではなく、生後間もない頃からの虐待につながる場合もあります。妊娠・出産の悩みを一人で抱えることがないよう、相談支援の体制等を充実させることが必要です。 【53ページ】  (2)妊娠・出産・子育て世代の現状と課題 ・核家族化が進み、地域のつながりも希薄となる中、孤立感や不安感を抱く妊婦・子育て家庭も少なくありません。妊娠中から助産師・保健師等の専門的な相談支援を充実させると共に、特に産ぜん産後に安定した生活が送れるよう、家事や育児のサポートを行う支援が重要です。 ・母子保健事業は、悩みを抱える妊産婦等を早期に把握し、相談支援につなげることはもとより、児童虐待の予防や早期発見に資するという観点からも重要です。 ・妊娠期、出産期、新生児期及び乳幼児期を通じて母子の健康を確保し、切れ目のない保健対策を充実させると共に、地域の子育て支援に関わる人や医療機関等とのネットワークを築き、包括的な支援の環境づくりを進めることが重要です。 ・こどもを生み育てたいと希望する人が妊娠・出産につながるよう、不妊治療による精神的な負担軽減への支援が必要です。 ・35歳以上の高齢出産の割合は3人に1人となっています。出産年齢の高齢化により、産後の母親の心身の不調や育児をするうえでの負担感等に影響が生じ、母体に過重な負担がかかっている状況が伺えます。妊娠・出産後も働き、仕事と家庭の両立に取り組む女性が増える中で、母親の健康への支援が重要です。 【54ページ】 ・約1割の産婦に「産後うつ」が発症すると言われており、心の不調を抱える妊産婦を早期に把握し、適切な支援を行う必要があります。 ・妊婦歯科健診の市内の指定医療機関での受診率は43.6%であり、歯科口腔保健に関心を持ってもらえるよう妊娠期からの一貫した働きかけが重要です。 ・むし歯がないこどもが増える一方で、一人で多くのむし歯があるこどもが存在し、口腔機能の健全な発育・発達につながる支援等が必要です。 【55ページ】 ・本市の調査によると子育て家庭の約8割が妊娠前から産後にかけて経済的な負担を感じており、時期をとらえた経済的な支援が必要です。  (3)産科・周産期医療、小児医療の充実 ・出生すうは減少傾向にありますが、分娩取扱施設を確保・維持していくと共に、産婦人科、小児科医師の確保に向けた継続的な支援が必要です。また、産科拠点病院などにより、ハイリスク妊産婦、周産期救急の受入れやNICU(新生児集中治療管理室)など周産期病床の充実、地域連携の継続が重要です。 ・小児救急拠点病院は7拠点24時間365日体制で運営されていますが、少子化の進展による小児患者の減少も見込まれる中、安定的な医療提供体制を維持していくことが必要です。 ・救急相談センター(#7119)について、サービスを維持していくことが必要です。 【56ページ】 施策の目標・方向性  (1)妊娠・出産・不妊に関する正しい知識の普及啓発や相談支援の充実 ・プレコンセプションケアの取組の一つとして、将来、自分らしいライフプランを選択できるよう、低年齢から分かりやすく妊娠、出産も含めた健康に関する正しい知識を伝える取組を充実させます。 ・妊娠、不妊及び出産に関する悩みや不安を持つ人が気がるに相談できるよう、不妊・不育に関する相談体制や女性のための健康相談への対応を充実させます。 ・様々な事情から予期せぬ妊娠をした人等が一人で悩みを抱えることなく気がるに相談ができるよう、相談者一人ひとりの置かれている状況を丁寧に受け止め、相談支援を充実させます。  (2)妊娠期からの切れ目のない支援の充実 ・妊娠中から産後までの心身が不安定になりやすい時期に、必要な支援が受けられ、安心してこどもを生み育てられるよう、妊娠期の相談支援をより一層充実させます。 ・出産ぜんから赤ちゃんのいる生活を想定し、産後の家事・育児の準備ができるよう、両親教室等を充実させます。 ・妊産婦に対する経済的支援を行うことで、妊娠期から出産後までの経済的な負担を軽減します。 ・妊婦健康しん査の定期的な受診を促し、母体や胎児の健康管理を充実させると共に、妊婦の経済的負担や不安の軽減を図り、母子共に安全・安心な出産を迎えるため、妊婦健康しん査の費用助成や受診勧奨を行います。 ・妊娠中から歯の健康に関する正しい知識を持ち、主体的に予防の取組を行うことで、妊婦だけでなく家族の生涯に渡る健康増進につながるよう、妊婦歯科健康しん査を実施します。 ・出産後に保健師、助産師等の専門職や地域の訪問員が訪問し、育児に関する不安・悩みの相談に応じ、親子が地域で孤立せずに、安心して育児ができるよう支援を行います。 ・産ぜん産後の心身の負担や育児不安の生じやすい時期に家事・育児の負担を軽減するための支援を行い、安定して生活を送れるよう支援します。 ・産後うつ等の心の不調を抱える人を早期に把握し支援を行うため、妊娠期から地域の医療機関と連携すると共に、妊産婦やその家族に対し、産後うつに関する知識の普及啓発に取り組みます。 ・災害が発生した場合でも、妊産婦・乳幼児が心身共に健康に過ごすための、適切な避難行動の啓発や、避難環境の整備に取り組みます。    (3)乳幼児の健やかな育ちのための保健対策の充実 ・乳幼児の健やかな発育・発達を支援し、疾病や障害の早期発見・早期支援につながるよう、乳幼児健康しん査や保健指導、訪問指導に取り組みます。また、継続的な支援が必要な場合には、関係機関と連携し適切な支援を行います。 【57ページ】 ・養育者の育児不安を軽減し、見通しを持って子育てができるよう、乳幼児健康しん査等の機会を通じて、こどもの発育・発達段階に応じた正しい知識の啓発や育児力の向上につながる支援の充実に取り組みます。 ・子育てを困難に感じる養育者が、悩みを一人で抱えることなく育児ができるよう、保健師・助産師等による個別相談や家庭訪問において、個々の状況に応じた支援に取り組みます。また、子育ての不安や孤立感を抱える家庭に対しては、継続的に訪問し相談支援を行うほか、ヘルパーを派遣するなど、安定した育児ができるよう支援します。    (4)安全・安心な妊娠・出産に向けた産科・周産期医療及び小児医療の充実 ・周産期病床の確保と共に、ハイリスク分娩への対応や、産科医の勤務環境改善などにより、将来に渡り安定的に医師を確保し、より安全で安心な出産ができる環境づくりを進めます。 ・小児救急拠点病院について、24時間365日体制を維持するため、需要動向を踏まえた検討を行います。小児の病気やケガの対応方法や救急相談センター(#7119)について、普及啓発を行います。 ・子育て世代の経済的な負担を軽減すると共に、中学3年生までのすべてのこどもが安心して医療機関等で受診できるよう、医療費の自己負担分を助成します。 【58ページ】 アウトカムと指標 アウトカム 4か月健診で、お子さんに対して育てにくさを感じているかたが、相談先を知っているなど、解決方法を知っている 指標 「4か月健診の問診票」から育てにくさを感じているかたが、相談先を知っているなど、解決方法を知っている割合 直近の現状ち(令和5年度) 78.7% 目標ち(令和11年度) 81.6% アウトカム 3歳児健診で、お子さんに対して育てにくさを感じているかたが、相談先を知っているなど、解決方法を知っている 指標 「3歳児健診の問診票」から育てにくさを感じているかたが、相談先を知っているなど、解決方法を知っている割合 直近の現状ち(令和5年度) 80.4% 目標ち(令和11年度) 83.0% 主な事業・取組 思春期保健指導事業 プレコンセプションケアの取組の一つとして、区福祉保健センターや学校等で、思春期のこどもやその親に対して、親子関係、思春期の性等について正しい知識の普及を図り、思春期のこどもの心身の健やかな成長を支援します。 想定事業量 思春期保健指導事業参加者延べ人数 直近の現状ち 年 8,266人 令和11年度 年 8,511人 不妊・不育相談事業 妊娠にかかるプレコンセプション相談の一つとして、不妊や不育に悩む人に対して、不妊治療等に関する正確な情報提供や、相談者が個々の状況に応じて対応を自己決定できるよう支援するため、不妊・不育専門相談を行います。 想定事業量 不妊・不育専門相談件数 直近の現状ち 年 27件 令和11年度 年 40件 地域等と連携したこどもの心身の健やかな成長支援 地域にいる健康、医療などの専門家を外部講師として活用し、市立学校の児童・生徒に対して、薬物乱用防止教育、性に関する指導等について正しい知識の普及を図り、こどもの心身の健やかな成長を支援します。 【59ページ】 妊娠・出産相談支援事業 予期せぬ妊娠など、妊娠・出産の不安や悩みを抱えた人が、電話やメール、SNSで気がるに相談できる「にんしんSOSヨコハマ」を運営し、妊娠早期からの相談支援を充実させると共に、安全な妊娠・出産等への支援につなげます。 想定事業量 にんしんSOSヨコハマ相談件数 直近の現状ち 年 583件 令和11年度 年 640件 妊婦健康しん査事業 妊婦健康しん査の定期的な受診を促し、母体や胎児の健康管理を充実させると共に、妊婦の経済的負担や不安の軽減を図り、母子共に安全・安心な出産を迎えるため、妊婦健康しん査の費用助成や受診勧奨を行います。 想定事業量 妊婦健康しん査受診回数 直近の現状ち 年 279,828回 令和11年度 年 298,317回 産科・周産期医療の充実 産科拠点病院の指定により政策的産科医療提供体制を確保します。併せて、分娩を取り扱う医療機関等の確保と産科医師及び小児科医師の負担を軽減するために支援を行います。 また、周産期等の救急患者を受け入れる医療機関の機能の確保及び診療所等との連携を強化する周産期救急連携病院を指定し、横浜市の母体・胎児及び新生児等の二次救急患者受入れの円滑化を図ります。 想定事業量 産科拠点病院数 直近の現状ち 3施設 令和11年度 3施設 想定事業量 周産期救急連携病院数 直近の現状ち 8施設 令和11年度 8施設 小児救急拠点病院事業 小児科医による24時間365日の小児救急医療を実施する医療機関を「小児救急拠点病院」として位置付け、安定的な運用を行います。 想定事業量 小児救急拠点病院数 直近の現状ち 7施設 令和11年度 7施設 【60ページ】 小児医療費助成事業 子育て世代の経済的な負担を軽減し、医療機関を受診しやすい環境を整えるため、所得制限無く0歳から中学生までのこどもの医療費の自己負担分を助成します。 【令和5年度実績】 対象者数:年432,657人 養育医療事業 指定医療機関において医師が入院養育を必要と認めた未熟児の医療費の一部及び入院時食事療養費の自己負担分を助成します。  法に基づき医療費の自己負担を公費負担により軽減することで、必要な受療が促され、こどもの健康回復及び維持が期待できます。 【令和5年度実績】 対象者数:年601人   妊婦のための支援給付 子ども・子育て支援法に基づき、妊婦に対し、妊娠届出後と出生後にそれぞれ給付きんを支給することにより、妊娠期から出産後の経済的負担を軽減します。 妊婦のための支援給付を行うにあたっては、児童福祉法に基づく妊婦等包括相談支援事業との支援を効果的に組み合わせて行い、妊娠期からの切れ目ない支援を行います。 想定事業量 支給決定者数 直近の現状ち 年 49,858人(出産・子育て応援金の支給決定者数) 令和11年度 年 49,994人 出産費用助成事業 出産費用への経済的な負担の軽減と地域格差の解消を目的として、出産育児一時金に加え、市独自に最大9万円を助成することにより、出産費用を理由にためらうことなく安心して出産できる環境の整備を行います。 【令和6年度新規】 妊産婦・乳幼児にかかる災害対策事業 妊産婦・乳幼児の災害時の対応についての市民向けガイドラインの作成、及びその周知・広報など、災害に対する備えや、災害が発生した際に妊産婦、及び乳幼児がいる家庭が安心して避難行動をとるための啓発を実施します。 また、乳幼児・妊産婦の避難を念頭においた地域防災拠点訓練実施の啓発、必要な備蓄品の拠点への配備など、災害時に妊産婦・乳幼児が安全に過ごすための避難環境の整備・検討を行います。 【61ページ】   母子訪問指導事業 妊産婦及び乳幼児の健康の保持・増進を図るため、妊産婦、新生児、未熟児、乳幼児等への妊娠・出産・育児に関する保健指導や相談支援を行います。 初めて子育てをする家庭に対しては、訪問して母子の健康状態やこどもの成長を一緒に確認し、安心して子育てができるよう支援します。 想定事業量 第1子への訪問率 直近の現状ち 91.4% 令和11年度 92.7% こんにちは赤ちゃん訪問事業 地域の訪問員が生後4か月までの乳児がいるすべての家庭を訪問し、育児情報の提供や養育者の話を聴くことにより育児不安の軽減を図ると共に、必要な場合は保健師等の支援につなげます。また、地域の訪問員と親子が顔見知りになることで、日常的な交流のきっかけをつくり、こどもを地域で見守るまちづくりを推進し、児童虐待の予防にもつなげます。 想定事業量 @訪問件数 直近の現状ち 年 22,564件 令和11年度 年 23,567件 想定事業量 A訪問率 直近の現状ち 98.3% 令和11年度 100% 産後母子ケア事業 産後の心身共に不安定になりやすい時期(産後4か月未満)に、家族等から産後の支援を受けられず、また、育児不安が強いなど支援を必要とするかたを対象に、助産所・産科医療機関でデイケアやショートステイを実施し、心身の安定を図り育児不安を早期に軽減します。また、産後4か月未満の外出が困難なかたを対象に、授乳トラブルや母乳育児への不安解消を目的として、訪問型の産後母子ケア事業を実施します。 想定事業量 @訪問型実利用者数 直近の現状ち 年1,097人 令和11年度 年2,256人 想定事業量 A訪問型延べ利用回数 直近の現状ち 年2,000回 令和11年度 年4,286回 産ぜん産後ヘルパー派遣事業 家事・育児のサポートを必要とする妊婦及び生後5か月未満(多胎児の場合は生後1年未満)の乳児がいる家庭にヘルパーを派遣し、家事や育児の負担軽減を図り、安定した生活を送れるよう支援します。 想定事業量 産ぜん産後ヘルパー派遣世帯数 直近の現状ち 年 1,383世帯 令和11年度 年 1,860世帯 【62ページ】   産婦健康しん査事業 産婦健康しん査(2週間・1か月)の費用の一部助成や受診勧奨を行うことにより、精神的に不安定になりやすい産後間もない母親の身体的機能の回復や授乳状況及び心の健康状態を把握すると共に、支援が必要な産婦に対し、医療機関と区福祉保健センターが連携して適切な支援を行います。 想定事業量 1か月健診の受診率 直近の現状ち 87.2% 令和11年度 90.0%   産後うつの早期支援に向けたネットワーク構築 産後うつ等の心の不調を抱える人を早期に発見し、適切な支援を行うことができるよう、妊産婦メンタルヘルス連絡会等を開催し、産科等の医療機関と行政機関が連携する仕組みづくりや、生活圏において地域の関係機関が相互理解を深め、顔の見える関係性を構築するための取組を進めます。また、妊産婦やパートナー、家族など周囲の人が産後うつに気付き、適切な対応ができるよう、産後うつに関する理解を促進するための啓発を進めます。 乳幼児健康しん査事業等 先天性の異常や障害の早期発見・早期治療等を図るため、新生児を対象に、先天性代謝異常等検査や新生児聴覚検査を実施します。また、生後1か月・7か月・12か月に市内小児科医療機関で、4か月児・1歳6か月児・3歳児を対象に区福祉保健センターで乳幼児健康しん査を実施し、心身の発育状況の確認及び適切な指導等を行い、乳幼児の健康の保持及び増進を図ります。さらに、3歳児を対象に、視覚・聴覚の異常を早期に発見し適切な支援を行うため視聴覚検診を実施します。 想定事業量 区福祉保健センター乳幼児健康しん査受診率 直近の現状ち 4か月児健診 97.2% 令和11年度 4か月児健診 97.2% 想定事業量 区福祉保健センター乳幼児健康しん査受診率 直近の現状ち 1歳6か月児健診 96.2% 令和11年度 1歳6か月児健診 96.7% 想定事業量 区福祉保健センター乳幼児健康しん査受診率 直近の現状ち 3歳児健診 96.2% 令和11年度 3歳児健診 97.0%   歯科健康しん査事業 妊娠期における歯科疾患の予防・早期発見・早期治療につなげ、母体と胎児の健康の保持増進を図るために、妊婦歯科健康しん査を行います。また、乳幼児期の口腔状態や生活状況等の養育環境を把握し、こどもの健全な発育を図るために、乳幼児歯科健康しん査及び歯科相談を行います。 想定事業量 @妊婦歯科健康しん査受診率 直近の現状ち 43.6% 令和11年度 50.0% 想定事業量 A3歳児でむし歯のない者の割合 直近の現状ち 94.8% 令和11年度 95%以上 想定事業量 B3歳児で4本以上のむし歯を有する者の割合 直近の現状ち 1% 令和11年度 0% 【63ページ】 育児支援家庭訪問事業 育児不安や不適切な養育のおそれがある養育者、心身の不調等でこどもの養育に支障がある養育者に対して、過重な負担がかかる前の段階において、不安や負担感を軽減し、安定した養育が可能になるよう、継続した支援を行います。 想定事業量 @育児支援家庭訪問世帯数 直近の現状ち 年383世帯 令和11年度 年407世帯 想定事業量 A育児支援ヘルパー派遣回数 直近の現状ち 年2,216回 令和11年度 年2,240回 妊産婦・こどもの健康医療相談事業 子育ての不安を軽減するため、子育て応援アプリ「パマトコ」を通じて、妊産婦及び未就学児の養育者が、こどもの医療、健康、育児等に関して、無料で医師等に相談できる事業を実施します。 想定事業量 妊産婦・こどもの健康医療相談延べ利用件数 直近の現状ち 年 1,453件(港北区モデル事業)対象:妊産婦及び0さい児 令和11年度 年 約27,000件 対象:妊産婦及び未就学児 【64ページ】 基本施策2 地域における子育て支援の充実 現状と課題 (1)地域での子育て支援の場と機会の必要性 ・「ニーズ調査」(未就学児保護者)では、地域での子育て支援の場を利用している(令和5年度調査については、「過去に利用していた」含む)親子の割合は、前回調査に比べて増えています。一方で子育てについて不安を感じたり自信が持てなくなったりすることがあった(「よくあった」「時々あった」の合計)と6割弱の人が回答しており、支援ニーズは依然高い状況にあります。・乳幼児期からこどものウェルビーイングを高めていくうえでは、人や環境との出会いの中で、豊かな「遊びと体験」を通して外の世界へ挑戦していくことが欠かせない要素です。また、自然に触れたり、芸術や地域行事等の文化に触れて感性を育んだり、日常生活における豊かな「体験」を得たりすることも重要です。 【65ページ】 ・「ニーズ調査」(未就学児保護者)によると祖父母や親戚など「子育てに対する周囲の支えがない」と回答している人が、2013(平成25)年度調査から5.8ポイント増えて22.0%となっており、孤立した子育てになりやすい環境にあることが伺えます。 ・このような環境の中では、子育て家庭が日常的に感じる小さな疑問や困りごとを、大きな悩みになる前に、気がるに相談し解決できる場を、子育て家庭の日常の中の身近な場所に作ることが求められています。 (2)妊娠期からの支援の重要性 ・初めてこどもが生まれる前に赤ちゃんの世話をしたことがない保護者は、74.7%となっており、日常生活の中でこどもと接する機会がなく、子育ての具体的なイメージを持たないまま親になる人が多い状況を示しています。これらの人については、子育てについて不安を感じたり自信を持てなくなったりしたことがある割合が比較的高い傾向にあります。このことから、「出産・子育てのイメージを持つこと」が、安心して子育てをするために大切です。 ・特に生活が大きく変化する妊娠期からの支援に重点を置き、見通しを持ち、安心して子育てをスタートできるように支えることが重要です。また、保育所へ入所する児童が増え、地域の親子の居場所を利用する期間が短期化することで、地域とつながりをつくる機会が減少するため、妊娠期間(特に産ぜん休暇期間)から地域の親子の居場所を周知し、短期化に対応する必要があります。 【66ページ】 ・さらに、親子の居場所の利用目的のうち「子どもの遊び、子ども同士の交流」や「保護者同士の交流」が多くなっており、仲間づくりの場の提供への期待が大きいことにも着目する必要があります。妊娠期からの保護者同士の仲間づくりを支援することも、地域での子育て支援に求められる役割と言えます。 ・地域の子育て支援施設は、妊娠期からの利用や見学が可能ですが、産ぜんの認知度は低いため、認知度を上げるために周知を図ることで、出産後「初めて行く場所」にせず、行くハードルを下げることが必要です。 ・父親の育休・育児参加の増加に伴い、地域の子育て支援施設においても、母親を前提とした支援からの転換が必要です。   (3)個々の家庭状況やニーズに応じた支援の実施のための、支援の質の維持・向上 ・子育て家庭の置かれる状況が多様化することに呼応し、支援のニーズも複合化しています。 ・第1期計画から、それぞれの親子に寄り添った対応や、より個別性の高い相談内容への対応を充実させるために、地域子育て支援拠点で利用者支援事業(基本型)を開始するなど、相談機能の充実を図ってきました。 【67ページ】 ・引き続き、支援の質の維持・向上に取り組むことが重要となります。担い手一人ひとりのスキルアップを図っていくと共に、担い手同士の連携による質の向上も求められます。さらに、これまで地域の支援を利用していなかった、あるいは利用しにくかったかたにも利用していただけるよう、支援方法を検討するなどの対応が必要です。 (4)地域ぐるみで子育てを支える環境づくり ・少子化や地域でのつながりの希薄化が進む中、孤立しない子育てのためには、日常生活の中で、気がるに声を掛け合い、助け・助けられる地域でのつながりが重要と言えます。子育て家庭同士でのつながりだけでなく、様々な世代、立場のかたに、子育て家庭に目を向けてもらい「子育てを温かく見守る地域づくり」を進めていくことが必要です。その中では、「こどもの世話をしたことがないまま親になる人」が減るよう、これから親になる世代に関わってもらうことも、大切な視点です。 ・また、時に「支援する側・される側」という枠を超えて、互いに支え合うことを通し、保護者が地域社会に関心を持ち、子育て支援やほかの地域活動の次の担い手になるような働きかけを継続することも、地域づくりには大切です。 ・親子の居場所の利用者からも「居場所に来ることで参加者同士や地域とのつながりができていることを実感する」との声が親子の居場所の事業者に寄せられています。「地域に子育てを助けてくれる人がいる」「近所づきあいが楽しい」と感じ、地域のことを「我がこと」として皆で考えていける気運の醸成に努めることが重要です。そのため、こども家庭センターと地域資源が連携し、地域の子育て支援に関わる人と協力しながら、「地域づくり」を念頭に置いた支援を展開する必要があります。 【68ページ】 施策の目標・方向性 (1)妊娠期からの支援と親子がつどえる場や機会の充実 ・こどもや子育て中の保護者にとって、身近で安心できる場で、様々な人と出会い、交流することは、豊かな子育て環境を整えるために大切です。そのため、引き続き、親子にとって身近な居場所の拡充と、その認知度の向上を図ります。また、安心して出産・子育てができるよう、家庭の養育力の向上、妊娠期からの支援、及び父親や祖父母等、家族全体への支援の充実に取り組みます。 ・これまで地域での子育て支援を利用していなかった親子も、気がるに利用できるよう、出張ひろばやオンラインも活用したアウトリーチの支援の充実を図ります。 ・子育て中の親子の協力を得て、中学生・高校生が子育て中の親子と触れ合うことのできる場や機会を作ることで、若い世代に命の大切さや子育てに関心を持つ機会を提供します。 (2)幼児期の豊かな「遊びと体験」の提供 ・日常の子育てを楽しく、安心して行うために、「こどもを遊ばせる場や機会の提供」の充実に取り組みます。 ・多様なこどもや大人、モノ・自然・絵本・場所など身近なものとの出会い・関わりにより、こどもの興味・関心に合わせた「遊びと体験」を提供します。 (3)保護者・養育者が気がるに相談できる場や機会の確保 ・区役所や身近な親子の場所など対面での相談場所やインターネット、SNSやメールなど、対象者に応じた相談の場や機会の充実に取り組み、子育ての不安感解消につなげます。 ・情報につながることが難しい家庭や自らSOSを発信することの少ない家庭への支援を行います。 (4)地域における子育て支援の質の向上 ・支援を充実させることと併せて「保護者が自分に合った支援を選ぶ」ことも大切です。それぞれの家庭に寄り添い、ニーズに応じた施設や制度を円滑に利用できるよう、相談支援や情報提供の充実、関係機関同士の連携、地域のネットワーク強化を図り、必要な支援を紹介するなど、きめ細やかな対応を行います。 ・多様な家庭の支援ニーズに適切に対応するため、支援者を対象に、体系的に研修を実施するなど、地域における子育て支援の質の維持・向上に取り組みます。 (5)地域ぐるみでこども・子育てを温かく見守る環境づくり ・子育て支援に関わる人材の発掘・育成に係る取組を継続します。「支援する側とされる側」という枠を超え、親子同士あるいは親子に関わる人が互いに「支えられる安心・支える喜び」を感じることで、子育て家庭が次の支援の担い手となるような丁寧な取組を推進します。 【69ページ】 ・子育て家庭に関わる人だけでなく、多くの人が子育て家庭に心を寄せ、温かく見守る気運を醸成する取組を推進します。子育ての現状や支援の必要性を地域の住民が理解できるよう、機会をとらえて働きかけを行うと共に、様々な施設・機関・地縁組織・人が持つ多様な強みを活かして、子育て家庭を支えるつながりづくりに取り組みます。 【70ページ】   アウトカムと指標 アウトカム 親子の居場所の利用を通じて、つながりをつくったり、情報が得られている 指標 「利用ニーズ把握のための調査」において、親子の居場所を「利用している」「過去に利用していた」と回答した割合 直近の現状ち(令和5年度) 50.6% 目標ち 57%【令和10年度】 アウトカム 子育てについて不安に感じるかたが減少する 指標 「利用ニーズ把握のための調査」において、現在の子育てについて、不安を感じたり、自信が持てなくなることが「よくあった」「時々あった」と回答した割合 直近の現状ち(令和5年度) 58.3% 目標ち 55%【令和10年度】 アウトカム 子育て家庭が地域に見守られている 指標 「利用ニーズ把握のための調査」において、子育てをしていて地域社会から見守られている、支えられていると「感じる」「どちらかといえばそう感じる」と回答した割合 直近の現状ち(令和5年度) 32.4% 目標ち 55%【令和10年度】 主な事業・取組 地域子育て支援拠点事業 地域子育て支援拠点は、各区に1か所(サテライト設置区は2か所)ある妊娠期から利用可能な地域の子育て支援の核となる施設です。親子が遊び、交流できる居場所の提供、子育て相談、子育てに関する情報の提供、子育て支援に関わる人のネットワークの構築、子育て支援に関わるかたの人材育成、地域の中でのこどもの預かり合いの促進等を行います。また、拠点外での支援の実施など、拠点を利用していない親子への積極的なアプローチ、子育てサークルの活動支援、地域における子育て支援の啓発等も行います。 想定事業量 @実施か所数 直近の現状ち 26か所 令和11年度 28か所 想定事業量 A施設外での居場所の実施か所数 直近の現状ち 3か所 令和11年度 18か所 【71ページ】   地域子育て支援拠点における利用者支援事業 子育て中の親子の個別ニーズに応じて、多様な保育・教育施設や地域の子ども・子育て支援事業等を円滑に利用できるよう、各区の地域子育て支援拠点及び拠点サテライトにおいて、情報提供・相談・援助・助言などを行います。 想定事業量 実施か所数 直近の現状ち 26か所 令和11年度 28か所   地区センターにおける親子が集う身近な場の創出 地区センターのプレイルームにおいて、絵本や本棚、知育玩具等を充実させるなどのリニューアルを行い、利用促進を図ります。 また、ボランティアによる本の読み聞かせ会などを開催し、本に触れ合う機会を創出するなど、子育て支援に関する活動を展開し、いつでも気兼ねなく立ち寄れる親子のための身近な居場所づくりを進めます。 【令和5年度実績】 地区センター乳幼児利用者数:334,380人 地域子育て相談機関の設置 利用者にとって、敷居が低く、物理的にも近距離に地域子育て相談機関を整備し、子育て世帯との接点を増やすことで、子育て世帯の不安解消や状況把握の機会を増やします。 【地域子育て相談機関とは】 地域子育て相談機関は、相談の敷居が低く、物理的にも近距離にあり、能動的な状況確認等による 「子育て世帯と継続につながるための工夫」を行う相談機関。 想定事業量 実施か所数 直近の現状ち なし 令和11年度 28か所 親と子のつどいの広場事業 マンションの一室や商店街の空き店舗などを活用し、主にNPO法人などの市民活動団体が運営しています。親子が気がるに集い交流する場の提供や、子育てに関する相談、子育て情報の提供等を行います。 また、一部の親と子のつどいの広場においては、普段から利用されているかたのこどもを対象に、広場のスペースを活用した一時預かりを行います。 想定事業量 実施か所数 直近の現状ち 74か所 令和11年度 87か所 【72ページ】 保育所子育てひろば、幼稚園はまっ子広場事業 子育て家庭が抱える不安感・負担感の解消や、家庭の養育力の向上を図るため、保育所や幼稚園の資源を活用して、施設の地域開放、育児相談、育児講座、園児との交流保育、情報提供を行うなど、地域子育て支援の場を提供します。 想定事業量 実施園数(常設園数) 直近の現状ち 75園 令和11年度 136園 子育て支援者事業 保護者が子育ての不安を軽減・解消し、安心して子育てができる環境をつくることを目指し、地区センターや地域ケアプラザ等の身近な施設で、地域の身近な子育ての先輩である「子育て支援者」が親子の交流を勧めたり、相談に応じたりします。 想定事業量 会場数 直近の現状ち 177会場 令和11年度 190会場 未就学児に向けた「遊びと体験」ができる環境・機会の提供 各親子の居場所(地域子育て支援拠点、親と子のつどいの広場、保育所子育てひろば、幼稚園はまっ子広場等)で行われている取組を踏まえて、図書館等の公共施設、プレイパーク、民間企業等と連携し、様々な人や自然・絵本を通じ、子どもの主体的な遊びを親子一緒に体感できる環境・機会を提供します。 【令和6年度新規】 体系化された研修による、地域子育て支援スタッフの育成 地域子育て支援の場(地域子育て支援拠点、親と子のつどいの広場、保育所子育てひろば等)のスタッフを対象に研修を実施します。保護者の子育てに対する不安や相談への対応などの対人支援スキル、地域の子育て支援の資源に対する幅広い知識、こどもの安全や育ちに関する知識などについて、経験年数や、施設内で果たす役割等に応じた体系的な研修プログラムを組み、子育て支援に必要な知識や技術の向上を図ります。 【令和5年度実績】 研修実施回数:4回、参加者数:130人 【73ページ】 子育て応援アプリ「パマトコ」 「子育て応援アプリ『パマトコ』」を通じて、子育てに関する手続きのオンライン化を図ると共に、子育てに必要な情報を集約し、保護者・こども一人ひとりに合わせて提供します。 想定事業量 対象となるこどもの年齢 直近の現状ち 未就学児まで【令和6年度】 令和11年度 中学生まで 横浜子育てサポートシステム 横浜子育てサポートシステムは、安心して子育てができるよう、地域ぐるみの子育て支援や、仕事と育児を両立できる環境をつくることを目的とした会員制の有償の支え合い活動です。「こどもを預かってほしい人」が利用会員として、「こどもを預かる人」が提供会員として登録し、会員相互の信頼関係の下にこどもの預かりあいを行います。 想定事業量 延べ利用者数 直近の現状ち 年 66,619人 令和11年度 年 87,730人 子育て家庭応援事業(愛称「ハマハグ」) 小学生以下のこどものいる家庭の人や妊娠中の人が、協賛店で「ハマハグ登録証」を提示すると、入店の際のちょっとした心配りや、子育てにやさしい設備・備品の提供、割引・優待など、子育てを応援する様々なサービスが受けられます。子育て中の親子が楽しく、気兼ねなく外出することができると共に、事業を通じて地域全体で「子育てを温かく見守り、応援するまち・横浜」を目指しています。 想定事業量 新規協賛店舗数(5年間累計) 直近の現状ち 126件 令和11年度 累計 750件 こども家庭センター機能の設置 改正児童福祉法の施行に伴い、「こども家庭センター」機能を区こども家庭支援課に設置し、すべての妊産婦、子育て世帯、こどもへの包括的な相談支援を強化し、こどもや子育て当事者のニーズに合った支援計画(サポートプラン)の作成や、地域における子育て支援の基盤づくりを行います。 想定事業量 実施か所数 直近の現状ち 3か所【令和6年度】 令和11年度 18か所 【74ページ】 基本施策3 乳幼児期の保育・教育の充実とがくれい期への円滑な接続 現状と課題  (1) 保育・幼児教育の質の確保・向上 ・乳幼児期は、生涯に渡るウェルビーイングの土台として最重要な時期であり、その時期にふさわしい一人ひとりに応じた育ちの保障をしていくことが大切です。 ・2023(令和5)年に「こども基本法」、「こども大綱」が策定され、すべてのこどもが、将来に渡って幸福な生活を送ることができる社会「こどもまんなか社会」の実現に向け、こどもの人権を守り、こどもの主体性や思いを尊重した保育・教育の推進が求められています。 ・「よこはま・保育・教育宣言」では、すべての保育者の大切にしたい方向性を示しており、研修や動画等を通じて周知を図っています。 ・研修や研究の実施、公開保育への支援等を通じて、各保育・教育施設等での更なる保育実践を充実させ、保育・教育の質向上を図るために、好事例を他園にも展開していくことが必要です。 ・加えて、「よこはま・保育・教育宣言」の理念を家庭にも伝え、保護者と保育・教育施設等がこどもの育ちを両輪で支えていく必要があります。 ・幼児教育と小学校教育の円滑な接続と双方の教育の充実に向け、幼保小のこども同士の交流や職員同士の連携が進んでいます。今後は「幼保小の架け橋プログラム」の実践を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」の実現のため、幼保小の職員による継続的な対話機会の創出と、地域に応じた接続期カリキュラムの実施・改善が必要です。 ・保育・幼児教育の質向上や連続性のあるカリキュラムの開発を行うと共に、こどもへの効果的な保育・幼児教育等の具体的手法や取組の研究・開発を行うため、「保育・幼児教育センター(仮称)」の設置に向けた検討を進めています。 ・市立保育所は、こどもの最善の利益を目的とした保育を各保育資源で実践できるよう、保育資源全体の保育の質の維持・向上を図る役割・機能が求められています。 ・市立保育所の民間移管事業については、当初目標をほぼ達成しました。保育ニーズは増加傾向にあるものの地域や年齢によって定員割れが発生しています。また、障害児・医療てきケア児の入所の増加、こども誰でも通園制度の実施が予定されている等、保育所等に求められる役割も変化してきています。こうした役割の変化に加え、建物の老朽化も進んでいることから、改めて今後のありかたを検討する必要があります。 ・保育・教育施設等においては、こどもの成長や発達に応じた健康的な給食提供を行うと共に、食物アレルギーへの対応や集団給食における衛生管理など、安全・安心で質の高い給食提供が求められています。 ・保育所等における園外活動等での置き去り・見失いなどの防止、睡眠中・水遊び中の事故の防止など安全・安心な保育・教育の提供のための取組が求められています。また、虐待や不適切保育については、2023(令和5)年5月に発出された国のガイドライン等を踏まえ、未然の防止及び、発見時の迅速な対応が求められています。 【75ページ】 (2) 個別に支援が必要な児童に対する支援 ・市内の保育・教育施設等において、障害のあるこども約2,410人、医療てきケアが必要なこども約50人を受け入れています(2023(令和5)年4月時点)。 ・障害のあるこども、医療てきケアが必要なこどもなど個別に支援が必要な児童に関する入所相談や受入れを調整していくにあたって、こどもや保護者の気持ちに寄り添った丁寧な対応が求められています。 ・また、入所後は、障害のあるこども、医療てきケアが必要なこどもが、それぞれの特性や発達に応じて、保育・教育を受けられるよう職員体制や受入れ環境を整え、一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援を保育士・教諭や看護職員など園の職員全体で実施していくことが求められています。 ・障害のあるこどもや医療てきケアが必要なこども、外国につながるこどもなど、こどもの育ちと学びの連続性を大切にしながら、家庭、地域、保育・教育施設等及び関係機関(区役所、地域療育センター及び小学校等)が連携し、連続性・一貫性を持って支援を継続していくことが求められています。 ・こどもに対する保護者の不適切な養育が疑われる場合、保育・教育施設等は行政や関係機関と連携し、適切な対応を図っていく必要があります。児童虐待防止などの観点からも、保育所をはじめとした施設の果たす役割が大きくなっています。 (3) 保育・幼児教育の場の確保 ・2024(令和6)年4月の保育所等利用申請者は過去最大の74,705人となりましたが、利用者数の伸びは以前と比べ鈍化し、年齢や地域によって定員割れが発生するなど、ニーズの変化に合わせた取組が必要とされています。園選びにおいては保育の質が重視される傾向が強まることが想定されます。保護者や地域に各施設の多様な保育内容が分かりやすく伝わるよう、園の紹介や第三者評価のほか、研修への取組状況など、保育の質に関わる情報の可視化について研究していく必要があります。 【76ページ】 ・横浜DX戦略に基づき、申請数の多い上位100手続きに含まれる保育所入所利用申請、現況届、認定変更申請のオンライン申請を順次開始しています。 ・「ニーズ調査」では「子育て支援の電子化への期待」について、区役所に行く頻度の減少や書類作成の手間の削減、電子申請・届け出が可能な手続きの拡大が多く挙げられています。 【77ページ】 (4) 保育・幼児教育を担う人材の確保 ・保育士の有効求人倍率は、神奈川県において2.99倍(2024(令和6)年1月)であり、県内の全産業平均の有効求人倍率0.96倍と比べて、非常に高い傾向にあります。一方、市内の保育士養成校の入学者数は年々減少しており、2024(令和6)年4月の入学者数は定員の60.9%となっています。 ・保育・幼児教育を担う人材の定着を図るためには、働きやすい職場環境を作ることが不可欠ですが、現場の事務負担の大きさが依然として課題となっています。ICTの活用により保育所運営に係る業務を省力化し、保育の質の向上や職員の働きやすさにつなげる必要があります。 (5) 多様なニーズへの対応と充実 ・子育て家庭への一時預かり事業については、就労やリフレッシュ等の理由により、特に低年齢児を一時的に預けたいというニーズが増加しています。一方、受入れ枠の問題により、利用したくても断られてしまい、預けることを諦めてしまうケースもあるため、一時預かり施設をさらに拡充していくほか、預けやすさにつながる取組が必要です。また、夜間や休日の預かりについて、一定のニーズがあることから引き続き対応が必要です。 ・2026(令和8)年度から子ども・子育て支援法に基づく新たな給付「乳児等のための支援給付」が創設され、全国の自治体において、満3歳未満で保育所等に通っていないこどもが月一定時間まで保育所等を利用できる「こども誰でも通園制度」が開始予定であり、既存の保育・幼児教育施設等を活用し、地域の子育て家庭への支援を一層進めていく必要があります。 ・子育て家庭が公的支援に望むこととして、保育料等に対する経済的支援の充実が挙げられており 、複数のこどもを育てるうえでの負担感に関するご意見も多くあります。 多様な「保育・教育」ニーズへの対応と充実を進めると共に、経済的負担軽減に向けた取組が求められています。 【78ページ】 施策の目標・方向性 (1) 保育・幼児教育の質の確保・向上 ・「こどもの最善の利益」や「こどもまんなか社会」の視点を持ちながら、一人ひとりが自分の良さや可能性を発揮しながら自ら幸せな生きかたを切り拓く力や共に温かい社会を作る力を育むことができるよう、保育・幼児教育に関する施策を推進します。 ・すべての保育者が「よこはま・保育・教育宣言」の理念を理解し、日々の保育で実践することで、こどもの良さや可能性に気付き、さらに保育の振り返りに活用することで、保育・幼児教育の質の向上につなげます。また日々の実践やこどもの姿を保護者や地域と共有していきます。 ・市立保育所が地域の保育資源間のつなぎ役となる「保育資源ネットワーク構築事業」を推進し、認可・認可外にかかわらず、実践研修や交流保育等の実施や事例の共有を通じて、保育資源間での情報・ノウハウの共有化を図ります。 ・市内すべての保育・教育施設等を対象として、経験年数別の研修や専門分野別の研修・研究を実施し、こどもの思いや主体性を尊重した保育を推進します。また、「園内研修・公開保育ブックレット」を活用した園内研修や公開保育等を通じ、各保育・教育施設等で学びあい、質の向上を図りながら、より良い職場環境づくりにつなげます。 ・「保育・幼児教育センター(仮称)」を新たな教育センターに併せて整備することで、質の高い保育・幼児教育の実現や連続性のあるカリキュラムの開発に向け、研修・研究の推進や相談機能の充実、市内の保育士・教諭の育成等を行っていきます。 ・保育士や調理担当者などの給食業務従事者に対して、給食提供に関する最新の知識や技術の習得を目的とした研修を実施することで、保育・教育施設等における安全・安心で質の高い給食提供を推進します。 ・保育所等における事故の未然防止を目的として、保育・教育施設等への巡回訪問を行います。また、ICTを活用した見守りサービス等の導入を支援します。 ・2023(令和5)年4月より開設した不適切保育相談窓口や、2024(令和6)年度から開始した外部専門家による改善サポート事業などを活用し、虐待・不適切保育が発生した場合に適切に対処すると共に、児童の安全や保育・幼児教育の質の確保・向上を図ります。 (2) 個別に支援が必要な児童に対する支援 ・障害のあるこども、医療てきケアが必要なこどもの保護者が保育・教育施設等の利用を検討する際、施設の情報を提供するなど寄り添って相談対応します。 ・障害のあるこども、医療てきケアが必要なこどもなど個別に支援が必要な児童の特性や成長に合わせた支援を実施していくため、保育士・教諭等や看護職員の専門性の向上を図ると共に、保育・教育施設等に対する制度や環境整備の充実を図ります。 ・医療てきケア児サポート保育園の認定を推進すると共に、医療てきケア児サポート保育園に限らず、ほかの保育・教育施設等においても、医療てきケア児の受入れが広がるよう普及啓発を行います。 【79ページ】 (3) 保育所、幼稚園、認定こども園から学校への円滑な接続 ・全18区で実施している「幼保小教育交流事業」において、園と小学校のこども同士の交流や職員同士の連携等を通じた相互理解を進めると共に、2023(令和5)年度配布のリーフレット「Let’s talk about our 架け橋プログラム@ヨコハマ」を活用した研修の充実を図り、幼児期の教育と小学校教育との円滑な接続を目指します。 ・2023(令和6)年度作成の横浜版接続期カリキュラム「育ちと学びをつなぐ」を手掛かりに、接続期カリキュラム研究推進地区において、地区に応じた接続期カリキュラムの作成とその運用・改善を、園と小学校が協働して進めます。さらにその成果は、幼保小連携推進地区等を通して全市の取組へとつなげていきます。 ・小学校においては、幼児期の育ちと学びをつなぐ「スタートカリキュラム」の実施を推進し、幼児期に育まれた資質・能力を生かした、主体的・対話的で深い学びの実現を図ります。 ・障害の状況やバリアフリーの必要性など、就学するうえで配慮が必要な児童について、教育委員会事務局と連携した支援を進めます。 (4) 保育・幼児教育の場の確保 ・一人ひとりのニーズにしっかりと寄り添いながら、保育の必要性が高い人が保育所等を利用できるよう、待機児童・保留児童対策を推進します。 ・3歳児から5歳児までの幼児教育を担ってきた幼稚園等での長時間の預かり保育や、2歳児を対象とした受入れの推進、また、地域や年齢ごとに異なるニーズに合わせ、保育所等の定員構成の見直しや、施設の空きスペースを活用した年度限定保育事業の推進、入所が可能な小規模保育事業への送迎支援の実施など、既存施設を最大限活用します。その上で、大規模なマンション開発等により受入枠が不足する地域には、保育所等を整備し、保育・幼児教育の場の確保を進めます。 ・地域型保育事業など低年齢児のための保育の場の確保にあたっては、卒園後に連携施設などで安心して新しい生活がスタートできるよう、円滑な接続に配慮します。 ・保育・教育を一体てきに提供することができる認定こども園は、様々な保育・教育ニーズに対して、ほかの施設類型に比べて柔軟に対応することができます。保育ニーズの高いエリアでは幼稚園から移行することで、園庭等の既存資源により保育ニーズに対応することが可能であり、待機児童対策の側面から効果的であるため、3歳児未満の長時間保育も実施する幼保連携型認定こども園への段階的な移行を推進します。また、移行にあたっては、乳児保育について実地研修を取り入れる等、乳児の発達や保育への理解が深まるよう丁寧な支援を行います。保育所からの認定保育園への移行を含め、移行を希望する施設に対しては、施設種別や希望する類型に応じて個別相談に応じると共に、地域の実情に合った子育て支援事業の展開を支援していきます。 ・地域型保育事業や幼稚園等での長時間の預かり保育など、様々な形態の施設・事業が持つ魅力が 保護者に分かりやすく伝わるよう、預け先の選択肢を増やすための情報発信を進めます。 【80ページ】 ・保育所等の利用等にかかる手続きについて、オンラインでできる手続きを拡充し、より使いやすく・分かりやすくするための利便性の向上を図ります。   (5) 保育・幼児教育を担う人材の確保 ・宿舎借り上げ支援事業や幼稚園教諭等住居手当補助事業により、保育士や幼稚園教諭の生活を経済的に支援し、人材確保を図ります。 ・保育・教育事業者の直接採用を支援するため、保育士の採用や定着に課題を抱える園に助言などのフォローを行うコンサルタントを派遣することにより、安定的な人材確保につなげます。 ・将来の人材確保を目指した保育士という職業の魅力発信を行います。 ・保育業務支援システム等ICTの活用により、保育所運営に係る業務を省力化し、保育の質の向上や職員の働きやすさにつなげます。 (6) 多様なニーズへの対応と充実 ・低年齢児を中心に一時預かりニーズが増大しており、更なる受入れ枠の拡充を図ると共に、休日一時保育や24時間型緊急一時保育、びょう児・病後児保育事業の充実など、様々なニーズに対応していきます。 ・さらに、2026(令和8)年度から「こども誰でも通園制度」が開始予定であり、既存の保育・幼児教育施設等を活用し、地域の子育て家庭への支援を一層進めていきます。 ・多様な保育・教育施設等が対象となる子育てのための施設等利用給付の実施にあたっては、公正かつ適正な支給の確保、保護者の経済的負担の軽減や利便性を勘案し、円滑な給付の実施を進めます。 ・また特定こども・子育て支援施設としての確認や公示を行うと共に、指導監督を実施するなど、子育てのための施設等利用給付の円滑な実施に向けて取り組んでいきます。 ・複数のこどもを育てる子育て家庭の保育・教育施設等の利用にかかる経済的負担の軽減策について検討を進めます。  【81ページ】   アウトカムと指標 アウトカム 待機児童の解消 指標 待機児童数 直近の現状ち(令和5年度) 5人【令和6年4月1日】 目標ち(令和11年度) 0にん アウトカム こどもたちが、自分の思いや主体性を尊重された保育・教育を受けている 指標 こどもの思いや主体性を尊重した保育・教育を実践している施設等の割合(「(仮)『よこはま☆保育・教育宣言』に基づく保育実践アンケート」で確認) 直近の現状ち(令和5年度) 目標ち(令和11年度) <今後、現状ちを把握し、目標ちを設定したうえで原案に反映> 主な事業・取組 「よこはま☆保育・教育宣言〜乳幼児の心もちを大切に〜」を活用した取組の推進 本市として、乳幼児期の保育・教育で大切にしたいことを示す「よこはま☆保育・教育宣言」を活用した保育実践を推進し、保育の質向上、こどもの育ちの理解につなげます。 また、保育の振り返りや、こどもの育ちに関する改善がPDCAサイクルで行われるよう、自己評価、第三者評価の取組を推進します。 想定事業量 「よこはま☆保育・教育宣言〜乳幼児の心もちを大切に〜」に基づく保育・教育実践の公開事例数(研究発表会または報告書等で公表 した事例) 直近の現状ち 年 74件 令和11年度 270件(累計) 保育・幼児教育研修及び園内研修・研究の推進 保育・教育施設等職員向け研修、施設長向け研修、区連携研修等の充実を図り、専門性の向上及び質の向上につなげます。  また、市内の保育・教育施設等において、こどもの思いや主体性を尊重した保育・教育が展開されるよう、園内研修・研究サポーター及び横浜市保育・教育質向上サポーター(Yサポ)の派遣を通して、園内研修・公開保育を推進していきます。 横浜市保育・教育質向上サポーター(Yサポ)とは 横浜市の保育・教育施設等の質向上を推進することを目的とし、園内研修や公開保育を援助・コーディネートする、地域で活躍する保育士・教諭です。 想定事業量 @研修の理解度 直近の現状ち 85.0% 令和11年度 93.0% 想定事業量 A派遣したYサポの人数 直近の現状ち 年 6人 令和11年度 年 51人   【82ページ】   「保育・幼児教育センター(仮称)」の整備 保育・幼児教育の質向上や接続期カリキュラムに関する調査・研究・開発、市内の保育士・教諭の人材育成に加え、相談機能や情報発信機能の充実等となる「保育・幼児教育センター(仮称)」の開設準備を進めます(2029(令和11)年度開設予定)。 保育資源間の連携の推進 市立保育所が地域の保育資源の「つなぎ役」を担うことで、各保育資源間の連携を図り、実践研修や交流保育等の実施や事例の共有を各保育資源で行うことで、保育資源全体の保育の質の維持向上を図ります。 質の高い給食提供の推進 保育士や調理担当者などの給食業務従事者に対して、食物アレルギー対応や集団給食における衛生管理、食育推進など給食提供に関する最新の知識や技術の習得を目的とした研修を実施します。 想定事業量 研修の理解度 直近の現状ち 74.1% 令和11年度 90% 保育・教育施設等に対する巡回訪問等 保育中の重大事故等の防止や、保育の質の確保を目的に、施設を園長経験者等が訪問し、施設長にヒアリングをしながら、事故防止のための取組や事故発生時の対応について確認し、助言や指導を行います。また、ICTを活用した見守りサービス等の導入を支援します。 想定事業量 巡回施設率 直近の現状ち 100%(累計) 令和11年度 100%(2巡目)   保育・教育施設等に対する指導監査及び運営指導の実施 保育・教育施設等において、児童の安全、保育・教育の質の確保及び適切な施設運営がなされるよう、年1回以上の指導監査を行います。また、不適切保育相談窓口等で虐待や不適切保育の事案を把握した際は、迅速な事実確認と指導を行い、外部専門家による改善サポートを実施する等、児童の安全や保育・幼児教育の質の確保・向上を図ります。 保育・教育施設等における障害のあるこどもの受入れ推進 障害のあるこどもに関する保育・教育施設等の利用相談において、保護者へ施設の情報を提供するなど、保護者に寄り添った対応を行い、市内の保育・教育施設等における受入れを推進していきます。 また、保育士・教諭等を対象とした障害のあるこどもへの理解を深めるスキルアップ研修等を実施すると共に、障害のあるこどもの受入れ園に対する環境整備等を充実していきます。 【83ページ】 保育・教育施設等における医療てきケアが必要なこどもの受入れ推進 医療てきケアを日常的に必要とするこどもの特性や成長に合わせ寄り添った支援を行えるよう、保育・教育施設等の理解を深める研修を実施すると共に、制度や環境整備の充実を図り、市内の保育・教育施設等における受入れを推進していきます。 また、看護職員を複数配置し、常時、医療てきケア児の受入れが可能な医療てきケア児サポート保育園の認定を推進していきます。 想定事業量 医療てきケア児サポート保育園 認定園数 直近の現状ち 12園 令和11年度 拡充 幼稚園、保育所、認定こども園と小学校との円滑な接続 幼保小教育交流事業、幼保小連携推進地区事業、接続期カリキュラム研究推進地区事業の取組を通して、こども同士の交流や大人同士の連携を促進し、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の共有や接続期カリキュラムの実施・改善を行うなど、円滑な接続に向けた取組の一層の推進を図ります。 想定事業量 @「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を理解・共有するための研修会等を小学校合同でおこなった園の割合 直近の現状ち 38.1% 令和11年度 50% 想定事業量 A近隣の園や連携先の園と、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を理解・共有する機会を設定した学校数 直近の現状ち 158校 令和11年度 全小学校 保育・幼児教育の場の確保 待機児童や保育の必要性が高い保留児童の解消、多様な保育・教育ニーズへの対応を図るため、既存の保育・教育資源を最大限活用します。その上で大規模なマンション開発等により受入枠が不足する地域に保育所等を整備し、多様な保育・教育ニーズに対応するための保育・幼児教育の場の確保を進めます。 想定事業量 @利用定員(1号) 直近の現状ち 40,700人【令和6年度】 令和11年度 24,561人 想定事業量 A利用定員(2・3号) 直近の現状ち 84,381人【令和6年度】 令和11年度 78,800人   【84ページ】 私立幼稚園2歳児受入れ推進事業 私立幼稚園において、長時間保育を必要とする2歳児を受け入れることにより、多様な保育ニーズに応え、待機児童対策を推進します。 2歳児から小学校入学までを同一の園で過ごせることで、安定した環境の中で、こどもの育ちに応じた保育・教育を提供します。 想定事業量 実施園数 直近の現状ち 14園 令和11年度 41園 幼稚園での預かり保育 幼稚園・認定こども園で、在園児を主な対象とした一時預かり保育を実施します。さらに、保護者の就労や病気などで、園の教育時間の前後にご家庭で保育ができない園児について、預かり保育を希望するニーズに対応すると共に、待機児童の解消を図るため、長時間保育を実施します。 想定事業量 @延べ利用者数1号 直近の現状ち 年 170,720人 令和11年度 年 213,082人 想定事業量 A延べ利用者数2号 直近の現状ち 年 1,827,672人 令和11年度 年 2,230,713人 保育・教育コンシェルジュ事業 各区に保育・教育コンシェルジュを配置し、保護者の相談に応じ、保育所や認定こども園などのほか、一時預かり事業、幼稚園預かり保育など多様な保育サービス等について情報提供を行い、保護者のニーズと保育サービス等を適切に結び付けます。 想定事業量 実施か所数 直近の現状ち 全区 令和11年度 全区   保育所等の利用におけるオンライン申請の推進 保育所等の利用に関連する申請について、区役所に行く頻度の減少や書類作成の手間を削減するため、オンライン申請の対象となる手続きを拡充すると共に、広報や機能改善等によりオンライン申請の利用率の向上を図ります。 想定事業量 保育所等入所申請におけるオンライン申請の割合 直近の現状ち 6% 令和11年度 80%   【85ページ】   保育士宿舎借り上げ支援事業 市内保育所等を運営する民間事業者が、雇用する保育士向けに、宿舎を借り上げるための補助を行います。 想定事業量 助成戸数 直近の現状ち 年 4,324戸 令和11年度 年 4,514戸   幼稚園教諭等住居手当補助事業 私立幼稚園等預かり保育事業または私立幼稚園2歳児受入れ推進事業実施園に勤務する幼稚園教諭等が賃貸住宅に居住し、幼稚園が当該職員に対し住居手当を支給している場合に、その手当の一部を補助します。 想定事業量 補助対象者数 直近の現状ち 年 291人 令和11年度 年 483人 保育士の採用、定着に課題を抱える園への支援 事業者による直接採用を支援するため、保育士の採用、定着に課題を抱える保育所等に対して、希望に応じて、保育士の確保に関するコンサルタントを派遣し、求人方法や給与、勤務条件など、保育士確保や離職防止についての助言等を実施します。 想定事業量 コンサルタント派遣件数 直近の現状ち 年 23施設 令和11年度 年 30施設   将来の担い手の確保と潜在保育士の復職支援 将来の保育人材の確保を目指して、小学生、中学生、高校生や養成校の学生を対象に、保育士という職業の魅力を発信し、PRすることによって新たな保育の担い手を確保します。 また、保育士養成校の学生を対象に修学資金貸付事業を実施し、市内保育所等へ就労する新卒保育士の確保に取り組みます。 想定事業量 @保育・教育団体等と連携した魅力発信の取組 直近の現状ち 実施 令和11年度 拡充 想定事業量 A修学資金貸付人数 直近の現状ち 年 26人 令和11年度 年 50人   【86ページ】  延長保育事業 多様化する就業形態や女性の更なる社会進出に対応するため、保育所や認定こども園等において、保育時間(8時間又は11時間)を超える時間帯の保育を実施します。 想定事業量 利用者数(夕延長) 直近の現状ち 月 3,902人 令和11年度 月 3,273人   実費徴収に係る補足給付事業 低所得世帯等のこどもが保育所等を利用した場合に、保護者が支払う実費(副食費、教材費・行事費等)の一部を保護者や保育所等に補助します。 【令和5年度実績】 私学助成幼稚園に通うこどもの副食費(延べ支給児童数):年 7,897人 認可保育所等に通うこどもの教材費・行事費等(延べ支給児童数):年 2,167人 にもつかるがる保育園事業 保育所等にこどもを通わせる保護者の時間的負担や経済的負担を軽減し、かつ、保育士の負担を軽減するため、紙おむつ・食事用エプロンなどの定額利用サービス(サブスク)の導入や、使用済み紙おむつの処分に取り組む保育所等に補助を実施します。 【令和6年度新規】   一時預かり事業 保育所、認定こども園、小規模保育事業、乳幼児一時預かり施設等で、保護者がリフレッシュや一時的に家庭での保育が困難な場合に利用できる一時的な預かりを実施します。保育所、乳幼児一時預かり施設等での実施施設の拡大など、受入枠拡大に向けて取り組みます。 想定事業量 @保育所等での一時保育事業 (延べ利用者数) 直近の現状ち 年 99,888人 令和11年度 年 156,714人 想定事業量 A乳幼児一時預かり事業 (延べ利用者数) 直近の現状ち 年 96,796人 令和11年度 年 155,952人 こども誰でも通園制度の実施 すべてのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備すると共に、すべての子育て家庭に対して多様な働きかたやライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、0歳6か月から満3歳未満の保育所等を利用していないこどもを月一定時間の範囲で、保育所、幼稚園、地域子育て支援拠点等で預かりを行う、こども誰でも通園制度を2026(令和8)年度から実施します。 【令和6年度試行的事業実施】 【87ページ】 休日一時保育事業 日曜、祝日等に勤務、病気、冠婚葬祭、リフレッシュ等の事由により保護者が保育を必要とする場合に、保育所で一時的な預かりを実施します。 想定事業量 延べ利用者数 直近の現状ち 年 229人 令和11年度 年 409人 24時間型緊急一時保育事業 保護者の突発的な病気や仕事などで緊急にこどもを預けなくてはならない場合に対応するため、保育所で24時間365日対応する一時的な預かりを実施します。 想定事業量 延べ利用者数 直近の現状ち 年 959人 令和11年度 年 1,484人 びょう児保育事業、病後児保育事業 病気又は病気回復期(ケガを含む)で集団保育が困難な児童を預かる医療機関併設のびょう児保育と、病気回復期(ケガを含む)の児童を預かる保育所併設の病後児保育を実施します。 想定事業量 @びょう児保育実施か所数 直近の現状ち 25か所 令和11年度 30か所 想定事業量 A病後児保育実施か所数 直近の現状ち 4か所 令和11年度 4か所 幼児を対象とした多様な集団活動事業の利用支援事業 地域や保護者のニーズに応えて地域において重要な役割を果たしている、小学校就学前のこどもを対象とした多様な集団活動について、本市の定める基準に適合した集団活動を利用する幼児の保護者の経済的負担を軽減する観点から、その利用料の一部を給付します。 【令和5年度実績】 給付人数:380人/年 保育所子育てひろば、幼稚園はまっ子広場事業(基本施策2の再掲) 子育て家庭が抱える不安感・負担感の解消や、家庭の養育力の向上を図るため、保育所や幼稚園の資源を活用して、施設の地域開放、育児相談、育児講座、園児との交流保育、情報提供を行うなど、地域子育て支援の場を提供します。 想定事業量 実施園数(常設園数) 直近の現状ち 75園 令和11年度 136園 【88ページ】 基本施策4 がくれい期から青年期までのこども・若者の育成施策の推進 現状と課題 (1)こども・若者を取り巻く環境の変化 ・がくれい期は心身共に大きく成長する大切な時期であり、多様な人々との出会いや様々な経験を重ねながら、自己肯定感や社会性などを育み、社会との関わりの中で、自己の価値・役割を考え、アイデンティティを形成していきます。また、青年期は、進学や就職など環境の変化に適応し、専門性や職業性を身に付け、将来の夢や希望を抱いて自己の可能性を進展させる重要な時期です。 ・この時期に社会体験や自然体験が豊富な人ほど、社交性や挑戦意欲、自己肯定感が高い傾向があると言われています。 ・こども・若者を取り巻く環境は、地域のつながりの希薄化、少子化の進展、こども・若者を取り巻く生活環境の変化等により、こども・若者同士が遊び、育ち、学び合う機会が減少しています。 行政・関係団体・学校・地域等が連携して、こども・若者の創造性・自主性・社会性を育んでいく必要があります。 ・若い世代の男女に向け、将来の妊娠・出産に備えて健康管理ができ、ライフプランを主体的に考えることができるよう、妊娠・出産・子育てに関する正しい知識の普及啓発等のプレコンセプションケアの取組を行うことが重要です。低年齢からの性に関する意識付けが必要で、その中でも思春期は、身体面・精神面共に成長・発達による変化が大きい時期であり、性に関する不安や悩み等に対する相談支援の必要があります。 【89ページ】 ・不登校の増加、ネット社会の影響、薬物や特殊詐欺の問題、こどもの自殺の増加、貧困問題など、こども・若者を取り巻く環境は一層厳しさを増すと共に、課題も複雑化しており、複合的な対策が求められています。 ・共働き世帯の増加や働きかたの多様化に伴い、すべてのこどもたちにとって安全・安心で豊かな時間を過ごすことができる放課後等の居場所の確保が必要となっています。また、放課後の時間は、多くの人との関わりや体験を通して、こどもたちが協調性や主体性を育みながら成長できる場としていく必要があります。 ・こどもの小学校入学を機に保護者に新たな負担が生じる、いわゆる「小1の壁」の問題に表れるように、保護者が過度な負担を抱くことなく、子育てと仕事の両立に向き合うことができる時間的・経済的なゆとりの創出が求められています。 (2) こども・若者の居場所づくり ・すべてのこども・若者の健やかな成長に向け、安全・安心で自分らしく過ごせる居場所をつくる必要があります。 ・中高生の通学形態の広域化・多様化やライフスタイルの変化、価値かんの多様化などにより、様々なニーズに応じた居場所が求められています。 ・こどもが自由に思いきり外で遊ぶことができるよう、身近な遊び場でもある公園等の環境整備を進める必要があります。 ・居場所を多く持つこどもは、自己肯定感・チャレンジ精神・将来への希望など、積極的な姿勢を有する傾向にあります。こども・若者が自分に合った複数の居場所を持てるよう、多様な居場所づくりを進める必要があります。 ・本市では、中高校生世代が気がるに集い、自由な活動や仲間と交流する機会、社会体験プログラムの提供などを行うため、青少年の地域活動拠点づくり事業を実施しています。 【90ページ】 ・「ニーズ調査」(小学生保護者)では、保護者が小学生の居場所に望むこととして、「様々な体験活動ができる」「大人の見守りがある」など、体験活動や安全性の割合が高くなっています。 ・こども食堂等の地域の取組が推進されており、居場所を必要とするこどもへの周知が求められています。 【91ページ】 ・こども・若者が自分に合ったたくさんの居場所が持てるよう、青少年の地域活動拠点をはじめとするこども・若者の居場所の運営者の連携を進めることや、普及啓発、広報の充実を図る必要があります。 (3)多様な体験活動の必要性 ・未来を担うこども・若者に様々な体験機会を提供するため、本市では、横浜こども科学館、野島青少年研修センター、青少年野外活動センター等の青少年関連施設において各種プログラムを実施すると共に、青少年指導員や青少年関係団体、プレイパーク等の活動を支援しています。 ・小学生の頃に体験活動(自然・社会・文化的体験)を多くしていたこどもは、その後高校生の時に自尊感情や外向性、精神的な回復力が高くなる傾向が見られます。 ・保護者の経済力や保護者自身の経験の多寡などによる、こどもの体験格差が指摘されています。 こどもの健やかな成長のためには、家庭環境等こどもの置かれた状況によらず、多様な体験ができることが重要であり、社会全体でこども・若者の体験活動を支援する必要があります。 (4) 放課後の居場所の充実 ・すべてのこどもが放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、放課後のこどもの遊びと生活の場である、「放課後キッズクラブ」と生活の場である「放課後児童クラブ」の安定的な運営を確保し、放課後児童施策を推進していく必要があります。 【92ページ】 ・小学生の放課後の時間は、異年齢児等との関わりなどを通じて、こどもたちが道徳や社会性を養うと共に、発達段階に応じた主体的な活動ができるものとしていく必要があり、放課後児童健全育成事業に携わる職員の人材育成や、プログラムの充実等による質の向上が求められています。 ・市内すべての小学校に設置されている放課後キッズクラブでは、学校と連携しこどもたちが思い思いに過ごせる活動場所の確保や、より良い環境づくりを進める必要があります。 ・障害のあるこども、発達に特性のあるこども、外国につながりのあるこどもへの支援にあたっては、学校との情報共有や関係者との連携を進め、こどもと家族に寄り添い、個々の特性を理解し一人ひとりに応じた支援を行っていくことが求められています。 ・共働き家庭等の増加や、働きかたの多様化に応じた居場所づくりが求められていると共に、家庭環境や社会環境によって、こどもたちの体験活動の機会に格差が生じないよう、地域・学校の実情や特色に応じた、多様な活動を促進することが期待されています。 ・「ニーズ調査」(小学生保護者)では、放課後の居場所に対して保護者が今後望むこととして、「宿題をする学習習慣」「イベント・行事を通した非日常的な体験・活動」「友達づくり」に加え、「児童が主体的に遊べる時間」「基本的生活習慣や生活のリズムを身に付けること」「長期休業日における昼食の外注サービス」などの割合も高くなっています。 【93ページ】 (5)地域における支援の充実 ・こども・若者の健やかな成長のためには、地域の中で多様な世代と交流することで、社会性や自主性を育むことが重要です。7歳の頃の遊び相手の多様性が高いほど、17歳の「自尊感情」の得点が高くなるなど、小学生の頃の異年齢や家族以外の大人と関わった経験は、その後の成長に良い影響があることが示唆されています。 ・地域では青少年指導員やこども会等の青少年団体が、多様な活動を通じてこども・若者の健全育成や支援に取り組んでいます。 ・多様な地域資源が連携し、ネットワークを構築することで、「こども・若者を見守る目」を醸成すると共に、地域全体で予防的支援に取り組み、課題が顕在化した場合に、早期支援につなげられる環境をつくることが必要です。 ・地域における青少年育成の担い手の高齢化や新たな担い手不足などが課題となっており、人材確保や普及啓発などに取り組む必要があります。 (6)こども・若者の人権擁護と意見の反映 ・こども・若者に関する施策の実施にあたっては、当事者であるこども・若者の視点を尊重し、その意見が十分反映される環境づくりに努めると共に、こども・若者の社会参画を促進していくことが求められています。 ・こども・若者が社会参画し、自らの意見を表明する機会を保障することは大人の責務ですが、意見表明の機会が設けられている事例は多い状況とは言えません。 ・こどもは自分の思いや考えを対外的に主張する力が十分ではない場合もあり、一見すると問題がなさそうなこどもでも、実は悩みを抱えていたり、本人が問題と認識していない場合があります。 また、悩み事を相談するには、こどもとの信頼関係の構築が不可欠です。地域の身近な存在の大人たちが、日々こどもたちと接する中で、変化に気づき、深刻な状況にならないよう、こども・若者に寄り添い、耳を傾けることが重要です。 ・こどもへの性加害などこどもの人権が侵害される事態も生じており、こども・若者の人権擁護を図るための施策を強化する必要があります。 【94ページ】 施策の目標・方向性 (1)小学生のより豊かな放課後等の居場所づくり ・こども・保護者・事業者の意見を聴きながら、放課後の居場所づくりを進めることで、年齢や保護者の就労状況等にかかわらず、すべてのこどもたちのウェルビーイングを支えられるように取り組んでいきます。 ・こどもたちの安全・安心な放課後の居場所を確保すると共に、放課後児童健全育成事業所等の職員の人材育成に取り組むほか、DXの推進等により、こどもの育成支援に注力できる環境づくりを進めることで、更なる質の向上を図ります。 ・人材確保の支援にあたっては、事業の認知度の向上や職員の労働環境の整備等の様々な手法により、人材を確保しやすくなるような取組を進めていきます。 ・放課後の時間を過ごすこどもたちが、家庭環境や経済状況によらず、様々な学びや体験活動を通して、創造力や好奇心、自己肯定感等を育むことができるように、地域や企業、団体と連携・協働して、体験活動の機会の充実を図ります。 ・放課後キッズクラブの活動場所の確保にあたっては、こどもたちがより安全・安心な環境で過ごせるよう、学校等との連携を一層促進し、学校施設の更なる活用に取り組んでいきます。また、障害のあるこどもや、医療てきケアを必要とするこども、外国につながりのあるこどもなど、配慮が必要なこどもへの支援について、学校・関係者と協力し、放課後の居場所におけるインクルージョンを推進していきます。 (2)いわゆる「小1の壁」の打破 ・「小1の壁」を打破するため、すべてのこどもが放課後等に過ごす多様な居場所を確保すると共に、共働き家庭の増加等に伴う多岐に渡ったニーズに対応するため、きめ細やかな支援を行っていきます。 ・給食がない長期休業期間中のお弁当づくりなど、小学校入学を機に保護者に生じる新たな負担を軽減・解消する支援を行うことにより、子育て世代の「ゆとり」を生み出し、子育てと仕事を両立できる環境を整えていきます。 【95ページ】 ・放課後キッズクラブや放課後児童クラブを利用する保護者へのアンケートなどを踏まえて、子育て世代のニーズをとらえながら、活動内容の充実や経済的負担の軽減等、幅広い対応策を推進していきます。 (3)こども・若者の成長を支える基盤づくり ・こども・若者の健全な成長のためには、家庭や学校以外の第三の居場所が大切です。こども・若者は、多様な体験や、様々な世代の人との交流の中で自己決定力を身に付けていきます。すべてのこども・若者のウェルビーイングを支えるため、多様なニーズに応じた居場所づくりや体験活動の充実、多世代との交流促進等を進めます。 ・居場所は、孤独や孤立の問題とも深く関係しています。当事者であるこども・若者の声を聴きながら、その視点に立ち、身近に多くの居場所が持てるよう取り組んでいきます。 ・青少年の育成支援に係る中間支援組織である(公財)よこはまユースが中心となり、青少年の地域活動拠点や市民利用施設等の地域資源が連携することで、体験活動等のプログラムの提供、地域の大人と交流する機会やボランティアなど社会体験等の充実を図ります。 【96ページ】 ・プレイパークや青少年関連施設等において、自然・科学・社会体験など多様な体験ができる環境を提供します。 ・こども食堂等の地域主体の取組が一層推進され、こどもにとって安心できる居場所となり、また、こどもに対して居場所の情報が周知されるよう、運営団体が地域や行政等と連携を図れる体制作りを進めます。 ・将来、自分らしいライフプランを選択できるよう、低年齢から分かりやすく妊娠、出産も含めた健康に関する正しい知識を伝える取組を充実させます。 ・学校給食法の趣旨を踏まえ、ちゅう学校給食の利用を原則とし、すべての生徒に満足してもらえる給食を提供します。また、全員給食の実施により、子育て世代の「ゆとり」を生み出し、子育てと仕事を両立できる環境を整えていきます。 (4)こども・若者の成長を見守り、支える地域社会づくり ・地域では、青少年指導員や民生委員・児童委員、こども会等の青少年団体、こども食堂、学習・生活支援、プレイパーク、市民利用施設のスタッフなど多様な人材や団体が、こども・若者と接点を持っています。地域の人材や団体が相互に連携することで、それぞれの活動の幅が広がると共に、こども・若者の複合的な支援につながるよう取組を進めます。 ・こども・若者の育成・支援に取り組む人材や団体に対し、講座や研修会等を通じ意識や知識の向上を図ると共に、交流の機会等をつくることで、育成・支援の輪を広げます。 ・こども・若者を取り巻くリスクが多様化する中、青少年の地域活動拠点など、誰もが気がるに来られる場を充実させ、スタッフなどが日常的な関わりを通じて関係性を構築し、コミュニケーションを促進することで、課題を早期に発見し、必要に応じ関係機関につなぐなど、健やかな成長を支援します。 ・すべての大人が地域の中でこどもたちを見守り、支える環境づくりが進むよう、普及啓発に取り組みます。 ・青少年指導員等地域の育成・支援者を増やすため、広報によって活動状況の周知を図る人材の確保に努めます。 (5) こども・若者の人権を守る取組の推進とこども・若者の意見の反映 ・こども・若者に関する施策・事業の推進にあたっては、こども・若者の主体性を尊重し、社会参画を促進していくと共に、当事者のニーズに合った効果的なものとするため、アンケートやヒアリングなどにより、こども・若者の声を聴く機会を設けると共に、その意見を反映する取組を進めます。 ・こども・若者の意見を聴く方法については、ワークショップの開催やファシリテーターを置くなど、内容に応じてこどもたちが意見を表明しやすい手法により実施します。 ・こどもや若者の意見には、大人が気づくことができない新たな視点や発想があることを認識し、その思いや発言を真摯に受け止め、耳を傾ける姿勢が重要です。 ・こども・若者の視点に立ち、その人権を守るため、関係団体や事業者等に対し、こどもの人権擁護に関する研修等を実施します。 【97ページ】 アウトカムと指標 アウトカム クラブを利用する児童の満足度の向上 指標 放課後キッズクラブ・放課後児童クラブを利用する児童へのアンケートのうち、『クラブは楽しいですか』の項目で「楽しい」「どちらかというと楽しい」と回答した児童の割合 直近の現状ち(令和5年度) 89% 目標ち(令和11年度) 95% アウトカム こども・若者が居場所を持ち、多様な体験を重ねることで自身の成長を感じることができる 指標 青少年の地域活動拠点等において利用者の自己肯定感が高まったと感じた割合※利用者アンケートの『自分自身への変化』の項目で「自分に自信がついた」「人前で話すのが得意になった」「自分が明るくなった」「自分が何かの役に立てるのを知った」「将来や進路を考えられるようになった」と回答した若者の割合 直近の現状ち(令和5年度) 63% 目標ち(令和11年度) 70% アウトカム 多様な地域資源が連携し、ネットワークを構築することで、地域でこども・若者の見守りが充実している 指標 地域で青少年育成の連携・協働を促進するため、(公財)よこはまユースが支援をおこなった団体数 直近の現状ち(令和5年度) 757団体 目標ち(令和11年度) 877団体   【98ページ】 主な事業・取組 放課後児童育成事業 すべてのこどもたちに安全・安心な居場所を確保し、豊かな放課後を過ごせるよう、「放課後キッズクラブ」、「放課後児童クラブ」の2つの事業を実施します。 両事業において、DXの推進により、こどもの育成支援に注力できる環境を整備すると共に、職員の人材育成や活動場所の確保、プログラムの充実を進めることで、更なる質の向上を図ります。 想定事業量 市が実施する人材育成に係る研修を受講した人数 直近の現状ち 年 3,373人 令和11年度 年 5,200人   放課後児童育成事業における障害児・医療てきケア児の受入れ推進 「放課後キッズクラブ」、「放課後児童クラブ」において、障害のあるこどもや、医療てきケアを必要とするこどもなど、配慮を必要とする児童の受入れの促進につながるよう、研修や支援の充実に取り組んでいきます。   放課後キッズクラブ・放課後児童クラブにおける長期休業期間中の昼食提供 小学生の朝の居場所づくり事業 子育て世代にゆとりを創出し、こどもと向き合う時間を充実させることにつながるよう、すべての放課後キッズクラブ・放課後児童クラブで、小学校の長期休業期間中の昼食提供を進めていきます。 また、小学校の始業前等の朝の時間に、学校施設を活用して、こどもたちが安心して過ごすことができる居場所づくりに取り組みます。 想定事業量 昼食利用率 直近の現状ち なし【令和6年度新規】 令和11年度 70%   こども・若者の居場所づくり 思春期という大きな変化を迎える時期にある中高生世代の成長を支援すると共に、社会参画に向かう力を養成するため、こどもたちが安心して気がるに集い、同世代・異世代との交流や様々な体験活動を行うことができる「青少年の地域活動拠点」を充実します。また、こどもが抱える悩みや問題が深刻な状況にならないよう、拠点のスタッフが個々の状況に応じた対応をすることで、セーフティネットとしての役割を果たします。 こども・若者が身近な地域に多くの居場所を持てるよう、様々な地域資源と連携した取組を進めると共に、居場所についての広報・普及啓発に取り組みます。 想定事業量 青少年の地域活動拠点等の利用者数 直近の現状ち 年 50,316人 令和11年度 年 71,309人 【99ページ】 こども・青少年の体験活動の推進 すべてのこどもが、自然・科学・文化・社会体験や人との交流を通じて自身の能力を育み、可能性を広げることができるよう、青少年関連施設や野外活動センター等における体験活動プログラムの充実を図ります。また、身近な地域で様々な体験活動ができるよう、青少年指導員やこども会等青少年団体の活動を支援します。 想定事業量 自然・科学体験等プログラム実施回数 直近の現状ち 年 3,532回 令和11年度 年 3,680回 プレイパーク支援事業 公園等の一部を活用してこどもの創造力を生かした自由な遊びができる「プレイパーク」の活動を支援します。 想定事業量 プレイパーク利用人数 直近の現状ち 年 10万人 令和11年度 年 10万人 安全・安心な公園づくり 地域の憩いの場であり、こどもたちの遊び場でもある身近な公園等を市民が安全で安心して快適に利用できるよう区局一体となって新設・再整備や、施設改良、維持管理を進めます。 【令和5年度実績】 公園の新設・再整備:55か所 こどもログハウスリノベーション こどもログハウスは、こどもたちが身近な場所で、木のぬくもりを感じ自由に遊ぶことのできる屋内施設として各区に整備され、多くのこどもたちで賑わっています。夏の暑さ対策のため長寿命化工事と併せて空調などの整備を進めると共に、活用の検討を進め、こどもの居場所としての更なる魅力向上を図ります。 想定事業量 空調設備等暑さ対策工事が完了した施設の数 直近の現状ち 3館 令和11年度 18館    【100ページ】 子どもの文化体験推進事業 より多くのこどもたちが身近な場所における文化体験を通じて、表現力やコミュニケーション力を育めるよう、音楽や美術、演劇などのプログラムを実施します。2024(令和6)年度は新規事業として放課後キッズクラブを中心に実施し、2025(令和7)年度以降は地域のこどもたちが集まる様々な場所へ実施場所を拡充していきます。 想定事業量 参加者数 直近の現状ち なし【令和6年度新規】 令和11年度 年 7,000人 子どものスポーツ活動支援事業・スポーツ分野における学校訪問事業・ トップスポーツチーム連携事業 こどもがスポーツを好きになるよう、その意識を育み、体力向上へとつなげるため、次世代を担うこどもたちが気がるにスポーツに親しむ様々な機会を提供し、こどものスポーツ実施率の向上や、スポーツを楽しみたいと思うこどもの割合の向上を図ります。 【令和5年度実績】 @多様な人と関わり、運動スポーツを楽しみたいと思うこどもの割合 85.5% Aこどもの週3回以上(授業以外)のスポーツ実施率 44.8%   こどもと港とのふれあい機会の創出 重要文化財帆船日本丸を活用し、青少年の錬成や海事思想の普及のため、宿泊での海洋教室に加え、親子展帆やロープ教室を実施します。また、横浜みなと博物館において、横浜港や海、船に関する理解と知識の増進のため、ボランティアによるワンポイント解説や、親子の海図教室を実施します。 横浜港見学会は、青少年等に横浜港への理解や関心を深めてもらうことを目的に実施しています。 新本牧ふ頭整備事業や横浜港への理解を深める機会として、大黒ふ頭のスカイウォークを開放し、市内小学校等の課外授業や社会科見学会などを受入れます。 【令和5年度実績】 帆船日本丸を活用した錬成事業(海洋教室等):18回 横浜みなと博物館小ちゅう学校団体入館:430校 横浜港見学会:約1,100人 スカイウォーク社会科見学等:約400人    【101ページ】 MICE次世代育成事業 国際会議等の開催に合わせ、こどもたちを対象に最先端の技術や情報に触れられる講演やワークショップ等を開催することで、専門性の高い内容を楽しく学ぶ機会を提供します。 想定事業量 参加者数 直近の現状ち 年 93人 令和11年度 年 422人 横浜トリエンナーレ事業 横浜トリエンナーレ会場等に来場した親子連れが、事前予約なしで当日気がるにアートを体験でき、文化芸術にふれあい親しむきっかけとなるようなアートワークショップを開催します。  横浜美術館会場内に、乳幼児向け休憩スペースや入場までの待ち時間を短縮するこどもファスト・トラック(親子連れ優先レーン)を設置し、子育て世代がゆとりを持って鑑賞しやすい環境を整えます。 想定事業量 アートワークショップ参加者数 直近の現状ち 12,386人(1展覧会につき) 令和11年度 15,000人(1展覧会につき) フェスティバルによるにぎわい創出事業 2024(令和6)年度から開催する、音楽を中心とした新たなフェスティバル「Live!横浜」において、民間イベント等と連携しながら公共空間等を活用したステージを街なかに展開し、親子で気がるに楽しめる体験型プログラムや多彩なジャンルによるライブパフォーマンスの鑑賞機会を提供します。また、プロによるこども・若者向けワークショップなど、次世代育成の取組を展開し、すべてのこども・若者が参加しやすく親しみやすいフェスティバルとなるよう充実を図ります。 想定事業量 次世代育成ワークショップの参加者数 直近の現状ち なし 【令和6年度新規】 令和11年度 5か年で4,000人   芸術文化教育プログラム推進事業 アーティストが学校を訪問し、授業の一環として、次世代を担うこどもたちに音楽、美術、演劇、ダンス、伝統芸能等の芸術文化に触れたり創造活動を体験したりする機会を提供することにより、文化の多様性に気づき、表現力や他者とのコミュニケーション力、多様な価値かんを理解する心などを養うことを目的とします。 想定事業量 参加者数 直近の現状ち 年 13,554人 令和11年度 年 15,200人   【102ページ】   文化施設運営事業 専門的な文化施設(横浜美術館、横浜みなとみらいホール、横浜能楽堂、横浜にぎわい座、大佛次郎記念館)で、美術・音楽・古典芸能・大衆芸能・文芸など様々なジャンルにおいて、こどもたちが自ら文化芸術の体験をする機会を創出します。  (事業例:こどものアトリエ、こどもの日コンサート、横浜こども狂言会、こども寄席、中高生ビブリオバトル) 想定事業量 事業数 直近の現状ち 12事業 令和11年度 15事業   子どもアドベンチャーカレッジ事業 子どもアドベンチャーカレッジは、市内の小学生に向けて「主体的・対話的で深い学びのきっかけづくり」及び「社会参加のきっかけづくり」の場と機会を提供するため、民間企業や団体、大学、公的機関などの協力を得て実施する、夏休み体験学習プログラムです。  こどもたちの主体的な学びのきっかけとして、地域・社会の様々な活動の体験を通じて、学びが将来どのように役立つかを考える機会を提供し、生涯学び続ける姿勢を育成します。 【令和5年度実績】  「子どもアドベンチャーカレッジ」の参加者数:1,458人   思春期保健指導事業(基本施策1の再掲) プレコンセプションケアの取組の一つとして、区福祉保健センターや学校等で、思春期のこどもやその親に対して、親子関係、思春期の性等について正しい知識の普及を図り、思春期のこどもの心身の健やかな成長を支援します。 想定事業量 思春期保健指導事業参加者延べ人数 直近の現状ち 年 8,266人 令和11年度 年 8,511人   地域等と連携したこどもの心身の健やかな成長支援(基本施策1の再掲) 地域にいる健康、医療などの専門家を外部講師として活用し、市立学校の児童・生徒に対して、薬物乱用防止教育、性に関する指導等について正しい知識の普及を図り、こどもの心身の健やかな成長を支援します。   【103ページ】   ちゅう学校給食事業 2026(令和8)年度からちゅう学校給食の利用を原則とし、デリバリー方式による供給体制の確保と生徒に満足してもらえる給食の提供を行います。地産地消の推進、地域の郷土料理、行事食や生徒考案メニューなど、食材や献立を充実し、安全・安心で質の高い給食を提供することで給食を教材とした食育を推進します。  また、全員給食に伴い、アレルギー代替食の提供を始めるほか、汁物を食缶方式へと変更し、汁物の具材を充実させることに加え、生徒の意見を聞きながら一層食べやすい献立づくりを目指します。 こども食堂等のこどもの居場所づくりに対する支援 こども食堂等の地域主体の取組が一層推進され、こどもにとって安心できる居場所が創設・継続されるよう支援します。また、運営団体同士の連携強化や居場所を必要とするこどもに対して情報が広く周知されること等を目的に、運営団体と地域・行政等とのネットワーク構築を進めます。 【令和5年度実績】  地域におけるこどもの居場所の把握数:341か所 こども・若者の意見を反映した事業の実施 こども・若者の主体性を尊重し、社会参画を促進していくため、青少年の地域活動拠点や青少年施設等において、ワークショップなどを開催し、中高生等によるイベントの企画立案・運営など、こども・若者の視点を取り入れた事業を実施します。 想定事業量 青少年の地域活動拠点等において、こども・若者の意見を聴き、かつその結果をフィードバックした割合 直近の現状ち なし【令和6年度新規】 令和11年度 100% 【104ページ】 基本施策5 障害児・医療てきケア児等への支援の充実 現状と課題 (1)地域における療育や保護者支援の充実 ・障害やその療育等について多くの情報が様々な媒体を通じて行き交うようになり、保護者や学校・保育所等が、障害のあるこどもとの関わりかた等について悩みや不安を感じることが増えています。そうした悩みや不安に寄り添い解消するために、適切な情報提供や診療を含む支援の体制づくりが求められています。 ・地域療育センターの新規利用児が増加する中、利用者への初期支援は充実しつつあります。3歳未満の児童や集団療育を卒園した児童(学齢児)を含め、必要とするこどもが、必要な支援を適切な時期に受けられるような支援のありかたが求められています。 ・障害児の支援は、本人だけでなく保護者への支援も有効であると考えられています。保護者が児童へのかかわりかたを学ぶペアレントトレーニングや、障害児を育てた経験のある保護者と相談できるペアレントメンター等の実施等の保護者支援が求められています。 (2)障害児施設等における支援の充実 ・障害児つうしょ支援は、ニーズの増大に対応して事業所数が年々増加しており、数多くある事業所の中からそれぞれの児童の特性や保護者のニーズに合った支援を行うことができる事業所を選ぶことが難しくなっています。また、提供されるサービスの質の維持・向上だけでなく、事業所の事務効率化や運営の適正化に向けた支援を行う必要があります。特に、虐待の防止に向けた具体的な取組の実施や、重症心身障害児や医療てきケア児等が安心して利用できる体制を充実させる必要があります。 【105ページ】 ・事業所の不足等により、全国平均に比して障害児相談支援の利用率が低い状況が続いています。障害児本人の意見を尊重し必要なサービスを受けられるようにするためにも、障害児相談支援の充実が求められています。 ・障害児入所施設において強度行動障害などの障害特性に応じたきめ細かな支援ができるよう個室化を行う等児童の生活環境改善を図るほか、職員による支援の質を高めるためにもメンタルケアなどにより勤務環境を向上する必要があります。 ・成人期が近づくにつれ利用できるサービスや暮らしかたが変わっていくため、早い段階から成人期を見据えた支援を行うことが重要です。特に障害児入所施設に入所している児童に対しては、成人期の生活への移行がスムーズに行われるよう支援を充実させる必要があります。 (3)医療てきケア児・重症心身障害児等への支援の充実 ・医療技術の進歩により医療てきケア児等が増加しています。 ・医療てきケア児等が安心して生活できるように、医療・福祉・教育等の多分野に渡る相談・調整を行うコーディネーターを配置し、関係機関と連携した支援に取り組んでいます。 ・医療てきケア児等の保育・教育施設等での受入れを推進しています。これらを継続しつつ、医療てきケア児等の将来を見据え、保育・教育・福祉分野における受入れをさらに推進していく必要があります。 ・家族の負担軽減のために病院での一時的な受入れを行うことに加えて、より気がるに利用できる預け先を増やすことが求められています。 ・必要な支援へつなげるために、医療てきケア児等の実態を継続して把握する仕組みづくりが求められています。 ・小児がん等の慢性疾病によって療養を必要とする児童等の健全な育成と自立の促進を図るための取組を推進していく必要があります。 【106ページ】 (4)療育と教育との連携の推進等による切れ目のない支援 ・将来の自立に向けて切れ目のない支援を実現するため、放課後等デイサービス等の障害児つうしょ支援事業所と学校の連携をさらに深めるなど、関係機関全体で支援を行う体制づくりが求められています。 ・医療・福祉分野等におけるトランジションの課題を整理しつつ、18歳の壁など児童から成人へとスムーズに移行できるよう、切れ目のない支援が求められています。 (5)こどもの意見を聴く取組等の推進と障害への理解促進 ・こどもの意見を聴く取組について、言語的な意見・意向の表明が困難な場合も念頭に置きながら、その手法等実施に向けた検討を進めていく必要があります。 ・幼少期・がくれい期から様々な場面で障害や医療てきケアの有無にかかわらず、人と人が出会い、つながることを通して、障害への社会全体の理解を深めていくことも重要です。 【107ページ】 施策の目標・方向性 (1)地域療育センターを中心とした地域における障害児支援の充実 ・地域療育センターにおいて、療育を必要とする児童やその保護者が必要な支援を適切な時期に受けられるよう、ひろば事業などの初期支援や診療、療育等の充実を図ります。また、児童発達支援センターとして地域における障害児支援の中核的な役割を担うため、地域支援に係る取組を強化します。 ・ペアレントトレーニングやペアレントメンター等、保護者支援に係る取組について、保護者のニーズに即した取組を実施し、地域訓練会等の既存の取組と共に推進します。 (2)将来の自立等に向けた療育と教育の連携等による切れ目のない支援の充実 ・幼稚園・保育所・地域療育センター等の関係機関等と学校との情報共有や連携を推進し、障害のあるこどもの就学支援の充実を図ります。 ・障害等により特別な支援が必要な児童生徒に対し、それぞれの地域で学校と障害児つうしょ支援事業所をはじめとする地域の関係施設・関係機関とが支援の目標共有等を行うことにより、連携を強化し、切れ目のない支援に取り組みます。 ・保護者の就労等によるニーズの多様化を踏まえたサービスの充実を図ります。 ・研修などを通じた人材育成の支援や事業所への訪問による指導の実施を通して、障害児つうしょ支援事業等のサービスの質の向上を図ります。 (3)障害児相談支援をはじめとする相談支援の充実 ・障害児相談支援事業所を増加し、障害児相談支援を必要とする人が障害児相談支援を受けられることを目指します。 ・学齢前期から学齢後期(中学生・高校生年代)の発達障害児及び保護者が、自立した成人期を迎えられるよう、相談支援体制の充実を目指します。 (4)障害児入所施設の環境向上と入所児童の地域移行の推進 ・強度行動障害などの障害特性に応じたきめ細かな支援ができるよう、老朽化した障害児入所施設の再整備を行い、居室の個室化・少人数化やユニット化を進めると共に、職員のメンタルケアなど勤務環境を向上させるための支援の充実を図ります。 ・早い段階から成人期を見据えて、入所児童の意向等を確認しながら障害児入所施設から成人期の地域での生活へスムーズに移行できるようにします。 【108ページ】 (5)医療てきケア児や重症心身障害児等への支援の充実 ・医療てきケア児や重症心身障害児の在宅生活を支援するために市内方面別に多機能型拠点の整備を進めます。また、在宅生活において必要とする医療・福祉・教育分野等の支援を総合的に調整し、関係機関と連携した支援の充実を図ります。 ・医療てきケアが対応可能な医療・福祉・教育分野の受入れ体制の充実を図ります。また、成人期につながる受入れ先の充実に取り組みます。 ・一人ひとりの状態や状況に合った医療てきケア児等のレスパイトサービスなどの新たな施策を検討します。 ・医療てきケア児等にとって必要なサービスの利用状況等を把握するために、実態を継続的に把握する仕組みづくりを検討します。 ・医療てきケアが必要な重症心身障害児等を在宅で介護する家族の負担軽減と生活の安定を目的として、一時的に在宅生活が困難となった場合などに病院での受入れを引き続き行います。 ・小児がん等の慢性疾病によって療養を必要とする児童等への相談支援を継続的に実施すると共に、児童等のニーズを踏まえた健全育成と自立促進の取組を進めます。   (6)こどもの意見を聴く取組等の推進と、障害への理解促進 ・障害のあるこどもとその家族が安心して地域の中で生活し、健やかに成長できるよう、こどもの思いを受け止めながら施策を進めると共に、障害の区別なく共に暮らす社会を目指して、市民の障害への理解を促進します。特に、乳幼児期、がくれい期から相互理解に向けた教育や取組を進めていきます。 【109ページ】 アウトカムと指標 アウトカム 地域療育センターと保育所等の地域の関係機関との連携が図られている 指標 地域療育センターが実施する保育所等への巡回訪問回数 直近の現状ち(令和5年度) 2,496回 目標ち(令和11年度) 3,500回 アウトカム 保育所等に通う医療てきケア児への支援力が強化され、医療てきケア児が安心して通園できる 指標 保育所等医療てきケア児支援看護師研修受講者アンケートで研修内容が日頃の業務に活用できると回答した割合 直近の現状ち(令和5年度) 91.8% 目標ち(令和11年度) 100% 主な事業・取組 地域療育センター運営事業 様々な専門職が連携して実施する「療育」に加えて、児童の主体性を大事にし、自らの育つ力を支える「発達支援」、家族に寄り添い子育ての力を高める「家族支援」、地域で成長していくことを支える「地域支援」等の役割を果たすために、利用申込後の初期支援の充実を図るほか、国が定める児童発達支援センターの機能や役割等を踏まえながら支援の充実に取り組みます。主な取組として、区福祉保健センターとの連携や保育所や学校等への巡回訪問による技術支援、障害児相談支援等を行います。 想定事業量 巡回訪問実施回数 直近の現状ち 2,496回 令和11年度 3,500回 保育・教育施設等における障害のあるこどもの受入れ推進(基本施策3の再掲) 障害のあるこどもに関する保育・教育施設等の利用相談において、保護者へ施設の情報を提供するなど、保護者に寄り添った対応を行い、市内の保育・教育施設等における受入れを推進していきます。 また、保育士・教諭等を対象とした障害のあるこどもへの理解を深めるスキルアップ研修等を実施すると共に、障害のあるこどもの受入れ園に対する環境整備等を充実していきます。   放課後児童育成事業における障害児・医療てきケア児の受入れ推進(基本施策4の再掲) 「放課後キッズクラブ」、「放課後児童クラブ」において、障害のあるこどもや、医療てきケアを必要とするこどもなど、配慮を必要とする児童の受入れの促進につながるよう、研修や支援の充実に取り組んでいきます。   【110ページ】 障害児相談支援をはじめとする相談支援の推進 利用を希望する人が障害児相談支援を利用できるようにするため、障害児相談支援事業所の拡充を推進します。  また、学齢後期(中学生・高校生年代)の発達障害のある児童が安定した成人期を迎えられるよう、生活上の課題解決に向けた診療、相談、学校等関係機関との調整などの支援を行います。 想定事業量 障害児相談支援事業所数 直近の現状ち 119か所 令和11年度 220か所   保護者教室の開催 特別な支援が必要なこどもの保護者を対象として、こどもの特性を踏まえた家庭での関わりかたのヒントを伝える保護者教室を開催し、子育ての不安解消につなげます。 【令和5年度実績】 年間開催数:7回   療育と教育との連携強化等によるがくれい期の障害児支援の充実 こどもの就学にあたり、幼稚園・保育所・地域療育センター等の関係機関と学校との情報共有や、円滑な引継ぎ等を行うことにより連携を推進します。 一人ひとりの教育的ニーズに的確に応え、その変化にも柔軟に対応できる多様な学びの場の提供・充実に取り組みます。併せて、障害のあるなしにかかわらず、可能な限り子どもたちが共に学ぶ機会の充実に取り組み、相互に認めあい、支えあい、誇りを持って生きられる社会を目指します。 併せて、教職員の特別支援教育に係る専門性の向上や地域で学校と障害児つうしょ支援事業所をはじめとする地域の関係施設・関係機関との連携強化等に取り組みます。 【令和5年度実績】  個別の教育支援計画・個別の指導計画に基づき、一人ひとりの教育的ニーズを踏まえた適切な指導・支援がされ、児童生徒の成長につながっていると感じている保護者の割合:94.7% 【111ページ】 障害児つうしょ支援事業所等の拡充と質の向上 障害児が療育や余暇支援を受け、放課後や長期休暇に安心して過ごすことができる場を確保するため、保護者のニーズや国の動向等も踏まえながら、重症心身障害児を支援できる障害児つうしょ支援事業所を拡充します。また、集団指導や運営指導等によるサービス提供状況の確認・指導に加えて、研修などを通じた人材育成の支援や、事業所間及び学校をはじめとする地域の関係機関並びに地域住民との連携を進め、サービスの質の向上を図ります。 想定事業量 @主に重症心身障害児を支援する児童発達支援事業所数 直近の現状ち 11か所 令和11年度 18か所 想定事業量 A主に重症心身障害児を支援する放課後等デイサービス事業所数 直近の現状ち 33か所 令和11年度 36か所   障害児入所施設の環境向上と入所児童の地域移行の推進 障害児入所施設において、障害特性に応じたきめ細かな支援ができるよう、老朽化した施設で居室の個室化を図るなど再整備を進めると共に、職員のメンタルケアなど勤務環境を向上させるための支援の充実を図ります。 また、早い段階から成人期を見据え、入所児童の意向等を確認しながら入所児童が成人期の生活へスムーズに移行できるようにします。 想定事業量 18歳を超えて福祉型障害児入所施設に在籍する入所者数 直近の現状ち 0にん 令和11年度 0にん 医療てきケア児・しゃ等支援促進事業の推進 医療てきケア児・しゃや重症心身障害児・しゃのライフステージに応じた在宅生活を支援するため、医療・福祉・教育分野等の支援を総合的に調整するコーディネーターを配置します。また、地域における更なる支援の充実に向けて、医療・福祉・教育分野等の関係機関が一堂に会し、課題共有、意見交換、対応策等の検討を行います。受入体制の充実を図るため、医療てきケア児・しゃ等の受入れを積極的に行う際に必要な知識・技術の普及啓発を行う支援者を養成します。  一人ひとりの状態や状況に合ったレスパイトサービスなどの検討により、医療てきケア児・しゃや重症 心身障害児・しゃの利用サービスの充実を図ります。 想定事業量 @コーディネーターの配置 直近の現状ち 10人 令和11年度 12人 想定事業量 A支援者の養成 直近の現状ち 241人(累計) 令和11年度 541人(累計)   【112ページ】 メディカルショートステイ事業の推進 在宅重症心身障害児・しゃの多くは医療てきケアを必要とし、人工呼吸器等の高度な医学的管理が必要な人も増えていることから、重症心身障害児・しゃ本人及び在宅生活を支える家族のために、療養環境の整備・充実を図ります。 想定事業量 @協力医療機関数 直近の現状ち 11病院 令和11年度 11病院 想定事業量 A利用登録者数 直近の現状ち 462人 令和11年度 660人   保育・教育施設等における医療てきケアが必要なこどもの受入れ推進(基本施策3の再掲) 医療てきケアを日常的に必要とするこどもの特性や成長に合わせ寄り添った支援を行えるよう、保育・教育施設等の理解を深める研修を実施すると共に、制度や環境整備の充実を図り、市内の保育・教育施設等における受入れを推進していきます。 また、看護職員を複数配置し、常時、医療てきケア児の受入れが可能な医療てきケア児サポート保育園の認定を推進していきます。 想定事業量 医療てきケア児サポート保育園 認定園数 直近の現状ち 12園 令和11年度 拡充   育成医療給付事業 身体に障害を有する児童または現存する疾患を放置すると障害を残す恐れのある児童の医療費の自己負担分を助成します。 法に基づき医療費の自己負担を公費負担により軽減することで、必要な受療が促され、こどもの健康回復及び維持が期待できます。 【令和5年度実績】 対象者数:134人   【113ページ】 小児がん患者のがん対策の推進 小児がん患者の医療の質の向上に向けて、横浜市小児がん連携病院(小児がんに対応する専門性の高い診療を行う市内3病院(神奈川県立こども医療センター、済生会横浜市南部病院、横浜市立大学附属病院)を「横浜市小児がん連携病院」に指定)と連携し、小児がん患者の長期フォローアップ、相談支援の充実等に取り組みます。 長期に渡る入院や入退院の繰り返しにより、同世代との交流が制限されてしまう小児がん患者等を対象に交流の機会を提供します。 小児がんの理解促進のため、市民向け動画を作成し、映画館での広告上映やSNSを通じて広報を推進します。 想定事業量 横浜市小児がん連携病院へのチャイルドライフスペシャリストなどの配置 直近の現状ち 4人 令和11年度 5人 小児慢性特定疾病医療給付事業 慢性疾患により長期に渡り療養を必要とする児童の健全な育成を図るため、医療費の自己負担分を補助します。また、病気を抱えながらも児童や家族が安心して自立した生活を送ることができるよう、ニーズに沿った取組を充実させます。 【令和5年度実績】 対象者数:2,768人 こどもの意見を聴く取組の推進 言語的な意見・意向の表明が困難な場合も念頭に置き、必要な手法や配慮等を検討しながら、障害のあるこどもの意見を聴く取組を推進します。 市民の障害理解の促進 世界自閉症啓発デーに合わせ、一般社団法人横浜市自閉症協会と横浜市の協働により、自閉症をはじめとする発達障害について普及啓発を実施します。よこはまコスモワールド大観覧車をはじめとした、市内ランドマーク施設のブルーライトアップを実施するほか、市立図書館にて発達障害に関する 書籍の特集展示と、発達障害の理解に役立つパネル展示を行います。また、企業等の協力により自閉症の理解啓発を目的とした動画を制作し、市営地下鉄車内ビジョン、市YouTube公式チャンネル等で公開します。 また、国が定める障害者週間(毎年12月3日から12月9日まで)等を契機として、市民の障害への理解を深めるための啓発活動等を実施します。 【114ページ】 施策分野2 多様な境遇にあるこども・子育て家庭への支援 基本施策6 困難を抱えやすいこども・若者への支援施策の充実 現状と課題 (1)養育環境に課題を抱える家庭のこども・若者 ・家族の疾病や経済的な困窮など、養育環境に課題がある家庭で育つことで、困難や課題を抱えるこども・若者が存在します。 ・貧困、いじめ、不登校、ひきこもり、無業などの複合的な課題を抱えているこども・若者が、地域の中で認知されにくく、本人や家族が社会的に孤立しているという状況があります。 ・家庭が抱える問題がこども・若者に表出したものもあることから、課題の解決には、世帯全体を支援する必要があります。世帯全体を支援するためには、行政の支援だけでなく、地域における日頃の見守り活動などにより、早期に世帯の変化に気づき、支援機関につないでいくことも重要です。 ・地域でこども・若者の育成に関わる人材(青少年指導員、民生委員・児童委員、主任児童委員等)と連携して取り組むことが必要です。 ・こどもが家庭の外にも安心できる居場所を得ることができ、また、生活・学習習慣を身に付けるための機会の確保が必要です。 ・2024(令和6)年4月1日施行の改正児童福祉法では、虐待リスクが高いなど養育環境等の課題を抱える主にがくれい期の児童を対象に、児童の居場所となる拠点を開設し、児童に生活の場を提供すると共に児童や保護者の相談に対応することなどが求められています。 ・こどもの健やかな成長のためには様々な体験活動が重要であるため、困難や課題を抱えるこども・若者を含め、すべてのこどもが多様な体験機会を確保できるよう配慮することが必要です。 ・市立小・中・義務教育学校に在籍する日本語指導が必要な児童生徒は、2023(令和5)年度3,692人と10年間で約2.6倍に増加しています。今後も日本語指導が必要な児童生徒は増加していくことが想定されます。 ・外国にルーツがあるこども・若者は、生活・家庭環境、言語や文化・習慣の違いによる生きづらさや進学・就労へのハンディキャップがあることも見受けられます。 (2)ひきこもり等困難を抱えるこども・若者 ・ひきこもりは誰にも起こりうることであり、2022(令和4)年度の本市調査では、15歳から39歳までのこども・若者のうち、ひきこもり状態にある人は約13,000人と推計されています。 また、公的な相談機関等の利用意向が低く、相談に有用性を感じている人も少ない状況です。さらに、公的な支援機関そのものや支援内容の認知度が低い状況です。 ・本人・家族共に支援機関等に相談できずに抱え込むことで、ひきこもり状態が長期化・深刻化していることが考えられ、早期発見・早期支援することが求められています。 【115ページ】 ・支援機関や民間団体等による相談・プログラムや就労支援、居場所の提供など、本人の心身の状態に応じた支援が必要です。 ・相談の敷居を下げるためにも、専門家による支援だけでなく、経験者等同じ経験をしている人同士の支えあいによるサポートも必要です。 ・ひきこもり等の若者が困難を抱えるに至った背景を理解し、本人の特性や得意分野に着目した多様な働きかたができるなど、地域や社会の理解促進が必要です。 ・一旦進路や就職先が決まった後も、再び困難に陥ることがないよう、支援機関や地域での見守りが必要です。 ・本人に対してだけではなく、家族に対する支援も重要です。 ・地域の当事者会、家族会等からは人材や活動場所の確保など、安定した運営に向けた支援が求められています。 ・困難を抱える状態に合っても、自身の悩みごとや困りごとをうまく話すことができないこども・若者が一定数存在します。支援が必要なこども・若者や家庭を早期に把握し、SOSを待つことなく、プッシュ型で支援を提供する取組を推進する必要があります。 ・高校中退者等に対する学校教育からの切れ目のない就労支援が必要です。 (3)ヤングケアラー・若者ケアラー ・子ども・若者育成支援推進法では、「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」として、ヤングケアラーを各種支援に努めるべき対象としています。 年齢や成長に見合わない重い責任や負担が日常化することで学業や友人関係に支障がでてしまうなど、こども・若者らしい生活が送れずにつらい思いをするだけでなく、将来にも影響を及ぼす可能性があります。 ・ケアが日常化することで、こどもにとって成長に必要な機会が奪われている状況が生じているにもかかわらず、こども本人や家族に自覚がない場合もあり、顕在化しづらい状況です。 ・本市調査では、市内の家族の世話をしているこどものうち、自分がヤングケアラーだと思うこどもは、小学5年生で8.6%(全体の1.7%)、中学2年生で6.5%(全体の0.9%)、高校2年生で11.0%(全体の0.6%)となっており、人口から見たヤングケアラーの可能性があるこどもの推定数は約3,000人です。 【116ページ】 ・ヤングケアラーの背景にある家庭が抱える課題は多様であることから、見守りや支援等にあたっては、こどもの意向に寄り添いながら、福祉、介護、医療、教育等の関係者が情報共有・連携し、家族に対する適切なアセスメントを行い、世帯全体を支援していく視点を持った支援体制の構築が必要です。 ・ヤングケアラーに関する課題は、若者ケアラーとして18歳以降も続いたり、18歳以降に同様の課題を新たに抱えることもあることから、ヤングケアラーと若者ケアラーへの支援の取組は一体てきに行っていく必要があります。 【117ページ】 施策の目標・方向性 (1)こども・若者を社会全体で見守り、悩みや課題の早期発見・早期支援につなげる環境づくり ・困難を抱えるこども・若者やその家族に相談機関や支援内容等を周知すると共に、地域住民に向けては、早期発見の必要性の意識啓発に取り組みます。 ・困難を抱えるこども・若者が適切な支援機関につながるよう、小学校、ちゅう学校、高校及び大学等に対して、支援施策の理解促進に取り組みます。 ・困難を抱えるこども・若者やその家族を孤立させないよう、青少年指導員、民生委員・児童委員、主任児童委員など、様々な地域人材と連携し、早期に適切な支援につなげます。 ・本人の状況に合わせた社会体験・就労体験の場を提供できるよう、地域の企業・団体への困難を抱える若者に対する理解促進を図ります。 ・関係機関や民間団体等と連携し、困難を抱えるこども・若者への支援方法の共有や質の向上を図ります。 ・不安や悩みごとを抱えるこども・若者に気づきを促し、いつでも気がるに相談できるようSNSによる相談を実施します。 (2)世帯全体を視野に入れたこども・若者への支援の充実 ・年齢によらない切れ目のない支援や、当事者のみならず、その家族も含めた支援が必要であるため、引き続き、関係機関、民間団体及び地域が連携した包括的な支援を行います。 ・背景にある家庭が抱える多様な課題や、複雑化・複合化した支援ニーズに対応できる包括的な支援体制を構築します。 ・生活困窮状態にある、あるいは養育環境に課題があるなど、様々な事情から支援を必要とする家庭に育つ小・中学生等が、将来の進路選択の幅を広げ、自立した生活を送れるよう、基礎的な生活習慣を身に付けるための寄り添い型生活支援事業や、高校等への進学・中退防止に向けた寄り添い型学習支援事業を実施します。 ・青少年相談センターを中心に、地域ユースプラザ、若者サポートステーションの3機関が連携し、若者の自立を支援していきます。 ・青少年相談センターでは、ひきこもりや不登校など若者の抱える様々な困難について総合相談を行うと共に、グループ活動などの多様なプログラムを通じて社会参加に向けた本人・家族への継続的な支援を行います。また、関係機関等への専門的な助言、研修等による人材育成、関係機関や地域との連携など若者支援の中核機関としての取組を強化します。 ・地域ユースプラザは、青少年相談センターの支所的機能を有する身近な地域の相談機関として、困難を抱える若者に関する総合相談、居場所の提供及び社会体験プログラムを実施します。また、区役所等に出張し、専門相談等を実施することで、地域での相談を充実させます。地域で若者の支援活動を行っている団体との連携や、相談支援に協力していただける応援パートナーの養成等を行い、包括的な支援ネットワークを構築します。 【118ページ】 ・若者サポートステーションでは、若年無業者など困難を抱える若者の職業的自立を支援するため、一人ひとりに合った支援プログラムの作成を行い、専門的相談支援やコミュニケーション訓練、職場体験プログラム等の多様な就労支援メニューを提供します。 ・長期に渡って不登校やひきこもり状態に合った若者を対象に、本人が望む自立や生活スタイルの確立に向けて、自己肯定感の向上や低下した体力の回復、生活リズムの立て直し、他人との関わりかたの習得などを行い、若者の社会的、経済的自立に向けた支援を行います。 ・ヤングケアラーについては、関係部署や支援団体、地域と連携し、こども・若者の思いや意向に寄り添いながら、家族の世話などに係る負担を軽減又は解消するため、家庭に対する適切なアセスメントにより世帯全体を支援する視点を持った対策を推進します。 (3)切れ目ない支援を実現するための関係機関等の連携 ・いじめ、不登校、日本語指導が必要なこどもなど、困難を抱えやすいこどもの育ちや学びを支えていくための支援を、地域や、学校などの関係機関と連携して進めていきます。 ・こども、教育、福祉等の関係機関や就労支援機関等と連携しながら、進学時や就労前後の継続的な支援を行っています。 ・若年無業や将来的な生活困窮の予防を図るため、高校等の在学中から就職活動の支援などの出張相談を行います。 ・高校中退防止や進路未決定者への支援の充実を図ります。 ・区役所や若者自立支援機関だけでなく、学校や家族会、当事者会などの民間団体と連携して、困難を抱える若者の自立や就労に向けた支援に取り組みます。 ・当事者会や家族会などの民間団体等の活動支援を強化します。 【119ページ】 アウトカムと指標 アウトカム 若者が社会参加している 指標 青少年相談センター、地域ユースプラザ、若者サポートステーションの支援による改善者数 直近の現状ち(令和5年度) 年 1,539人 目標ち(令和11年度) 累計 7,700人 アウトカム こども・若者の不安や悩みが軽減している 指標  よこはま子ども・若者相談室の利用者アンケートで「気持ちが軽くなった」と回答した割合 直近の現状ち(令和5年度) 68.4% 目標ち(令和11年度) 80% アウトカム ヤングケアラーを社会全体で見守り、支える環境づくりができている 指標  ヤングケアラー支援研修等の受講者数 直近の現状ち(令和5年度) 年 998人 目標ち(令和11年度) 累計 6,000人 主な事業・取組 青少年相談センター事業 ひきこもりや不登校など、若者が抱えている様々な問題について、電話相談や来所相談、家庭訪問、グループ活動などを通じ、社会参加に向けた本人及び家族への継続的な支援等を行います。新たに、不登校・ひきこもり経験等のある当事者をピアサポーターとして委任し、相談支援への協力、各種研修会での体験談発表等の取組を進め、支援の充実を図ります。また、若者支援に携わる関係機関及び地域団体を対象に研修を実施し、こども・若者が抱える困難や課題について地域支援者の理解を深めると共に、相談支援のスキルアップを図ります。 想定事業量 @電話相談及び個別支援件数 直近の現状ち 年 18,481件 令和11年度 累計 93,000件 想定事業量 A支援者向け研修受講者数 直近の現状ち 年 1,528人 令和11年度 累計 7,640人   地域ユースプラザ事業 青少年相談センター及び若者サポートステーションと連携し、ひきこもり等の様々な困難を抱えている若者に対し、総合相談、居場所の提供、社会体験・就労体験プログラムなどを通じて自立支援を行います。 想定事業量 新規利用者数 直近の現状ち 年 620人 令和11年度 累計 3,100人 【120ページ】 若者サポートステーション事業 若者サポートステーション」において、働くことに自信が持てない、仕事の選びかたが分からないなどの不安や悩みを抱えている若者とその保護者を対象とした個別相談、就労セミナー、職場体験プログラム等の支援を提供します。 想定事業量 就労訓練参加者数 直近の現状ち 年 85人 令和11年度 累計 430人 困難を抱える若者に対するSNS相談事業(よこはま子ども・若者相談室) 来所や電話相談につながりにくいこども・若者が気がるに相談できるよう、身近なツールであるSNSを活用した相談を実施します。友人関係や進学・就職、ひきこもり、ヤングケアラーに関することなど、様々な悩みごとに心理カウンセラー等の専門の相談員が対応し、必要に応じて青少年相談センターの支援につなげます。 想定事業量 相談対応件数 直近の現状ち 年 2,656件【9月から事業開始】 令和11年度 年 5,110件 ヤングケアラー支援事業 ヤングケアラーの様々な負担の軽減や本人やその家族を見守り・支える環境づくりを進めるため、ピアサポート等の悩み相談を行う支援団体や当事者同士で悩みや経験を共有し合うオンラインサロンを実施する団体に補助をすると共に、SNS相談を、よこはま子ども・若者相談室の相談メニューとして実施します。 また、ヤングケアラーを見守り、支える環境づくりを進めるため、広く市民に向けた広報・啓発や関係機関向けの研修を実施すると共に、庁内及び関係機関との支援体制を構築します。 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等がヤングケアラーに関する研修から得た知識、情報を基に、学校内で普及、啓発を図ると共に、教育相談に取り組みます。 想定事業量 ヤングケアラー支援団体数 直近の現状ち 2団体 令和11年度 9団体 こども・若者の意見を聴く取組の推進 青少年相談センター、地域ユースプラザ、SNS相談事業(よこはま子ども・若者相談室)の利用者に対して、それぞれアンケートを行い、こども・若者の意見を聴取します。いただいた意見を事業内容に反映させるなど、ニーズをより的確に踏まえ、支援の充実に取り組んでいきます。 【令和5年度実績】 アンケート実施数:年1回 (各事業においてそれぞれ実施) 【121ページ】 教育相談の充実 児童生徒及びその保護者に対し、学校や相談機関で適切な教育相談が行われ、児童生徒が抱える課題の早期発見、早期支援、再発防止が図れるような仕組みづくりを推進します。 また、各小ちゅう学校に心理の専門家であるスクールカウンセラーを配置することで、いじめ・不登校等の未然防止や早期発見に努めます。 2029(令和11)年度開設予定の教育センターにおいて、児童生徒・保護者の利便性の向上のための教育相談のワンストップ化を行います。 【令和5年度実績】 スクールカウンセラーの人数:59人   保護者教室の開催(基本施策5の再掲) 特別な支援が必要なこどもの保護者を対象として、こどもの特性を踏まえた家庭での関わりかたのヒントを伝える保護者教室を開催し、子育ての不安解消につなげます。 【令和5年度実績】 年間開催数:7回 不登校児童生徒支援事業 ちゅう学校の特別支援教室等を活用した校内ハートフル事業や学校外の居場所である教育支援センターの機能拡充、ICTやオンラインを活用した支援など、民間とも連携しながら一人ひとりの特性や状態に応じた重層的な支援を進め、不登校児童生徒の安心できる居場所と一人ひとりに合った学びの機会の確保を目指します。 また、保護者向け講演会や保護者同士の情報交換会を実施するなど、不登校児童生徒及び保護者を孤立させないよう、支援します。 不登校のこども等困難を抱えやすいこどもの居場所づくり 地域の主体的な取組への支援や既存施設の活用など、不登校のこども等困難を抱えやすいこどもの多様な居場所づくりを進めていきます。 【122ページ】   地域等と連携したいじめ等の防止 児童生徒を取り巻く環境や学校が抱える課題が複雑化・多様化している中、学校だけでなく、地域等と連携して、児童生徒の健やかな育ちを見守るべく、学校運営協議会や地域学校協働活動、放課後学び場、よこはまがくえん隊等において、研修の実施や新たな見守り体制構築の支援等により、地域ぐるみの体制を構築していきます。 こどもが抱える様々な課題を早期に発見し、必要な支援につないでいくため、小学校と放課後児童健全育成事業所等が必要な情報を共有し、連携して小学生の見守りを推進していきます。 こども家庭センターでは、個別の悩みや困りごとを抱えるこども自身が、相談・支援につながることができる環境を整えると共に、地域の中での見守りや、こどもたちの安全・安心を守る取組を推進します。 「横浜子ども会議」では、ちゅう学校ブロックの取組やいじめについての話し合いを中心に、保護者や地域と共に「社会総がかり」でいじめの未然防止の取組を進めます。 外国につながるこどもたちへの支援事業 学校の授業が分からなかったり、悩みを抱えたりする外国につながるこどもたちを支援する取組を国際交流ラウンジが中心となって行っていきます。学習支援教室や居場所づくりなど、外国につながるこどもたちへの支援の充実を図っていきます。 想定事業量 国際交流ラウンジが学習支援教室を はじめとする外国につながるこどもたちへの支援を行っている取組数 直近の現状ち 7件 令和11年度 20件 日本語指導が必要な児童生徒への支援の充実 国の方向性も踏まえ、日本語支援拠点施設による初期の集中的な支援体制の更なる充実を図っていくと共に、日本語講師、母語支援ボランティア、学校通訳ボランティア、外国語補助指導員などの支援員による支援体制の充実を図っていきます。また、日本語指導が必要な児童生徒が在籍校で活躍していくためには、教職員、担当教員による支援が不可欠であることを踏まえ、教職員、担当教員への支援、育成の更なる充実に取り組んでいきます。 【令和5年度実績】 日本語支援拠点施設入級者数(プレクラス参加人数):374人 研修受講教員数:1,804人   【123ページ】 寄り添い型生活支援事業 養育環境に課題があるなど、支援を必要とする家庭に育つ小・中学生等が、将来の自立に向けてたくましく生き抜く力を身に付けることができるよう、それぞれの状況に応じた適切な生活支援や学習支援等を実施します。 【令和5年度実績】 寄り添い型生活支援事業の実施か所数:21か所 寄り添い型学習支援事業 様々な事情から、生活困窮や養育困難などの課題を抱えている世帯のこどもを対象に、将来の自立のための高校進学に向けた学習支援を行います。学力の向上に加え、将来自立した生活を送れるようにするための様々な部分での成長を促します。また、進学後の中退防止の取組として、居場所や学び直しの場の提供、高校等への登校の継続への動機付け等を行います。 想定事業量 寄り添い型学習支援事業利用児童の高校進学率 直近の現状ち 98.4% 令和11年度 99%   放課後学び場事業 家庭での学習が困難などの状況があり、学習習慣が十分に身に付いていない小中学生に対して、放課後等に学習支援を実施し、こどもたちの学習習慣の確立と基礎学力の向上を図ることで、こどもたちの自己肯定感や将来の夢をはぐくんでいきます。 【令和5年度実績】  放課後学習支援の実施校数:小学校37校、ちゅう学校69校   経済的に困難を抱える世帯への就学援助等 経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対し、学用品費、通学用品費、学校給食費等を援助します。また、小ちゅう学校及び義務教育学校の個別支援学級に通学する人の経済的負担を軽減することを目的とした就学奨励費の支給や、高等学校への修学が経済的に困難で、学業優秀な生徒に対する給付型奨学金制度を実施します。 【令和5年度実績】  高校生向け給付型奨学金支給者数:年 2,000人 【124ページ】 自殺対策事業 第2期横浜市自殺対策計画(2024(令和6)年度〜2028(令和10)年度)では、「こども・若者の自殺対策の強化」を重点施策に位置付け、若年層の悩みの解決に向けた相談体制の充実や、こどものSOSや悩みを受け止める取組を推進しています。 学校や家庭、地域における、こどもの悩みを受け止める体制づくりを進めるために、悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげる、「ゲートキーパー」の養成を推進します。 また、様々な不安や悩みを抱える人を相談につなげるため、インターネットを活用した相談事業を実施します。 想定事業量 @ゲートキーパー研修等受講者数 直近の現状ち 累計 21,569人 令和10年度 累計 36,000人 想定事業量 Aインターネットを活用した相談事業(相談先表示クリック数) 直近の現状ち 133,887回 令和10年度 130,000回 【125ページ】 基本施策7 ひとり親家庭の自立支援/DV被害者や困難な問題を抱える女性への支援 現状と課題 (1)ひとり親家庭の生活状況 ・「国勢調査」(2020(令和2)年)では、本市における20歳未満のこどもがいるひとり親家庭(ほかの家族等との同居を含む。)は22,635世帯、そのうち、母子家庭が19,481世帯、父子家庭が3,154世帯となっています。 ・「横浜市ひとり親世帯アンケート調査」(2023(令和5)年度)によると、児童扶養手当や養育費なども含んだ年間世帯総収入の平均は、母子家庭で401万円、父子家庭で694万円となっています。 ・また、母子家庭の89.8%、父子家庭の93.0%が就労していますが、就労していると回答したかたのうち、母子家庭では非正規雇用での就労が4割近くを占め、就職してもパートや契約社員等の不安定な雇用条件で働いているため、正規雇用に比べ安定した収入を得ることが難しい状況にある家庭が一定の割合あると考えられます。さらに、母子家庭では収入や教育費、家賃など生活費に関する悩みが多く、父子家庭では「炊事・洗濯などの家事が十分にできない」ことや、「周りに相談する相手がいない」といった悩みが多い傾向にあります。 【126ページ】 ・「国民生活基礎調査」(2022(令和4)年)によると、ひとり親家庭の相対的貧困率(貧困線《等価可処分所得の中央値の半分》に満たない世帯員の割合)は44.5% と、依然高い水準にあります。 ・ひとり親家庭の親はひとりで就労、家事、育児を行うため、時間に追われる感覚をより抱きやすい状況にあります。日常生活において、追われる感覚の軽減を感じられる施策が必要です。 ・ひとり親家庭のこどもにとって、親との離死別は、こどもの生活を大きく変化させるものであり、精神面に与える影響や進学の悩みなど、こどもが成長していく過程で様々な課題が生じることがあります。また、親が時間的制約を抱えて就労することに起因する経済的困窮や進学の断念も課題です。 (2)ひとり親家庭への総合的な自立支援の必要性 ・ひとり親家庭のこどもが心身共に健やかに成長するためには、親が安定した仕事に就き、生計維持ができるなど、家庭の安定した生活と自立が望まれます。しかし、ひとり親家庭の背景として、DVや児童虐待、親またはこどもの疾病・障害などの複合的な課題を抱えている場合もあるため、 家庭の個別の事情に寄り添った相談支援や自立の支援が必要です。 ・民法改正を踏まえ、父母によるこどもの養育が互いの人格の尊重及び協力関係のもとで適切に進められるよう啓発・支援する必要があります。養育費について取り決めをしている世帯(「取り決めをしている」「子によって違う」)は49.3%となっており、離別親が、親の責務としてこどもの養育費を支払うこと、及びその取り決めを行うことの重要性について、啓発及び補助をさらに推進する必要があります。親子交流については、こどもの利益のため、こどもの立場に立って調整していく必要があります。 【127ページ】   ・ひとり親家庭は社会的に孤立しやすく、親がひとりで困難を抱えてしまう傾向にあると言われているため、当事者同士のつながりで悩みを共有し、不安を解消していくことができる、民間支援や地域のつながりなどの多面的なアプローチが重要です。しかし、当事者団体の存在があまり知られていないほか、父子家庭においては、第三者への相談や当事者同士で話すことへの心理的障壁を持ちやすい傾向があり、様々なアプローチを続ける必要があります。 【128ページ】 (3)DV被害者や困難な問題を抱える女性への支援 ・2023(令和5)年度のDV相談件数は4,527件でした。過去5年間を見ると,4,000から5,000の間で推移しています。 ・一方で、女性緊急一時保護件数は、2019(令和元)年度の211件を境に減少傾向が続いています。その理由として、通信制限や外出制限、仕事や学校の中断等があり、現状の女性緊急一時保護の仕組みが相談者のニーズとマッチしないことが考えられます。こうしたニーズにも応えながら、相談者の安全性が確保できる支援策が必要です。 ・こどもの面前でのDVは、こどもへの心理的虐待にあたります。DVが起きている家庭では、こどもに対する暴力が同時に行われている場合があります。直接の被害を受けていないこどもであっても、慢性的な暴力が存在している家庭で育ったこどもたちは、心理的なダメージを受け、正常な発達が阻害されると言われています。 ・2019(令和元)年6月に改正された児童虐待防止法では、児童虐待とDV対策との連携強化が規定されました。DV相談部門と児童相談所や区役所といった児童虐待部門の連携強化により、適切な支援へのつなぎが必要です。 ・また、DV被害者支援の一環として、DV加害者更生のための支援が求められています。 ・DV相談支援センターでは、若年層(20歳代以下)からの相談件数が少なく、2023(令和5)年度は全体の約4%でした。若年層が相談に繋がりやすい環境づくりや、若年層に向けた啓発・予防教育が求められています。 【129ページ】 ・これまで、困難な問題を抱える女性の支援は売春防止法を根拠としてきましたが、2024(令和6)年4月からは、新法「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」を根拠として支援に取り組みます。新法の趣旨を踏まえながら、DVも含めた困難な問題を抱える女性の支援を、包括的かつ切れ目なく行う必要があります。 【130ページ】 施策の目標・方向性 (1)ひとり親家庭の経済的・時間的な困難を軽減するための総合的な自立支援 ・ひとり親家庭が抱える複合的な課題や個別ニーズに対応するため、児童扶養手当等による「経済的支援」のほか、各家庭の親子それぞれの状況に応じて、問題解決に向けて寄り添いながら、「子育て・生活支援」、「就業支援」「養育費の確保」等が適切に行われるよう取り組みます。 ・多くのひとり親が、ひとりで就労、家事、育児を行わざるを得ない状況にあることを踏まえてSNS等を活用し、時間や場所にとらわれない相談支援を進めるほか、様々な課題に対して必要な支援につなげることができるよう、相談支援体制を強化していきます。 ・当事者同士の交流や仲間づくりを推進すると共に、支援機関・団体等が相互に連携し、ひとり親家庭が孤立せず地域の中で見守られながら、自立を目指していけるよう支援します。また、当事者同士のつながりによる孤立感の解消や、特に父子家庭が抱える困難に着目した、情報提供や交流の機会づくりを推進します。 ・施策の推進にあたってはひとり親特有の課題への対応だけでなく、生活を支える様々な子育て支援の充実も含め総合的な支援と共に、関係機関や支援者が相互に連携した支援を推進します。 (2)ひとり親家庭のこどもに対する学習支援などの直接的なサポート充実と意見表明機会の提供 ・親との離死別やDV・児童虐待等により受けるこどもの心理的影響に配慮しながら、こども自身が将来の自立に向けた力を身に付けられるよう、生活・学習の支援を行います。 ・養育費の確保支援、こどもの希望を尊重したうえでの親との親子交流支援など、こどもの視点に立った、こどもが未来へ希望を持てる支援を進めます。 ・こどもの年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されるよう、ひとり親のこどもの気持ちに寄り添い、意見を受け止める相談支援体制づくりを進めます。 (3)DV被害者や困難を抱える女性とそのこどもへの安全・安心の確保、自立支援 ・横浜市DV相談支援センターにおける相談支援、区福祉保健センターにおける女性が抱える様々な問題に対しての相談支援、一時保護を含めた自立支援を実施します。 ・女性に対する支援を行っている民間団体との協働による、生きづらさを抱える女性への継続的な支援を実施します。 ・女性緊急一時保護の受入先を確保すると共に、女性緊急一時保護中の安全確保と自立に向けた支援を実施します。 ・母子生活支援施設において、緊急に保護等の支援が必要なDV被害女性とその同伴児や、生活リスクを抱える母子に対し、一時的な保護と安定した生活に向けた相談・支援を実施します。また、養育に課題を抱えると思われる妊産婦を対象に、妊娠中からの保健指導等を含む支援を実施します。 ・女性緊急一時保護をためらう相談者に対して、DVや困難な状況の深刻化を防ぐため、短期間の一時的な居場所の提供と、気持ちの整理や今後の生活を考えるための相談支援を実施します。 【131ページ】 ・DV被害者等への相談支援及び自立支援において、関係機関や民間団体と連携すると共に、DV対応と児童虐待対応との連携強化を図ります。 ・若年層の女性に向けては、アウトリーチからの相談対応や、居場所の確保、公的機関や施設への「つなぎ」を含めたアプローチを実施することで、相談に繋がりやすい環境づくりを進めます。 (4)支援に関わる職員の資質向上、体制の強化及び啓発等 ・区役所や関係機関などで相談を受ける支援者に対し研修を実施し、適切な相談スキルの習得と向上を図ると共に、相談対応の充実を図ります。 ・DV被害の相談支援に関わる職員の専門的知識・技術の向上と体制の強化を図ります。 ・DV被害者を適切な相談支援につなげるため、効果的な広報・啓発を実施します。 ・DV被害者支援の一環として、「加害者更生プログラム」を行っている民間団体の活動を支援すると共に、連携した取組を進めます。 ・若年層を対象として、SNSを活用したデートDV(交際相手からの暴力)相談や理解促進のための講座等を実施します。 【132ページ】 アウトカムと指標 アウトカム ひとり親家庭が本市支援により就労に至っている 指標 ひとり親サポートよこはま等の支援により就労に至ったひとり親の数 直近の現状ち(令和5年度) 年 345人 目標ち(令和11年度) 累計 1,800人 アウトカム ひとり親家庭のこどもが進学や就職に向けて取り組んでいる 指標 思春期接続期支援事業の事後アンケートで「将来の夢や就職について目標がある」と回答したこどもの割合 直近の現状ち(令和5年度) 68.1% 目標ち(令和11年度) 70.0% アウトカム DV等被害者が、適切に相談支援に繋がっている 指標 DVに関する相談件数 直近の現状ち(令和5年度) 4,527件 目標ち(令和11年度) 5,000件 主な事業・取組 児童扶養手当 ひとり親家庭などの児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与することを目的に手当を支給します。 【令和5年度実績】  受給者数:15,566人 【133ページ】   ひとり親家庭自立支援給付きん事業 <自立支援教育訓練給付きん事業> 主体的な能力開発の取組を支援することで、ひとり親家庭の自立を促進するため、教育訓練の対象講座を受講する場合、費用の一部を支給します。 【令和5年度実績】  支給人数:70人 <高等職業訓練促進給付きん事業・高等職業訓練促進資金貸付事業> 看護師等の経済的自立に効果的な資格を取得するため養成機関で修業する場合に、4年を上限に修業期間中の生活の負担を軽減するため、生活費を支給します。また、高等職業訓練促進給付きん受給者に対する就学準備金等の貸付や、母子・父子自立支援プログラムの策定を受け、自立に向けて意欲的に取り組んでいる児童扶養手当受給者等に対し、住居の借上げに必要となる住宅支援資金の貸付を行います。 【令和5年度実績】 高等職業訓練促進給付きん等事業支給人数:262人 入学準備金等貸付人数:10人、住宅支援貸付人数:20人   <高等学校卒業程度認定試験合格支援事業> ひとり親家庭の親又はこどもの学び直しを支援することにより、より良い条件での就職や転職に向けた可能性を広げ、安定した雇用につなげていくため、高等学校卒業程度認定試験合格のための講座を受講する場合に、費用の一部を支給します。 【令和5年度実績】 支給人数:8人 母子家庭等就業・自立支援センター事業(ひとり親サポートよこはま) ひとり親家庭の総合的な窓口として、情報提供やひとり親家庭同士の交流、講習会、就労相談、弁護士等による専門相談、養育費セミナー、ひとり親の親講座等を関係機関と連携して実施し、自立を支援します。 日常生活支援事業(ヘルパー派遣) ひとり親家庭の親が、疾病、職業訓練、就職活動などの事由により、一時的に生活援助や子育て支援が必要な場合に、家庭生活支援員(ヘルパー)を派遣します。 【令和5年度実績】 支援家庭:延べ243家庭 【134ページ】 養育費確保支援事業 調停申立や公正証書の作成の費用等(収入印紙代や手数料等)及び養育費保証契約にかかる費用の補助を行います。 想定事業量 養育費確保にかかる補助件数 直近の現状ち 年 93件 令和11年度 年 120件 思春期・接続期支援事業 親子共に大きな生活の変化を迎える、中学に進学したこどもを養育するひとり親家庭に対し、学習の不安や教育費の確保等の悩みに対応するため、こどもへの学習支援と親への相談支援を実施します。 想定事業量 利用世帯数(こどもの学習支援) 直近の現状ち 年 96世帯 令和11年度 年 120世帯 母子生活支援施設 18歳未満のこどもを養育している母子家庭が、様々な事情から支援を必要としている場合に、安心して自立に向けた生活を営めるよう、こどもと一緒に入所できる母子生活支援施設を運営すると共に、環境の改善に取り組みます。また、母子生活支援施設利用者がたいしょ後においても安定した生活を送ることができるよう、自立支援担当職員を配置し、たいしょ後も世帯訪問及び電話相談等のフォロー支援を行います。 保育所等への優先的な入所 未就学児のいるひとり親世帯が安心して就労・求職活動等が行えるよう、保育所入所時の優先度をアップします。 母子父子寡婦福祉資金貸付 母子家庭、父子家庭及び寡婦の経済的自立を促し、こどもの福祉を増進するための各種の資金貸付を行います。 【令和5年度実績】 母子父子福祉資金貸付人数:242人、寡婦福祉資金貸付人数:5人 ひとり親家庭等医療費助成事業 ひとり親家庭等の養育者とその者に養育されているこどもについて、生活の安定と自立を支援し、福祉の推進を図ることを目的とし、自己負担分に相当する額を助成します。 【令和5年度実績】 対象者数:35,035人 【135ページ】 こどもの意見を聴く取組の推進 ひとり親家庭への施策推進にあたっては、こどもに対する学習支援でのアンケートの実施や、こどもの意見を受け止める相談支援体制づくりを進めるなど、ひとり親のこどもの気持ちに寄り添い、意見を受け止めながら、施策を進めていきます。 住宅確保の支援 <市営住宅の申込時の優遇> 子育て世帯等が安心して暮らせる住まいを確保できるよう、以下の取組を進めます。 ・入居者募集にあたり、母子・父子世帯、DV被害者世帯及び子育て世帯に対して、当選率を一般組の3倍とする倍率優遇をする。 ・入居者資格の審査にあたり、ちゅう学校卒業までのこどもがいる世帯について、収入基準の緩和をする。 ・DV被害者は、単身入居の年齢要件の緩和をする。 ・DV被害者世帯は、離婚が成立していなくても、配偶者と別世帯としての申込みを認める。 【令和5年度実績】 倍率優遇(母子・父子世帯:625件、DV被害者:8世帯、子育て世帯:140世帯) 年齢緩和(DV被害者:2世帯)   <住宅セーフティネット事業> 民間賃貸住宅の空き家等を活用した住宅確保要配慮者向け住宅(セーフティネット住宅)の登録制度、セーフティネット住宅への経済的支援及び居住支援等により、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への入居の円滑化に取り組み、子育て世帯等が安心して暮らせる住まいの確保につなげます。 【令和5年度実績】 登録住宅戸数(子育て者対象・累計)10,476戸 女性相談保護事業 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」及び「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」に基づき、区福祉保健センターにおいて女性の抱える様々な問題に対しての相談や緊急的な一時保護を含めた自立支援を、民間団体と連携しながら行います。また、一時保護をためらう相談者に対する安全確保や自立支援のための取組として、一時的な居場所の提供等の支援を民間団体への補助により実施します。さらに、女性を取巻く複雑・多様化する課題により適切に対応するため、相談員の専門性の向上・人材育成、体制強化に取り組みます。   【136ページ】   DV被害者支援 こども青少年局を統括・調整部署とし、区福祉保健センター、男女共同参画センターの3者が一体てきに「横浜市DV相談支援センター」の機能を果たし、DV被害者への相談・支援を行います。 DV被害者が、DVの行為を受けていることやDVが重大な人権侵害であるということに気付けるよう、理解・普及啓発を図ると共に、相談や公的支援に適切につながるよう、様々な広報媒体を活用し、相談窓口に関する必要な情報を周知します。併せて、DV被害者支援の一環として、加害者更生プログラムを実施している民間団体の活動を支援します。また、児童相談所や区役所等が行う児童虐待対応との連携強化を図ります。 想定事業量 DVに関する相談件数 直近の現状ち 年 4,527件 令和11年度 年 5,000件   女性緊急一時保護施設補助事業 本市における女性緊急一時保護の受入先(シェルター)の確保及び女性相談保護事業の安定を図るため、シェルターを運営する民間団体に対して運営費の補助を行い、DV被害者等が一時保護中の安全確保と適切な自立に向けた支援等が受けられるよう取り組みます。 【令和5年度実績】 補助団体数:4団体 母子生活支援施設緊急一時保護事業 DVからの避難や経済的困窮等から緊急の保護を要する母子を、母子生活支援施設を活用して一時的に入所させ、直面する身体・生命の危機から母子を保護すると共に、相談・支援を行い、母子の福祉の向上を図ります。 また、母子生活支援施設緊急一時保護の枠を活用して、出産後間もない乳児の養育に課題があると思われる妊産婦を一時的に入所させ、妊娠中から保健指導等を含む支援を行い、安定した生活基盤を整えます。 想定事業量 延べ利用世帯数 直近の現状ち 年 66世帯 令和11年度 年 92世帯 若年女性支援モデル事業 民間団体と協働し、SNS等のICTを活用したアウトリーチや繁華街などの巡回により、公的な支援に繋がりにくいとされている若年女性に対して、声掛けや相談支援を行います。また、相談窓口における電話、メール、SNS等のICTを活用した相談や面談の実施、一時的に安心・安全な居場所の支援が必要と判断した場合の居場所確保等を通じて、若年女性の自立を支援します。 【137ページ】   デートDV防止事業 デートDVは、重大なストーカー事件や、将来のDV・児童虐待につながる可能性があるため、生徒・教員向けの「予防教育」、チャット「相談」窓口、「被害・加害者回復プログラム」、「広報・啓発」を総合的に推進し、予防から回復まで切れ目ない支援を実施します。 【令和5年度実績】 啓発講座実施回数:24回 啓発講座延べ受講人数:2,635人 【138ページ】 基本施策8 児童虐待防止対策と社会的養育の推進 現状と課題 (1)児童虐待対応 ・本市では、「横浜市子供を虐待から守る条例(2014(平成26)年制定、2021(令和3)年改正)」に保護者、市民、行政、関係機関の責務を明記し、条例に基づきこどもの命を守るための施策を総合的に推進しています。 ・児童虐待相談対応件数は年々増加し、2023(令和5)年度は14,035件となっています。2018(平成30)年度以降、要保護児童(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適切であると認められる児童《児童福祉法第6条の3第8項》で、要保護児童対策地域協議会の対象児童として区や児童相談所で継続支援を行っている。) の児童虐待による死亡事例は発生していませんが、心中や出産直後の遺棄による死亡事例など、要保護児童としての関わりがない死亡事例や、重篤事例は依然発生しています。 ・児童虐待の早期発見・早期対応、発生時の迅速・的確な対応、継続支援等を適切に行う体制の充実と、専門性の高い人材の育成と確保が必要です。 ・子ども家庭総合支援拠点機能を2021・2022(令和3・4)年度の2か年で全区整備し、児童虐待対応の専任化や心理職などの専門職の配置により、初期対応の迅速化や継続支援の充実など、相談対応機能が強化されています。地域との連携や協働をより一層推進させると共に、市民に向けた啓発や関係機関ネットワークの更なる強化が必要です。 【139ページ】 ・2024(令和6)年4月1日の改正児童福祉法の施行により、市町村の努力義務としてすべての妊産婦、子育て世帯、こどもへ一体てきに相談支援を行う機能を有する機関(こども家庭センター)の設置が規定され、すべての妊産婦・子育て家庭・こどもの包括的な相談支援等を行うこども家庭センターの設置に努めることが定められました。 ・本市においては、各区のこども家庭支援課にこども家庭センター機能を整備します。こども家庭センター機能の全区設置へ向けて妊産婦、こども、その家庭からの相談を受け止め、一体てきな支援を行う体制を構築していきます。 ・児童虐待防止対策の強化に向けた児童福祉法等の改正の内容や国の対策、増加する児童虐待相談対応件数、本市での死亡・重篤事例等の発生状況を踏まえ、児童虐待防止対策の更なる強化が必要です。 ・こどもの健康や発達、学業などを脅かす課題を抱えた家族に対して、できるだけ早い段階でこどもと家族のパートナーとなって支援を行い、長期の親子分離を回避するアーリーヘルプ(予防と法的介入の隙間を埋める早期支援)が重要です。 ・弱い立場に置かれたこどもは、性的な虐待にあってもそれを被害であると認識できないことや、認識できても現状では声を上げにくく適切な支援を受けることが難しい場合があるため、こども自身に性被害を理解してもらうことや、相談しやすい窓口の周知、支援体制の強化が必要です。 (2)児童虐待対応の支援策と児童相談所の機能強化 ・児童虐待相談対応件数が増加する中、迅速・的確で組織的な対応が行えるよう、児童相談所の体制強化や、区役所の機能の強化、職員の専門性の向上が必要です。 ・全国の児童虐待死亡事例のうち、0さい児の死亡人数は約5割を占めています。予期しない妊娠や特定妊婦の支援強化など、課題解決に向けた取組が必要です。 ・2024(令和6)年4月の改正児童福祉法の施行により、一時保護に際して、2025(令和7)年度からは司法審査が導入される予定です。 ・2023(令和5)年4月の改正児童福祉法の施行により、児童相談所の管轄区域内の人口を概ね50万人以内とする方針が示されています。 (3)社会的養育の推進 ・社会的養育とは、こどもの福祉のために、こどもへの直接の支援はもとより、社会がこどもの養育に対して保護者(家庭)と共に責任を持ち、家庭を支援することです。(新しい社会的養育ビジョン) ・里親等への委託すうは増加傾向ですが、更なる家庭養育の推進に向け、里親委託の促進や委託後の支援の充実のための里親支援センターの設立、ファミリーホームの増設など、関係機関が連携し、支援する体制の充実が必要となっています。 【140ページ】 ・横浜型児童家庭支援センターでは区役所や地域の関係機関と連携し、養育支援が必要な家庭に対する専門的な相談を行うと共に、子育て短期支援事業による一時的な預かりなど、きめ細やかな支援を行う必要があります。 ・施設においても、専門的なケアを必要とするこどもや中高年齢児のための施設の多機能化・高機能化や、施設職員等の専門性の向上が必要です。 ・児童養護施設等のたいしょ者に、就労や進学への支援、生活相談等、安定した生活を送るための計画的な支援の提供が必要です。 (4)こどもの意見表明機会の確保と権利擁護の取組 ・児童福祉施設や里親への措置を検討する際や一時保護開始時等にこどもの意見を聴取する機会を確保していく必要があります。また、施設入所・里親等への委託など、社会的養護の対象となっているこどもの意見表明を支援する取組が必要です。 ・児童相談所では、一時保護や施設入所措置、里親委託等を実施する際、こども自身の意見を丁寧に聴取したうえで、方針決定を行う必要があります。このため、絵や写真入りのスライド・動画を用いて丁寧に説明し、こどもが理解できたことを確認するなどの取組を行っています。 ・一時保護しょにおいては、こどもの意見表明の機会を確保するため、各一時保護しょに月1回、弁護士がアドボケイトとして訪問しています。また、こどもの権利擁護の視点を踏まえ、一時保護しょの運営に助言をいただき、必要な改善を図っています。 ・一時保護しょの平均入所日数は長期化傾向にあり、保護期間の短縮化が必要となっていますが、その一方で、個々の事情により長期化せざるを得ない場合もあり、こどもの権利擁護のため、一時保護しょの環境改善や学習支援が必要です。 【141ページ】 ・2024(令和6)年4月の改正児童福祉法の施行により、一時保護しょの新たな設備・運営基準が定められ、定員超過への対応や一時保護の際のこどもの権利擁護、個別的なケアを更に推進していく必要があります。より過ごしやすい生活環境に向けた改善やデジタル教材を活用した学習の推進、一時保護しょからの小・ちゅう学校在籍校への通学支援など、こどもの生活や学習に係る権利擁護の取組が求められています。 ・虐待を受け弱い立場にあるこどもは、これまでの経験から自ら声を上げにくく、児童相談所や区をはじめこどもに関わる機関は、より丁寧にこどもの声に耳を傾け、こどもが自己の意見を表明する機会を多く設ける必要があります。 【142ページ】 施策の目標・方向性 (1)児童虐待対策の総合的な推進 ・「横浜市子供を虐待から守る条例」並びに児童虐待の未然防止から発生時における対応、再発防止及び児童の自立に向けた支援に至るまでの対応をまとめた「横浜市の児童虐待に対する8つの対策」をもとに、支援策の充実、組織的対応の強化、人材育成、関係機関相互の連携強化、広報・啓発等、総合的な児童虐待防止対策を更に推進します。 ・「こども家庭センター」機能を18区のこども家庭支援課に段階的に設置し、すべての妊産婦、子育て世帯、こどもへの包括的な相談支援を強化し、こどもや子育て当事者のニーズに合った支援計画(サポートプラン)の作成や地域における子育て支援の基盤づくりを行います。 ・児童虐待防止や体罰によらない子育て、こどもの最善の利益についての市民意識の醸成や啓発活動を実施します。 (2)児童虐待対応の支援策と児童相談所の機能強化 ・予期しない妊娠や子育ての不安、こども本人からの相談の対応など、児童虐待の未然防止や早期発見・早期対応に取り組むと共に、親子関係の再構築や養育改善のための支援の充実を図り、児童福祉法等の改正を踏まえた児童虐待の再発防止の取組を検討・推進します。 ・児童相談所及び区役所と関係機関との連携の更なる推進を図り、要保護児童対策地域協議会のネットワークの更なる強化に取り組みます。 ・児童相談所の体制強化に向け、児童福祉司や児童心理司等の人材の確保・育成を進めます。 ・アーリーヘルプの実践として、保育所や学校などのこどもにとって身近な機関に対し、児童相談所と区役所による助言等の支援機能強化を進めていきます。 ・児童相談所職員がこどもや保護者と向きあう時間をさらに確保するために、DXをさらに進めていきます。 ・一時保護に際して、2025(令和7)年度からは司法審査が導入される予定となっており、引き続き法的対応力を強化します。 ・児童相談所の管轄区域については、2026(令和8)年度の東部児童相談所の新設による見直しと共に、今後の社会情勢や人口動態を踏まえながら検討を進めていきます。 ・一時保護施設の設備・運営基準に関する条例を2024(令和6)年に制定し、入所している児童一人ひとりの権利を尊重した運営や施設の環境改善など、基準を踏まえた具体的な取組を進めていきます。 【143ページ】 (3)社会的養育の推進 ・こどもの家庭養育優先の原則が明記された児童福祉法及び2017(平成29)年の国の「新しい社会的養育ビジョン」を踏まえ、本市の社会的養育の更なる推進に取り組みます。国から策定を求められた都道府県社会的養育推進計画について、本市では「横浜市の社会的養育推進の基本的な方針(令和2年度から11年度)」として取り組んでいますが、国からの通知を受けて2024(令和6)年度に見直しをおこなった同計画後期分(令和7年度から11年度)の数値目標等を踏まえ、社会的養育を推進していきます。 ・本市における里親登録者数は増加傾向にあるものの、まだ不足しています。引き続き児童相談所、こどもの権利擁護課、里親フォスタリング機関が連携し、里親登録者数の確保を進めていくと共に、里親支援センターの設置及びファミリーホームの増設を進めていきます。 ・里親委託の推進に伴い、児童養護施設等においては専門的なケアを必要とする児童や中高年齢児のための施設の多機能化や高機能化を進めていきます。 ・各区の横浜型児童家庭支援センターでは、虐待を未然に防止し重篤化に至らないよう、区役所や地域の関係機関と連携し、養育支援が必要な家庭に対する専門的な相談を行うと共に、こどもの短期間の預かりや一時的な預かり等きめ細かな支援を行います。 ・児童養護施設等のたいしょ者への就労や進学の支援、生活相談など、安定した生活を送るための継続した支援体制を構築します。施設等たいしょ者へのヒアリング結果、及び、社会的養護経験者の支援ニーズ等を詳細に把握するための実態調査の結果を踏まえ、施設たいしょ後に必要な支援を充実させていきます。 (4)こどもの意見表明機会の確保と権利擁護の取組の推進 ・児童相談所は、一時保護や施設入所、里親委託等を実施する際に行うこどもの意見聴取について、こどもの意見を反映しやすくするために、引き続き、絵や写真入りのスライド・動画を用いた説明など年齢や発達に応じた相応の配慮を行います。 ・一時保護しょでは、アドボケイトによる訪問の取組について、さらに第三者性を高めるなどの改善を行っていきます。 ・一時保護しょの設備・運営基準の条例化に伴い、引き続き、生活環境の改善や在籍校への通学支援などの取組の充実を図り、こどもの権利擁護や個別的なケアを推進します。 ・児童相談所は、こどもの意見を適切に聴取する機会を確保しながら、複雑化・深刻化する児童虐待等の相談・支援に適切に対応できる専門性の高い職員の確保と育成を行います。また、弁護士によるこどもの人権に関する研修会を実施し、こどもの人権を深く理解し擁護できる職員を育成します。区役所においても、こども本人からの相談に適切に対応できるよう、研修等を通して人材育成を行うと共に、こどもが意見表明しやすい環境の整備に努めます。 ・里親委託や児童福祉施設入所中のこどもに対し、こどもの意見表明の機会を確保し、こどもにとってより適切な養育環境を目指すため、こどもの意見表明支援事業を実施します。また、事業実施のための意見表明支援員を育成していきます。 【144ページ】 アウトカムと指標 アウトカム こどもの安心安全が保障されている社会の実現 (虐待死の根絶) 指標 児童虐待による死亡者数 直近の現状ち(令和5年度) 2人 目標ち(令和11年度) 0にん アウトカム こどもと保護者の心理・社会的孤立の解消 指標 @こども家庭センター 設置数 直近の現状ち(令和5年度) 3か所【令和6年度】 目標ち(令和11年度) 18か所 指標 A合同ケース会議での協議件数(妊産婦、こども、子育て家庭に対する一体てき支援の実施数) 直近の現状ち(令和5年度) なし 目標ち(令和11年度) 30,000件 アウトカム こどもの最善の利益を図るための家庭養育の優先 指標 @里親委託率 直近の現状ち(令和5年度) 20.7% 目標ち(令和11年度) 36.3% 指標 A里親登録者数 直近の現状ち(令和5年度) 277組 目標ち(令和11年度) 324組 指標 Bファミリーホーム設置数 直近の現状ち(令和5年度) 8か所 目標ち(令和11年度) 10か所   主な事業・取組 区の要保護児童対策地域協議会の機能強化 地域における支援体制の維持・向上を図るため、関係機関向けの研修実施などのネットワークの充実を図ります。 また、児童虐待の重篤化防止や早期対応のために、区や児童相談所が継続支援中の要保護児童について、「個別ケース検討会議」を開催し、関係機関と共に支援方針を検討します。 想定事業量 個別ケース検討会議 直近の現状ち 年 1,942件 令和11年度 年 2,035件   区役所における人材育成 要保護児童対策地域協議会の調整機関機能の向上を図るため、区の調整担当者に対し、法定の担当者研修を実施します。また、要保護児童対策地域協議会の調整機関としての役割を適切に果たし、虐待対応力の向上を図ることを目的に児童福祉の専門家を派遣するスーパーバイザー派遣事業を行います。さらに、区の児童虐待対応に関わる職員向けの専門家による研修等を実施し、こどもの権利擁護の推進を図ると共に児童虐待対応における専門性強化に取り組みます。 想定事業量 調整担当者研修受講者 直近の現状ち 累計 126人 令和11年度 累計 240人   【145ページ】   妊娠・出産相談支援事業(基本施策1の再掲) 予期せぬ妊娠など妊娠・出産の不安や悩みを抱えた人が、電話やメール、SNSで気がるに相談できる「にんしんSOSヨコハマ」を運営し、妊娠早期からの相談支援を充実させると共に、安全な妊娠・出産等への支援につなげます。 想定事業量 にんしんSOSヨコハマ相談件数 直近の現状ち 年 583件 令和11年度 年 640件   こども家庭センター機能の設置(基本施策2の再掲) 改正児童福祉法の施行に伴い、「こども家庭センター」機能を区こども家庭支援課に設置し、すべての妊産婦、子育て世帯、こどもへの包括的な相談支援を強化し、こどもや子育て当事者のニーズに合った支援計画(サポートプラン)の作成や、地域における子育て支援の基盤づくりを行います。 想定事業量 実施か所数 直近の現状ち【令和6年度】 3か所 令和11年度 18か所 学校との連携強化 要保護児童対策地域協議会の枠組みを活用し、児童虐待の防止、早期発見、早期対応に向けて、学校と区役所・児童相談所は、密な情報連携を推進します。 児童生徒を取り巻く課題への対応において、区役所等はスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーをはじめとする学校との連携を強化します。   医療機関との連携強化 横浜市子育てSOS連絡会(要保護児童対策地域協議会代表者会議)及び各区児童虐待防止連絡会(要保護児童対策地域協議会実務者会議)への医師・産科医師の参加や、横浜市児童虐待防止医療ネットワーク(YMN)会議の開催を通じ、医療機関と児童相談所や区こども家庭支援課との連携強化の充実を図ります。 児童虐待防止の広報・啓発 こどもの最善の利益が考慮され、体罰によらない子育ての理解が広がり、子育て世帯を温かく見守り社会全体で子育てを行う意識が醸成されるよう、広報啓発の取組を推進します。  「横浜市子供を虐待から守る条例」に基づき、11月のオレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン、及び毎月5日の子供虐待防止推進の日を中心に、関係機関・団体、商店街、交通機関等と連携した広報・啓発事業を身近な地域でさらに進めます。 【146ページ】 養育支援家庭訪問事業 児童虐待等の問題を抱え、児童相談所が継続支援を行っている養育者に対し、養育者の不安の傾聴、育児相談・支援、家事援助、養育状況の確認等のため、養育支援家庭訪問員及び養育支援ヘルパーを派遣し、虐待の再発防止等を図ります。 想定事業量 @家庭訪問回数 直近の現状ち 年 3,725回 令和11年度 年 5,490回 想定事業量 Aヘルパー派遣回数 直近の現状ち 年 8,575回 令和11年度 年 9,504回   親子関係形成支援事業 児童との関わりかたや子育てに悩み・不安を抱えた保護者が、親子の関係性や発達に応じた児童との関わり方等の知識や方法を身に付けるため、ペアレント・トレーニング等を実施すると共に、同じ悩みや不安を抱える保護者同士が相互に悩みや不安を相談・共有し、情報の交換ができる場を設けることで、健全な親子関係の形成に向けた支援を行います。 想定事業量 参加者実人数 直近の現状ち なし 令和11年度 年 300人 児童相談所等の相談・支援策の充実 こどもの権利擁護のため、こどもの意見を適切に聴取する機会を確保しながら、複雑化・深刻化する児童虐待等の相談・支援に適切に対応できる専門性の高い職員を確保・育成します。また今後、実施される一時保護の実施の際の司法審査に対応するため、より法的対応力の強化を図り、児童虐待の重篤化防止のため、アーリーヘルプに取り組んでいきます。 2024(令和6)年4月の改正児童福祉法の施行に伴い、一時保護しょの新たな設備・運営基準が定められ、引き続き定員超過改善のための取組や学習支援の取組を進めます。 また、児童相談所の管轄区域の見直しや環境改善などを図るため、新たな児童相談所の整備の検討を行います。   一貫した社会的養護体制の充実 様々な理由により家庭で暮らすことのできないこどもが、落ち着いた環境の中で安定した生活を送ることができるよう、里親家庭や施設等の養育環境の充実及び支援体制の強化に取り組みます。 より専門的なケアを必要とするこどもの受入れや、入所等児童の家庭復帰及びたいしょ後の自立を支援していくため、養育者の専門性の向上を図ります。 また、施設等をたいしょし、進学・就職するこどもが社会的にも経済的にも自立できるよう、施設等や関係機関が連携し、入所中からたいしょ後まで継続した支援体制を構築します。   【147ページ】 里親等委託の推進 様々な理由により家庭で暮らすことができない児童が、里親等の家庭で生活を送ることができるよう、里親・ファミリーホームの担い手の確保及び育成を行い、里親等への委託を進めます。里親や養子縁組等の家庭養育をより一層推進するため、里親制度が広く市民に認知されるための広報・啓発を実施します。 想定事業量 @里親制度説明会の参加人数 直近の現状ち 年 154人 令和11年度 年 190人 想定事業量 Aファミリーホームの設置か所数 直近の現状ち 8か所 令和11年度 10か所 子育て短期支援事業 児童を養育する家庭において、保護者の疾病や子育ての疲れなどの理由により、児童の養育が一時的に困難になった場合に、横浜型児童家庭支援センター等で、宿泊を伴う「ショートステイ」や夕方から夜間にかけて預かりを行う「トワイライトステイ」などの短期的な預かりを行うことで、こどもや家庭への在宅支援の充実を図ります。 想定事業量 @ショートステイ利用者数 直近の現状ち 年 646人 令和11年度 年 845人 想定事業量 Aトワイライトステイの利用者数 直近の現状ち 年 4,832人 令和11年度 年 5,738人   こどもの意見を聴く取組の推進 社会的養護かにおける児童の意見が、年齢及び発達の程度に応じて尊重されるよう、こどもの意見表明支援事業を実施し、「こどもが意見を表明する機会」を確保することで、こどもの心身の健やかな成長と自立を図ります。 【令和6年度新規】   【148ページ】 施策分野3 社会全体でのこども・子育て支援 基本施策9 社会全体でこども・若者を大切にする地域づくりの推進 現状と課題 (1)仕事と家庭生活の両立を取り巻く状況 ・保育所等での受入枠確保や誰もが働きやすい職場づくりに関する企業の取組等により、共働き世帯が増加し、また、男性の長時間労働は改善の傾向が見られます。男性の家事・育児等に充てる時間は増加傾向にあるものの、女性の家事・育児等に充てる時間は、男性を大きく上回っており、家庭生活の負担がいまだ女性に偏っている現状があります。 ・男性が育児休業を取得することに対する市民意識は肯定的な考えかたが高くなっており、男性の育児休業取得率は、近年で上昇し、2023(令和5)年度は40.6%となっています。一方で、取得期間は1か月未満が65.9%を占めています。 【149ページ】 ・「ニーズ調査」(未就学児保護者)によると、育児休業を取得しなかった男性について、その理由として、「仕事が忙しかった」「職場に育児休業を取りにくい雰囲気があった」などが挙げられています。近年の深刻な労働力不足なども背景に、制度はあっても利用しづらい職場環境やワーク・ライフ・バランスの実践に取り組むことが難しい職場が存在していることが伺えます。 ・晩婚化・晩産化などを背景として、育児・介護(ダブルケア)と仕事を同時期に担う人が増えていることも想定され、複数のケアと仕事を両立できる環境づくりの必要性も高まっています。 ・夫婦が相互に協力しながら子育てをすることやすべての子育て家庭の仕事と家庭生活の両立を職場が応援すると共に、子育て家庭の多様な現状や悩みを理解し、支援する地域社会を作っていく必要があります。 (2)こどもや子育てをめぐる社会的な環境 ・「ニーズ調査」(未就学児保護者、小学生保護者)によると、「子育てをしていて、地域社会から見守られている、支えられている」と感じている人(「そう感じる」「どちらかといえばそう感じる」の合計)は、未就学児の保護者で32.4%、小学生の保護者で39.2%と、半数に満たないのが現状です。また、市民意見交換会では、「こどもが騒ぐと冷たい視線を感じる」「こどもが大事にされていることを実感できる世の中になってほしい」との声が寄せられています。 【150ページ】 ・安心して子育てをしていくためには、妊産婦や乳幼児を連れた家庭への配慮など、周囲からの協力が自然と行われることが重要であり、子育て家庭が置かれている環境や負担感等に関する理解の促進など、様々な取組を通じてこどもや子育て家庭を社会全体で支える気運を醸成していく必要があります。 ・こどもや子育て世帯・妊娠中のかたの目線で安全・安心・快適に生活を送ることができる環境の整備や、インクルーシブな居場所の更なる充実が求められています。 ・ジェンダーに関わる無意識の思い込みにとらわれることなく、こども一人ひとりの個性や思いを尊重しながら、こどもの育ちを見守る環境づくりが必要です。 (3)こども・若者の意見表明の機会の確保と施策反映の必要性 ・2023(令和5)年4月に施行されたこども基本法では、こどもの成長に対する支援にとどまらず、こどもが関わる幅広い分野において、こどもの視点に立った施策の推進が求められています。 ・こども大綱では、すべてのこども・若者が、自らの意見を持つための様々な支援を受けることが でき、その意見を表明し、社会に参画できることを目指すとされています。 ・2024(令和6)年6月に制定された横浜市こども・子育て基本条例では、こども基本法の精神にのっとり、市がこども・子育てに関する施策を推進するにあたっては、こどもが、社会を構成する一員として、その年齢及び発達の程度に応じて、意見を表明する機会を確保し、その意見を施策に反映させるよう努めることとされました。 ・こどもの意見表明の機会を確保するためには、市の施策や取組について、こどもに対する分かりやすい情報提供が必要です。また、こども・若者の意見を真剣に受け止め、聴いた意見がどのように扱われたのかをフィードバックするなど、自分の意見が社会にどのような影響を与えたかを知ることで、社会参画への意識の高まりや次の意見表明にもつながっていくため、意見の施策反映のプロセスを示すことも重要です。 ・こどもの意見聴取や施策への反映は、対象となるこどもや施策の内容に応じて、適切な手法やタイミングを工夫・選択すると共に、継続的に取り組むことが必要です。 ・疾病や障害のあるこどもや社会的養護かのこどもなど、意見を聞かれにくい状況にあるこども・若者の意見表明に対し、きめ細かなサポートを行うことが必要です。 【151ページ】 施策の目標・方向性 (1)多様で柔軟な働きかたと共育ての推進 ・子育て期における仕事と家事・育児等の調和が実現され、ライフステージが変化していく中でも、いきいきと活躍し、豊かな生活を送ることができるよう、企業に対する支援や認定等を通じて、多様で柔軟な働きかたの推進など、誰もが働きやすい職場環境づくりに向けた取組を促進します。 ・男性の家事・育児等への参画を促し、一人ひとりがワーク・ライフ・バランスを意識し、男女が共に主体的に子育てを楽しみ、こどもの成長に関わっていくことができる社会の実現に向けた啓発や取組を、働きかたの多様化なども考慮して進めます。 (2)こどもを大切にする社会的な気運の醸成と安全・安心な地域づくり ・こどもや子育てにやさしい「こどもまんなか」社会の実現に向けて、こどもや子育て中のかたがたが気兼ねなく制度やサービスを利用できるように、地域社会、企業など様々な場で、こどもや子育て中のかたがたを応援する取組が広がるよう、市として各施策・事業を展開することや社会的な気運醸成の取組を進めます。 ・本市の持つ地域資源や図書館等の公共施設を効果的に活用し、多様な知や人・文化との出会いや体験を通して、こどもの豊かな創造性や感性を育みながら、健やかな成長の原点となる遊びや体験活動を提供します。 ・こどもやその家族が生活するための基盤として、子育て家庭に配慮した居住空間の認定や祖父母との世代間での支え合いによる子育てしやすい環境づくり、交通機関等のバリアフリー化、誰もが快適に利用できる公園整備など、安全・安心な環境の中で、親子が楽しみながら子育てができるまちづくりを推進していきます。 ・こどもが巻き込まれる事故を防ぐため、日常生活や身の回りの環境に潜む危険に気づくきっかけとなるよう、こどもの事故予防に関する啓発に取り組みます。また、児童生徒の通学路等での見守りや交通安全教室など、こどもを事件や事故から守るための取組を推進します。 (3)こどもの意見を施策・事業に生かす取組の推進 ・より良い施策・事業の推進のため、施策・事業の目的や内容、意見を聴くこどもの状況などを考慮しつつ、様々な手法を組み合わせながら、こどもの声を聴く機会を確保していきます。また、こどもが意見を表明しやすい環境整備と気運の醸成に取り組みます。 ・こどもの意見表明の機会を適切に確保する前提として、市の取組について、こどもの視点に立った、分かりやすい情報提供に努めます。 ・第3期計画期間を通じて、こどもの意見表明の機会の確保や施策への反映方法について、先進事例に関する情報収集と実践を通じた課題の把握や改善の取組を継続して進めます。 ・こどもと直接関わることのできる基礎自治体として、意見を聞かれにくい立場にあるこども・若者を含め、すべてのこども・若者の意見表明の機会をより適切に確保していくことや施策へ反映していくことができるよう、継続的に検討を進めます。 【152ページ】 アウトカムと指標 アウトカム 男女共に仕事と子育てを両立できる環境が整備されている 指標 市内事業所における男性の育児休業取得率 直近の現状ち(令和5年度) 40.6% 目標ち(令和11年度) 40.6%以上 (関連計画である横浜市男女共同参画行動計画と連動するため、2026(令和8)年度開始予定の次期横浜市男女共同参画行動計画の指標との整合を図り、本計画の目標ちとして改めて設定する。) アウトカム こどもや子育てにやさしい地域づくりが進んでいる 指標 子育て環境が整っていることを理由に、横浜に住み続けたいと考える子育て世帯等の割合 直近の現状ち(令和5年度) 15.2% 目標ち(令和11年度) 20% 主な事業・取組 共に子育てをするための家事・育児支援 男女が共に主体的にワーク・ライフ・バランスを図りながら子育てを楽しみ、暮らすことができる社会の実現に向け、身近な地域での父親育児支援講座を実施します。併せて、ウェブサイトや広報物等で、男性の家事・育児支援に関する情報提供と市民への啓発を行います。 想定事業量 地域における父親育児支援講座の参加者数 直近の現状ち 965人/年 令和11年度 累計 5,500人   男性の家事・育児への参画推進 性別役割分担に関する意識改革を進め、男性の家事・育児への参画を推進するため、夫婦やパートナー同士で家事・育児のありかたについて話し合うきっかけづくりや、基本的な家事スキルを学ぶ講座等を実施します。 【令和5年度実績】  講座開催回数:2回   誰もが働きやすい職場環境づくりの推進 女性の活躍やワーク・ライフ・バランスを推進するため、誰もが働きやすい職場環境づくりを積極的に進める市内企業等を「よこはまグッドバランス企業」として認定し、認定企業の取組を市民や市内企業に対し広報・PRします。 また、企業に対し、ワーク・ライフ・バランスの考えかた、女性活躍推進の重要性、具体的な方策等について情報提供するためのセミナーを開催します。 【令和5年度実績】 よこはまグッドバランス企業 認定企業数:233社(令和6年4月1日時点) セミナー開催回数:6回 【153ページ】   企業を対象としたセミナー等の実施 中小企業等の人材確保・定着、生産性向上に向けて、多様で柔軟な働きかたを推進し、様々な人が働きやすい職場環境の整備を支援するため、市内中小企業を対象とした普及・啓発セミナー等を実施します。 【令和5年度実績】 セミナー開催(WEB・会場):2回   子育て応援アプリ「パマトコ」(基本施策2の再掲) 「子育て応援アプリ『パマトコ』」を通じて、子育てに関する手続きのオンライン化を図ると共に、子育てに必要な情報を集約し、保護者・こども一人ひとりに合わせて提供します。 想定事業量 対象となるこどもの年齢 直近の現状ち 未就学児まで【令和6年度】 令和11年度 中学生まで   子育て応援アプリ「パマトコ」家事負担軽減のためのコンテンツ作成(よこはま楽家事応援団) 子育て応援アプリ「パマトコ」のコンテンツの一つとして、ネットスーパーや時短家電などの情報を集約・発信し、利用を促進することで、子育て家庭の家事負担軽減を図り、時間的・心理的なゆとり創出につなげていきます。 祖父母世代に向けた孫育て支援 市民活動や地域貢献として子育て支援に関わりを持つきっかけをつくり、地域の中でこどもを育てる気運を高めること等を目的とした広報物を作成し、啓発を行います。 【令和5年度実績】 孫育てに関する啓発リーフレット配布:約700部 結婚を希望する人や子の結婚を希望する保護者向けの啓発・情報提供 結婚・妊娠・出産・子育ての「切れ目のない支援」のための環境づくりに取り組むため、結婚を希望する独身・未婚者等に向け、結婚や結婚後の生活、自身の将来展望、ライフプランについて考える機会を提供します。 【令和5年度実績】 結婚応援セミナー実施回数:1回   【154ページ】 次世代重点分野立地促進助成事業 「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち」の実現や脱炭素社会の推進に向け、子育て、脱炭素、モビリティ分野の次世代を担う重点分野の企業の市内進出等を助成金により支援し、横浜経済の持続的成長に資する企業の集積を図ります。 【令和5年度実績】 子育て分野立地件数:1件   福祉のまちづくり推進事業 「横浜に関わるすべての人がお互いを尊重し、助け合う、人の優しさにあふれたまちづくり」を実現するため、ベビーカーでの移動など子育て家庭などにも配慮した環境の整備や、様々な世代で思いやりの気持ちを育む福祉教育などを通じて、福祉のまちづくりを推進します。 想定事業量 鉄道駅舎へのエレベーター等の設置による段差解消駅数 直近の現状ち 累計 154駅 令和11年度 累計 155駅 障害者等用駐車区画利用証制度(パーキング・パーミット制度) 車いす使用者や妊産婦等、移動に配慮が必要な人が、幅の広い駐車区画や優先駐車区画を利用しやすくなるよう、障害者等用駐車区画利用証を交付する制度を開始しました。ウェブサイトや広報物等により制度の浸透を図り、当該駐車区画の適正利用を推進します。 【令和6年度新規】   地域の総合的な移動サービス検討 子育て世代をはじめ誰もが移動しやすい環境を整えていくため、2025(令和7)年度までに新制度の運用を開始し、バスネットワークの維持や地域に適したきめ細かな移動サービスの充実に向けた取組をさらに進めていきます。   地域子育て応援マンションの認定 バリアフリーや遮音性に配慮したファミリー向けのマンションに、地域向けの子育て支援施設(認可保育所、地域子育て支援拠点、親と子のつどいの広場等)を併設したものを「横浜市地域子育て応援マンション」として認定し、子育て世帯等が安心して暮らせる住まいの確保につなげます。 【令和5年度実績】 累計認定戸数:6,743戸 【155ページ】   断熱性能等を備えた良質な住宅の普及促進 <省エネ住宅住替え補助> 子育て世代を対象に、最高レベルの断熱性能を備えた省エネ住宅等への住み替えに要する費用の一部を補助することで、「省エネ性能のより高い住宅」の普及等の促進を図りながら、子育て世代の市内転入や定住の促進につなげていきます。 想定事業量 子育て世帯の居住する住宅のうち、一定のバリアフリー性能及び断熱性能を有する住宅の割合 直近の現状ち 21.8% 令和11年度 30% 安全・安心な公園づくり(基本施策4の再掲) 地域の憩いの場であり、こどもたちの遊び場でもある身近な公園等を市民が安全で安心して快適に利用できるよう区局一体となって新設・再整備や、施設改良、維持管理を進めます。 【令和5年度実績】 公園の新設・再整備:55か所 読書に親しむ機会の創出と図書館サービスの充実 市民利用施設等で活動する読み聞かせや朗読等のボランティアの活動を支援し、地域全体で読書活動を推進します。また日頃、読書になじみのないこどもに読書の楽しさや読書活動を啓発するための読書イベントを開催します。 新たな図書館像を示した「横浜市図書館ビジョン」に基づき、「未来を担う子どもたちのための図書館」を実現するための取組を進めていきます。中央図書館1階では、親子連れやこどもたちが楽しく学べる、居心地の良い「のげやま子ども図書館」を整備します。2024(令和6)年度に乳幼児とその保護者が安心して遊び絵本を読んで過ごすことができる「親子フロア」を先行整備し、2025(令和7)年度以降にこどもたちが楽しく学べる「子どもフロア」を整備します。 【令和5年度実績】 市民が読書に親しむ全市的な機会の創出:「二十歳の市民を祝うつどい」でのブックリスト配布、こども向け読書イベント「よこはま読書パーク」の開催 読み聞かせ、朗読等ボランティア活動推進のための支援回数:25回 「横浜市図書館ビジョン」の策定 新たなサービスや機能が充実した図書館情報システムへの更新   【156ページ】   横浜トリエンナーレ事業(基本施策4の再掲) 横浜トリエンナーレ会場等に来場した親子連れが、事前予約なしで当日気がるにアートを体験でき、文化芸術にふれあい親しむきっかけとなるようなアートワークショップを開催します。 横浜美術館会場内に、乳幼児向け休憩スペースや入場までの待ち時間を短縮するこどもファスト・トラック(親子連れ優先レーン)を設置し、子育て世代がゆとりを持って鑑賞しやすい環境を整えます。 想定事業量 アートワークショップ参加者数 直近の現状ち 12,386人/展覧会 令和11年度 15,000人/展覧会 子育て世代のスポーツ活動支援事業 子育て世代が気がるに安心してスポーツに取り組める環境を作るため、親子で共に楽しめるスポーツ体験会を開催します。 また、託児付きスポーツイベントの開催や、民間企業と連携した、子育て世代のスポーツの定着に向けた取組を実施します。 【令和5年度実績】  働く世代子育て世代の週1回以上のスポーツ実施率:42.5%   地域防犯活動支援事業 各区で実施される防犯活動への支援や、民間企業等との「子どもの安全ネットワーク会議」の開催、「子どもあんぜんフェスタ」等をはじめとするイベントでの広報・ 啓発活動、こども・安全安心マップへの防犯情報の掲載などを通じて、地域におけるこどもの見守り活動への理解を深めるなど、こどもの安全対策を推進します。 【令和5年度実績】  防犯啓発イベント実施回数:62回 【157ページ】   こどもの交通安全対策の推進 <交通安全教育の推進> 本市の幼児交通安全教育指導員が保育所・幼稚園を訪問し、幼児向けに交通安全の基本ルールなどを指導します。また、保護者に向けては、幼児同乗自転車に乗るときのポイントやルール等の講習・啓発を行い、小学生に向けては、衝突・巻き込み・死角実験などの疑似体験を交えながら、街中での正しい歩きかたや自転車の正しい乗りかたについて指導します。 【令和5年度実績】 幼児交通安全教育訪問指導回数:307回 保護者向け交通安全教室実施回数:23回 はまっ子交通あんぜん教室の実施回数:272回   <子どもの通学路交通安全対策> 通学路におけるこどもの交通事故死ゼロに向けて、道路局と教育委員会事務局が連携しながら、通学路の安全点検や授業の教材として「こども・交通事故データマップ」の活用を進め、交通安全対策に取り組みます。 【令和5年度実績】 こども・交通事故データマップの閲覧回数:141万8千回   よこはまがくえん隊事業 PTA、自治会など関係機関と連携し、よこはまがくえん隊(学校の校舎、校門、通学路における見守り活動等を行う保護者や地域住民のボランティア)による登下校時の見守り活動への支援を行います。 【令和5年度実績】 申請校数:253校   安全教育・防災対策の推進 学校安全教育を推進するため、小学校・ちゅう学校・義務教育学校を対象に学校安全教育推進校を指定し、「横浜市防災教育の指針・指導資料」等を活用した授業実践、地域や近隣校と連携した防災訓練の実施等を行います。 【令和5年度実績】 学校安全教育推進事業実施校数:4校   【158ページ】   こどもの意見を聴く取組の推進 こども基本法、こども大綱及び「横浜市こども・子育て基本条例」に基づき、こども・若者の声が施策・事業等に反映されるよう、従来の大人を主たる対象とした意見聴取や検討の機会に、こども・若者が主体的に参画し、積極的に意見を表明することができる仕組みを検討し、取り組みます。 意見を聞かれにくい立場にあるこども・若者を含め、すべてのこども・若者の意見表明の機会をより適切に確保していくことができるよう、市の取組に関してこどもに対し分かりやすい情報提供を行います。また、横浜市子ども・子育て会議の意見を踏まえて、継続的に検討・実践・改善を進め、施策・事業の推進にこども・若者の声を反映していきます。 【159ページから197ページ】 第5章 保育・教育及び地域子ども・子育て支援事業に関する量の 見込み・確保方策 1 量の見込み・確保方策について 子ども・子育て支援事業計画では、子ども・子育て支援法に基づき、保育・教育及び地域子ども・子育て支援事業について、5年間の「量の見込み」(利用に関するニーズ量)及び「確保方策」(量の見込みに対応する確保量と実施時期)を定めることとなっています。 本市では、国の基本指針や「量の見込みの算出等の手引き」等に基づき、2023(令和5)年度に実施した「横浜市子ども・子育て支援事業計画の策定に向けた利用ニーズ把握のための調査」の結果や推計児童数、各事業の利用実績等を踏まえ、行政区単位で量の見込みを算出すると共に、それに対応する確保方策を定めます。 なお、量の見込み・確保方策の詳細については、こども青少年局企画調整課までお問い合わせください。 連絡先は 電話番号 045-671-4281、 Eメールはkd-kikaku@city.yokohama.lg.jp までお願いします。 【198ページ 】 第6章 計画の推進体制等について 1 様々な主体による計画の推進 ・本市におけるこども・子育て支援は、様々な担い手によって支えられています。自治会町内会、民生委員・児童委員、主任児童委員、青少年指導員などの地域を基盤として活動する団体や組織に加え、社会福祉法人、学校法人等の公益法人、市民団体、NPO法人、ボランティア及び民間企業等により様々な地域で展開され、行政との協働も積極的に推進されてきました。 ・本計画は素案の作成段階から、「横浜市子ども・子育て会議条例」(2013(平成25)年制定)で定める附属機関として学識経験者、子育ての当事者や支援者及び保育・教育関係者などから構成される「子ども・子育て会議」で議論を重ねてきました。また、子育て世帯やこども本人を対象とした大規模なニーズ調査の実施や、市内全区における子育て中のかたによる市民意見交換会の開催などを通じて、幅広く御意見をいただきました。計画の推進にあたっても、子育て当事者と意見交換を行うことができるような機会を取り入れていきます。 ・これからも「自助・きょうじょ・こうじょ」の考えかたを大切にし、あらゆる担い手が、こども・子育て支援を社会全体の課題としてとらえ取組を進めていただけるよう、市民、関係者の皆様と連携・協働し、計画を推進していきます。   2 こどもの意見を施策へ反映するための体制整備 ・こども基本法では、こどもが関わる幅広い分野の施策の推進において、こどもの意見を反映することが求められています。こども基本法に基づく「市町村こども計画」となる本計画の推進にあたっても、こどもの意見聴取と施策反映を進めていく必要があります。 ・横浜市こども・子育て基本条例において「すべてのこどもについては、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が考慮されるとともに、意見を表明する機会及び多様な社会活動に参画する機会が確保される」ことが基本理念として定められると共に、本市としてこどもが関わる施策に対するこどもの意見反映の取組を進めていくことが改めて明記されました。 ・取組の実効性を高めていくために、施策を所管する各部署が、取組の目的や好事例を共有しながら、各施策の特性に合わせた意見聴取と施策への反映を進めていくことが重要です。 ・横浜市こども・子育て基本条例の施行に合わせ、条例第12条に定める、本市におけるこどもの意見表明の機会の確保と施策への反映を進めるために必要な体制の整備を行います。計画期間を通じて、こどもの意見表明の機会の確保や施策への反映方法について、先進事例に関する情報収集と実践を通じた課題の把握や改善の取組を継続して進めていきます。 【199ページ】 3 計画の点検・評価等 ・計画に定める事業・取組の内容や事業量等については、刻々と変化する社会情勢や、市として新たに把握したデータに基づくニーズ等を踏まえ、毎ねん度、必要な見直しを行います。 ・子ども・子育て会議は、こども・子育て支援施策の総合的・計画的な推進に関して必要な事項や施策の実施状況等を調査審議する場として位置付けられています。第3期計画の推進にあたっても、引き続き計画のPDCAサイクルの確保に努め、子ども・子育て会議で、計画の実施状況について毎ねん度の点検・評価や計画の中間見直しを実施していきます。   4 こども・子育て支援に関わる人材の確保・育成の推進 ・こども・子育て支援の分野は保健・福祉・教育・医療など多岐に渡っており、保育士、幼稚園教諭、児童福祉司、保健師及び助産師など、様々な専門職により支援が行われています。 ・こども・子育て支援の更なる充実が求められる中で、多種多様な施策を推進するにあたっては、専門職の確保が課題として指摘されています。また、こども・子育て支援に関する制度や施設・事業の量的・質的拡充が図られる中で、複雑・多様化する課題を抱えるこどもや保護者を的確な支援につなげていくためには、職員の資質や専門性の向上も必要です。 ・さらに、本市の多様なこども・子育て支援は、子育て経験者、ボランティア及び地縁組織など、地域で活動する様々な担い手により支えられています。 ・人口減少や少子高齢化、共働き世帯の増加という社会状況にあって、地域の担い手不足の課題も指摘される中、こどもが地域で健やかに育ち、安心して子育てができる環境づくりを進めていくためには、地域における担い手の育成・確保も重要な視点です。 ・今後は、専門機関や地域資源同士が連携しながら、こども・子育て家庭を包括的に支援していくことが求められます。各区のこども家庭センターが中心となり、専門機関や地域資源同士の恒常的なつながりをより一層充実できるよう、地域資源間のネットワーク化の促進に取り組んでいきます。 ・併せて、こども・子育て支援を担う職員や地域の担い手の確保、専門性・資質の向上にも取り組み、更なる支援の充実を進めていきます。 【200ページ】 5 こども・子育て支援に関する情報発信や情報提供の推進 ・本市では第2期計画に基づき、様々な支援や制度の充実に取り組んできました。一方で、「制度や支援があることを知らなかった」、「制度が分かりづらい、利用しづらい」という声や、「支援が必要な人に必要な情報や支援が届いていない」という指摘もあります。また、こどもたち本人に向けた広報・啓発や、障害児・しゃへの情報提供、外国人人口が増える中では多言語化も含めた対応も課題となっています。 ・本市では、子育て世帯の声を踏まえて、スマートフォン一つで子育てに関する手続や情報収集などが可能となる、子育て応援アプリ「パマトコ」を2024(令和6)年度にリリースしました。このアプリは、多言語にも対応しています。今後も、必要な情報を必要な人に届けられるよう開発を進めていきます。 ・こどもたち本人に対しては、まずは市のこども・子育て支援施策に関心を持ってもらうと共に、意見を表明する機会が確保されていることについて、周知していくことが必要です。横浜市こども・子育て基本条例や本計画に関する周知を進めていきます。 ・こどもまんなか社会の実現のため、こどもや子育て当事者のみならず、あらゆる人が理解を深め、行動に移していくことができるよう、社会全体でこどもを見守り、こどもを大切にするための気運の醸成に向けた情報発信・情報提供にも取り組んでいきます。   【201ページ】 参考資料 1 利用ニーズ把握のための調査 (1) 調査の目的  第3期計画を策定するにあたり、子育て家庭の現状とニーズを把握するため、アンケート調査を実 施しました。   (2) 調査対象者  ア 未就学児調査:市内在住の小学校入学前の児童の保護者 64,416件  イ 小学生調査 :市内在住の小学校就学児童の保護者   65,892件  合計      :                   130,308件 ※ 小学生調査では、こども本人向けの質問を記載した調査票を同封(回答対象はあて名のお子さんが小学4〜 6年生)。小学生調査65,892件のうち、あて名のお子さんが小学4〜6年生のかたは33,068件、回収数は 12,445件(回収率37.6%)。   (3) 標本抽出方法  住民基本台帳から無作為抽出(世帯重複がないよう抽出)   (4) 調査期間  2023(令和5)年10月1日 日曜日 から 10月31日 火曜日   (5) 回収状況  未就学児調査 :回収数 33,321件(回収率 51.7%)  小学生調査  :回収数 31,938件(回収率 48.5%)  合計     :回収数 65,259件(回収数 50.1%)   (6) 主な調査項目 ・家族の状況 ・保護者の就労状況 ・放課後の過ごしかた ・子育ての悩みごと・相談先 ・教育・保育事業、地域子ども・子育て支援事業の利用状況や利用意向 等   ※ ニーズ調査結果報告書は横浜市ホームページに掲載しています。 【202ページ】 2 こども本人へのヒアリング調査 (1) 調査の目的  第3期計画を策定するにあたり、社会や時代の変化をとらえ青少年の地域活動拠点づくり事業を 効果的に実施するため、また社会的養護経験者への支援の充実を検討するためヒアリング調査を実 施しました。 (2) 調査対象者  ア 青少年の地域活動拠点づくり事業の利用者  イ 「よこはま Port For」を現在利用している、または過去に利用したことがある 社会的養護経験者 (3) 調査期間  ア 2023(令和5)年8月15日火曜日、9月9日土曜日、9月15日金曜日  イ 2023(令和5)年10月 (4) 対象者数  ア 合計30人(書面提出者6名を含む)  イ 合計5人 (5) 主な調査項目  ア 利用時間や曜日、周知方法、施設・設備について、各拠点の活動について等  イ 「よこはま Port For」の利用状況、社会的養護経験者の困りごとや不安、支援ニーズ等 ヒアリング調査報告書は横浜市こども青少年局ホームページに掲載しています。 【203ページ】 3 子育て中のかたによるグループトーク (1) 目的  第3期計画の策定に向けて、子育てしていて困ったこと、嬉しいこと、わかってほしいこと、あったらいいことなど、子育ての本音を話しあい、お話を聞かせていただいて、次期計画の策定に生かすため、市内全区で「グループトーク」を開催しました。 (2) 名称  グループトーク「みんなで話そう、つながろう!横浜での子育て」 (3) 実施時期  2023(令和5)年10月から12月 (4) 参加者数  合計193人(18区合計) (5) 主な内容  横浜での子育てについて、3つのテーマごとに個人ワークとグループワークを行い、話し合いました。  テーマ@「子育てで悩んでいること、困っていること、課題に感じていること」  テーマA「こうなったらいいな、こんな支援があったらいいな」  テーマB「感想シェア」 グループトーク開催報告は横浜市こども青少年局ホームページに掲載しています。 【裏表紙】 こども、みんなが主役!よこはまわくわくプラン (第3期横浜市子ども・子育て支援事業計画/横浜市こども計画)素案 令和6年10月発行 横浜市こども青少年局企画調整課 郵便番号231-0005 横浜市中区本町6丁目50番地の10 電話:045-671-4281  FAX:045-663-8061 Email:kd-kikaku@city.yokohama.jp ホームページ: https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/org/kodomo/sonota/shingikai/kosodate/dai3kikeikaku.html